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片想いの時間
変わっていく日
しおりを挟む優しくされたからかもしれない。
助けてもらったからかもしれない。
理由は単純で浅はかもしれないけど好きになってしまったのは確かだ。
これから苦しくなる
また同じあやまち…
「どした?体調やっぱりヤバいか?」
「あっ違う違う、本当に凄い場所過ぎて呆然としてるだけ」
「早く言えよ?」
「ありがとう!大丈夫!」
「とりあえず、ここに来たら並んでる間はポップコーンを食え」
いつの間にか拓也が買った首掛けが付いたポップコーンのboxを持たせられてポリポリ食べ始めた。
「なんでポップコーン?」
「外人がよくポップコーン食いながらテレビ見るのと一緒で定番なんだよ」
「海外ドラマにあるやつね」
「あれデカ過ぎだよな」
ホッとした。
いつもと同じくだらない話が出来てる。
でも自覚してしまった今
内心は拓也の言葉、声、オレの手元からポップコーンを取っていく手…
全部にドキドキしてたまらない。
トイレでの事なんてとてもじゃないけど思い出しちゃまずい。
「今日はすげぇツイてるんだよ
昼に来て30分待ちって普段ありえないんだわ」
「へぇ~普段どんくらいなの?」
「120分なんてある。」
「120分って2時間?!ずっと待ってんの?トイレは?!」
「ひたすら待つのみ」
「まぢで?!映画観れちゃうよ!?皆すげぇな!!」
「お前、泣いたり呆然してたりビックリしたり忙しいなぁ!」
拓也が喉で笑う。
それにすらドキッとして顔が見れなくなるなんて重症だ。
普段、どう接してたか本当に分からなくなる。
でも、拓也はいつも通り…
「…光、笑って?」
拓也の真面目な声が聞えた。
拓也は笑っていた。
スゴくスゴく優しそうなのに少し困ったみたいな初めてみる顔だった。
「後は笑うだけだ
その為に来たんだよ。」
「あ…」
「2名様ですか?」
何か言わなきゃと思ったのと同時に声が被った。
順番が来て席に案内される。
「ジェットコースターも初めてか?」
「うん…めちゃくちゃ緊張する」
また何事無かったみたいに拓也が話し始める。
いつも通りなわけないじゃんか…
当事者がこんななのに拓也なんて突然でもっと…
拓也の気遣いに気づかなくて情けなかった。
ここにきて感無量になって好きになったとドキドキし始めてて…
浮かれてた自分
あんなに迷惑かけて
お金掛けさせて本当に申し訳ない…
馬鹿だな…オレ…
初めてのジェットコースターのスピードと急降下に息が出来ない。
初めての臓器が浮くような、なんとも言えない感覚に戸惑って周りみたいに叫ぶことすら出来ない。
急降下後の休憩のような走行中に拓也と目が合った。
「楽しいか?光!」
「うん…ヤバい!こぇーっっ!」
そうだ
拓也は笑ってくれと言った。
愛想笑いじゃなくて本当に楽しい嬉しいって笑顔
申し訳なくて気まずくて…色々考えちゃって…
でも違うんだ。
考えなくても良かったんだね。
本当に忘れていつもみたいに楽しんでいいんだ。
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