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片想いの時間
変わっていく日4
しおりを挟む握られている手が暖かくて気持ちいい…
与えられたことのない温もりでホッとする…
オレまで握り返したらシャレにならなくなる?
思いっきり握れば痛いなんて言い合いになりながら誤魔化せる?
「引っ張った時に腕痛くなかったか?」
「あ…」
すっかり忘れていた…
それなのに拓也はどちらの腕かも覚えていて心配してくれたのが嬉しくて思わず拓也の手を握った。
迷ってた一線をとっさに越えてしまった。
「痛くないから…大丈夫」
「もし、もしまた
あんな状態になったら俺いるから
またトイレでいちゃこらしてやるよ
それでまたココに来て楽しんで帰りゃいい」
なんだよ、このイケメン…
しっかり手握って言ってくんなよ…
離せなくなるじゃんか…
ずっとこの優しさでいっぱいのところに居たい
オレがずっと願ってた場所だ…
この言葉でオレは頑張れる
言わなきゃいけない
こんなに思ってくれる人を解決出来ないことに引っ張ってはいけない
自分でかけてた暗示なんかとは違う
次にある時にはこの言葉があるだけで
今までみたいに今まで以上に頑張れる
「拓…聞いて?」
出来るだけ笑え
出来るだけ重い話にするな
出来るだけ明るく
「腕の傷な…?
あの…事故で…火傷して…」
大丈夫…ちゃんと拓也は聞いてくれる。
落ちつけ…
落ち着いて手放せ
「あの…」
甘えるな
ただの友達にどこまでも求めてしまう羽目になる
嫌われたくはない
だからこそ
「あの…ね?」
2人して顔を見合わせてパレードなんて見てやしない。
拓也がすごい真面目な顔して見てくるもんだから本音が…本音に負けてきていて泣きたくなる。
「痛い…痛いんだ…」
言うな。
今日が…ここでの一日が台無しになる。
気持ちのストッパーが効かない
口が勝手にただ漏れる。
やっと言えた言葉
「そうか…火傷は痛いな」
「痛い…」
「光?おいで?」
握られてた手に今度は肩を掴まれて引き寄せられた。
抱き寄せられた身体は
そのまま横向きに拓也の胸の中に収まった。
あーあ…ダメだって…
この温もりに溶かせられて甘えてしまう
手放せ
矛盾が苦しい
「今ちょっと光弱ったからな
いちゃこらしてやるよ
回りの目気にするなら離すから」
そんなのどうでも良かった。
やっぱり涙が出る。
嫌だ嫌だと言う自分と
離れなきゃいないと警告する自分
嫌だと言う自分が拓也の服を握る
離れなきゃいけないと言う自分が言葉を押し黙らせる
「ボーイッシュの彼女にでも見えるだろうさ」
あなたの彼女になりたいと切実に思う。
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