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友人の時間
まさかの場所2
しおりを挟む「ようこそ!東京ランドへ!
他のお客様のお車が来ます。
危険ですのでお下がりいただけますか?」
呆然と立ち尽くしているオレは隣りの空き駐車に立っているのに気づいた。
それを注意しに来てくれたのだ。
促す言葉は丁寧で慣れない。
「あっすみません!」
「ありがとうございます!
楽しんで来て下さいね!」
拓也が声に出して笑っていた。
急いで追いかけると拓也は屈んで来た。
「ちょ…ここ…えぅ?!」
「海には変わりないだろ?
社会人だった俺に任せなっ」
「まぢで?本当に行くの?!
あっオレ自分で出すから!」
「俺が勝手にきたんだ。
いきなり来る場所でもないし、いいんだよ!
ただATMは寄らせてもらうけどな」
ビックリし過ぎて言われるまでお金の心配も忘れていた。
パークの事なんて何一つ知らないが
チケットが高いことだけはオレも知っている。
「いやいや
飯奢ってもらうとは違うから!」
「んじゃぁ晩飯奢れよ!ここはなんでも高い~」
えっ…
さすがにチケット以外も高いとは思ってなかったから正直ビビる。
あぁオレ本当に何にも知らないんだなぁと思っていると
歩道を歩いていくとウキウキさせる曲がスピーカーから流れる。
カップル、友達同士、家族
みんなが笑顔で既に楽しそうで戸惑っている自分が場違いだった。
「っすげぇー…」
「チケット買ってくるから待っててな?」
正面に来るとパークの建物に息を飲んだ。
華やかで賑やかで綺麗で…圧巻だった。
子供みたいに口を開けてぽかーんと見とれていた。
「おーい…おーい!ひかる君?行きますよ?」
「あっうん!」
チケット買いに行った拓也が一瞬にして戻ってきたと思うくらい魅了されていた。
パーク内は非現実的過ぎてオレには情報量が多すぎてはしゃぐ余裕がない。
目が回りそうなくらい見るもの初めてで感動する暇もない。
「すげぇなぁー…なんだここ…」
「光…来たことないの?」
「うん…変だよなぁー…」
「なんで?地方の方なんて来たことない奴いっぱいいるだろ」
拓也のそう言うところ…
否定しないでくれるところが…
「あっちょい待ってて!」
駆け出した拓也は清掃をしている女性の元に走っていった。
オレが追いつく時には用事はもう終わってたみたいで
「おめでとうございます!」
と言われた。
それと同時くらいに胸を拓也に叩かれる。
なんだ?と胸元を見るとシールが貼られていた。
カラフルな大きいシールには
俺の名前の後にデビューの文字
「何?何これ…」
「デビューシール
ここははしゃぐ場所だぜ?」
「…ありがとう…」
「いってらしゃい!素敵な一日を!」
「ありがとう…ございます…」
うん…泣いた。
きっと女性も拓也もそんなに?!とビックリしただろう。
オレにはありえない暖かい事だったから
オレには想像もした事ない叶わないと思っていた優しさだったから嬉しくて嬉しくて…
「ごめん…恥ずかしいよな…」
「嬉し泣きならいいんだよ!」
なのに拓也は頭を抱えるようにオレを撫でる。
トイレの修羅場みたいな状況とは天と地の差で幸せだと素直に思える。
拓也なら…
拓也なら受け入れてくれるかもしれない…
傷付けちゃうかもしれない
でも…もしかしたら…
「平日だから思ったより空いてる。
飯前に一発行こう!ジェットコースターな!」
拓也はオレの頭を抱えたまま小走りに歩き出した。
まずい、まずい…
重たい話を拓也にしようと思ってしまった。
拓也は困りながらもなんとかしようとしてくれるのが明白だ。
巻き込んじゃいけない…
でも…好きになってる…
気付いてしまった。
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