Deep Heart

輝拓

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片想いの時間

日常が変わった日3

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オレを心配してくれる人が二人もできた。

オレの立場からしてすごく有難いのに
どちらとも本当の事が言えないで苦しい。

自分が一歩を踏み出せばいいだけの事だけど
その内容はとても常識的じゃない
言ってしまえば学校なんて来れなくなる。



「昨日、お前忘れてったぞ」

「サンキュー!」

目の前で拓也が友人にメガネケースを渡していた。
いつもの貸し借りじゃない後景にちょっと引っかかった。


「どこにあった?」

「洗面所、朝出る直前に髪見に行った時じゃね?
次忘れたら自分で取りに来いよ」

「最寄り駅から遠いから学校ついでに持ってきてよ」

「忘れ癖直しなさい」

「何?拓也家に行ったの?」

「そうそう、一昨日飯食ってそのまま泊まらせてもらったんだけど忘れてきて」

「拓也って実家?アパートだっけ?」

「アパートだよね?」

「狭いけどなぁ」


仲間達の会話が飛び交う中オレは一人取り残された。

拓也の家に泊まった?
アパート暮らしなの?
オレ何も知らない。


「狭かったわ」

「お前最低、もう来んな」

「どんくらい狭くて家賃いくら?」

「光はどうだった?」

「えっ知らないよ?
オレ行ったことないし
いつか入り込んでやろうとは思ってたけど」

「入り込むって泥棒働く気かよ」

「あれ?行ったことねぇの?」

「意外!お前達ハッピーセットなのに!」


いつものテンションで言ってみたものの
本当はショックだった。
オレも思ってさ!
一番傍にいて、仲良くて…

でもオレは何も知らなかった。
拓也が一人暮らしでアパート住みも
アパートが狭いことも
拓也にとってオレは親友でもなんでもない
ただの仲間の一人だったんだってこと

あぁなんて醜い自分
好きとか嫉妬とか以前の問題じゃん
親友とか勝手に思い込んじゃって馬鹿だ
恥ずかしくて居た堪れない



「んじゃぁ今度皆で遊び行こうぜ!オールしよ!」

「近所迷惑!!来んな!」

「アイツだけずりぃよな?ひかる~?」

「そーだ!そーだ!行かせろ~!」

そのくせ話のノリに合わせて友人と拓也に絡みながら誤魔化す。
なんて馬鹿な自分

授業が始まる5分前予鈴で皆各自の席に散った後
机に静かにうな垂れた。
やる気なんか出ない。
ショックもだけどそれを隠していつも通りに会話に入るのが疲れる。

「寝るなよ?」

席に着く間際、拓也が軽く頭に触れて行った。
それだけで少し嬉しい。
気持ちが上がったり下がったり本当に疲れる。



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