Deep Heart

輝拓

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片想いの時間

変わっていく日2

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「ヤバい!ジェットコースターヤバい!」

「結構クセになるだろ?あの感覚!
あと2ヶ所あるけどまた違った感じだから楽しいよ」


乗り終わって直ぐ近くの飲食店に入った。
少し遅めの昼飯を食べながらパンフレットの案内図を広げて光に場所を教える。



「すげぇ!ゲームみたいな地図だなぁ…
ここ何?ジャングルなんてあんの?
全部見たいけど行くの無理そう?」

「行ける行ける!
アトラクション全部は無理だけどエリアは全部見に行けるよ」

「やった!嬉しいなぁ」


いつもの本調子の光が戻ってきた。
表情豊かで素直に気持ちを言ってくるいつもの光。


正直、やってしまったと思った。

暗い陰は消えたけど何処かよそよそしくて気まづそうで…
トイレで向けられたあんな笑顔じゃない
いつものこっちまで笑ってしまいそうになる笑顔が早く見たくて安心したくて本音を言ってしまった。

頼んで急かして出るものじゃないと分かっていたのに…


けれど初めてのジェットコースターのせいか
光はアトラクションから降りるとはしゃいで
一生懸命ジェットコースターの感想を伝えてきて
純粋に楽しみ始めてくれていた。



何もかも初めてで物珍しいのが分かる。
光にとっては海外に来たみたいなんだろうなぁと思った。
教えるたびに歓喜してはしゃいで行く光が何より嬉しくて安心する。  
連れてきたこっちが張り切って連れ回したくなる。


買ってやったカチューシャも男が付けるのキモイだろと言いつつ
アトラクション乗車で外すように言われるまで外さないで降りたら直ぐ付けて
買ってやって良かったなぁと笑える。



会話はやっといつもの俺達に戻っていたが
俺には前と違う感情が芽生えていた。



次は何がビックリするだろう
次は何を教えてあげよう

これをあげたら喜ぶか?
あれも食べさせてやりたい

あのアトラクションは絶対に面白い
あのアトラクションは苦手だろうか?


それを考えるのが楽しい


男相手にここまで考えるか?
ここまで思いやることが出来るか。

その前に
気まづさ修復のために、慰めるために
金まで下ろしてココに来るだろうか…

ここまで光の笑顔に執着するのはなぜか…


分かり切ったことだ…


ハッキリしていて
弟みたいで可愛いとかそんな誤魔化しはきかない



「拓…?」

「あ…わりぃ…何?」

「なんか怖い!めちゃくちゃドキドキしてきた!」


俺の買ってやったカチューシャをちゃんと付けて
怖いと言いながらも楽しみでニヤけて見上げてきた。



あー…可愛いいなぁ…


これで自覚しなきゃ馬鹿でしょ…



「え…乗り物ないの?」

「まぁその内分かる」

「えっ何?何……」


楽しい場所から一転のお化け屋敷

不気味なBGMと始まるナレーションで光ははしゃぐ会話をやめた。
来慣れた俺にはそうでもないが
初めての光には多少は緊張することだろう。


「結構、雰囲気あるね」


ナレーションの邪魔にならないようにコソッと言って来ただけで後はずっと黙っていた。


狙って入ったわけじゃない。
だからこそ少し後悔した。


「やっぱ乗り物あったんだな」

囲われている狭い空間に近い乗り物

2人きりと変わらない小さな空間にトイレの個室を思い出させられる。

そんな俺とは違って光は食い入るように仕掛けを眺めて楽しんでいた。

「なんか怖いって言うより綺麗だね」

「凝ってるよな」

「カップルシートみたいな乗り物だしな!
いちゃついてる奴いそう」
 

そう…それよ…
少し後悔したのは…


「拓は180㎝以上あるし本当優しいし頼りになるからモテ男だっただろ?」

「両親が背が高い方だったからデカいのはしょうがないけど…」



誰にでも優しいわけじゃねぇよ…とは言えない。


「彼女とバンバン乗っていちゃこらしてたんだろぉ~?」



いつものふざけでこう言う話を出されると下ネタを言ってみたりして話に笑いが出ていたが今日は誘い水をされたみたいに思えた。



「…してみる?」

「は?」

「俺といちゃこら」

「今日はもう、してるようなもんじゃん」


ただの男同士ならそうなんだろうな…


俺は光に触れたい



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