Deep Heart

輝拓

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片想いの時間

カミングアウト2

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キャンプ場から遠くのスーパーに着くとBBQの肉がやたらとあった。
キャンプ場近くのスーパーはここにしかないのかも知れない。
来る途中でも信号機はなかっし
片側の車とすれ違わないし前後の車も無かった。
あったのはコンビニ一軒だけ


適当に大量に買っとけばいいと一気買いをした。


「花火やろう?花火やっていいって言われたし」

「手持ちだと一人そんなに出来ないから打ち上げだな」

食品コーナーから離れた場所にある花火が目に入った。
手にするのは初めてで
そこには何発かカラーからどんな花火か細かく書かれている
どれにするか初めてのオレを迷わす。

大量に入った花火のセットでいいと言う拓也に待ったをかけて吟味する。

「…そんな悩む?」

「だってやったことないし
どうせやるならスゴイのがいいじゃん!」

「似たようなもんだよ
コレは打ち上げじゃなくて噴き出すヤツな?」

「噴き出すって噴水的な?」

「そうそう、打ち上げならコッチの方が綺麗で長い」

「へぇ~…」


きっとコレも本当は常識なんだろうな。
花火なんてしたことないの見え見えなのに
普通に教えてくれて何も聞かない
やったことねぇの?って驚かれても不思議じゃないよね
手持ち花火すらしたことないオレは知ったかぶりさえ出来ない恥ずかしさ

拓也の前ならそれを素直に出せちゃうのはやっぱり優しさに甘えているからだ


「おっコレ…買おうぜ?」

「何?それ小さいけど…」

拓也が手にしたのは花火に見えない小さな花火だった。
袋には蛇のイラストがあった。

「蛇花火って言ってスゴイんだよ」


蛇って言うからにはなんかスゴイのをイメージしてしまう。


「スゴイって?蛇みたいな?」

「そう!めちゃくちゃびっくりするから
キャンプ場戻ったらやっちまおうぜ?
買い出しの手当てってことで皆戻ってくる前に」



拓也がスゴイ嬉しそうにするもんだから
オレもなんだかワクワクして他の花火なんてどうでも良くなった。
早く帰って見たい。


「なぁ!そんな綺麗なの?」


「とにかくびっくりするから!」



蛇なんて言葉に騙されて
それはそれはびっくりするくらい綺麗な花火なんだろうと思った。


二人して会計する足が早くなったけど
拓也とオレの早くなった理由は違っていた。

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