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16話 おっさん歌劇団?
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「くそ、やっぱり数学って難しいな……あれ、この公式どう使えば……」
「代入する場所ちゃんと見直せ、あとaの値間違えてんぞ、そこまでこんがらがったら最初からやり直した方が早ぇよ」
「化学式っち、どげんやっち覚えればよかんやろ……すったりたい」
「化学式なんざ暗記だ暗記。数学と違って数字も文字も決まってんだ、一字一句もれなく覚えてりゃ点数取れるぜ」
「……本当に意外ね、きちんと教えてる……顔に雑誌乗せてなければ、の話だけど」
そりゃ、これ寝言だもん。俺様昼寝中なんだよ、ブレイズちゃん。
あ、すまねぇな読者諸君、前回に引き続き説明不足でよ。
いやー、こいつらマジで昼休みに図書室来やがった。俺様寝てんのに、隣でぶつくさぶつくさうるさくてしゃあねぇぜ。
ちなみに俺様、魔界学が専門ってわけじゃねぇよ? 何しろ俺様は最強無敵の天才賢者、ハワード様だ。あらゆる知識を習得しててよ、専門家以上にジーニアスなのさ。
女子大生の読者諸君、もし分からねぇ事があったらいつでも俺様を頼りな。ついでに頬を撫でて、甘い言葉もおまけしてやるよ。ただし二十歳未満はЯ指定だぜ。
「やっぱ秋学期の中間テスト、春学期よりも難しいな……」
「日曜学校ちゃりもやる事の高度やもんね。ブレイズ様、なんかよかテスト対策っちなかか?」
「そうね、やっぱり授業開始からやった範囲を総ざらいするのが一番かも。テストなんて結局、授業開始から今までの範囲で出題されるんだもの。それを一ヵ月前から復習すれば、確実にA評定がもらえるかな」
「要は愚直に全部勉強しろって事か……」
「楽は出来なかんやね……」
クソ真面目を絵に描いたような子だねぇ、ブレイズちゃんは……んな事せんでも点なんか取れるんだが。
「あー……これは寝言だぞ。数学にゃ数は少ねぇが基礎問題がある。それを着実に取っておきゃあ、あとは4,5問の大問をどう解くかだ。大問なんざ途中経過でも点が取れるわけだからなぁ。化学もそう、必ず基礎問題が出てくる。そいつを着実に取れるよう、基礎を反復すると幸せになるかもな」
メモってるメモってる。そうだ、楽できるポイントはちゃんと押さえとけ。じゃねぇと遊ぶ暇も作れねぇぞ?
前期のテスト構造を見て問題の傾向見ときゃあ、どんな作りになるか分かるだろ。それを踏まえて対策すりゃ、最低限の努力で必要な力を蓄えられるさ。そうすりゃ、残り時間を弱点部分の補強に当てられるだろ。
おっと読者諸君、別に俺様、熱心に指導してるわけじゃねーぜ。ただの寝言だから、寝言。勘違いして貰っちゃ困るが、俺様は今、シエスタの真っ最中なんだからな。
「やぁ、無駄な努力をしているようだね、ディジェ」
「ネロ!? お前どうして」
おー、面倒くせぇ奴二号、ネロが出てきやがった。
こいつ、なんでいちいち俺様に絡んでくんのかねぇ。最近カインの奴も学園に来てんだから、そっち行きゃいいもんをよぉ。
「自分の受け持つ生徒に個人授業ですか、ただ、教師として特定の生徒に肩入れするのはどうかと思いますが」
「べっつにー? 俺様サボってるだけだし、寝言ぶつぶつ言ってるだけだし。こいつらが隣でうっせーだけだし。なんか文句あんのか?」
「おや、でしたら失礼しました。それはそれとして、先生。相談事があるのですが、放課後にお時間いただけません?」
「嫌だ」
「そう言わず、これをどうぞ」
あん? おいなんだよこの封筒……こいつぁ……ふっ、分かってるじゃねぇか。
「三十分だけだぞ、それ以上はなしだ」
「ありがとうございます」
何渡されたって? そりゃあれだよ、娼館のクーポン券。
……マジでちょろいぜ俺様。つかてめぇ、未成年のくせしてどっから手に入れた。
「……プライドとかないの?」
「ない」
「……本当に大賢者様あるまじき人ね、貴方って……」
Oh、ブレイズちゃんの蔑みの眼差し、ごっちゃんです。
「おいネロ! ……負けないからな、絶対に」
「テストの事かい? 君に勝てる可能性なんてあると思っているのかな? ノートを貸してごらん」
受け取るや否や、あっという間に問題全部回答しやがった。完璧だぜこりゃ、口はうぜぇが、学生としてはまぁ優秀だな。
ただ……やっぱなんだろうなぁ。こいつ、ガッツはあるんだが相変わらず、冷たいガッツだぜ。ちゃんと教育したのか、カイン。
「この程度の問題で苦戦しているようじゃ、勝つのは無理だと思うけど」
「ぐ……それでも、やってみなくちゃ分からないだろ!」
「そげんたい! 試合な、やっちみなかっちがとからんけんもと!」
「レヴィ、君も僕に歯向かうのかい? Dクラスの皆は力の差を弁えて大人しくしているのに……君達は力の差を分かっていないようだね」
まー俺様も思うわ。こいつらとてめぇじゃ、頭の作りが違い過ぎる。ぶっちゃけ勝機は無きに等しいだろうな。
それでもこいつらは、馬鹿みてぇに足搔くんだろうなぁ。どこまでも、愚直によ。
「せいぜい無駄な努力をする事だね。馬鹿の考え休むに似たり、って諺があるけど……おっと、これは独り言だよ。独り言」
「くっ……ネロ!」
「図書室ではお静かに。それじゃあね」
優雅に出て行きやがるなぁ。ただ、嫌味なヤローだが実力はある。最初に会った時より小物感は薄くなってやがるぜ。
……正直、どうして急に大物感が出始めたのか、疑問ではあるがね。
「ディジェ君、いしょこまで言われたら、やるしかんちゃね」
「当然だ、絶対、絶対ネロに勝つ……俺自身のためにも!」
「私も手伝うよ。いくらカイン様のご子息でも、あれはないわ」
「ふーん、まぁ頑張れ。俺様おーえんしてるから」
一人だけ温度差あるって? 勘弁してくれよ読者諸君、だって俺様教師だよ? いわば審判だよ? 試合で審判が味方して、二対一になるわけにはいかねーじゃん。
それにさぁ、昼間に学校で授業したら夜には魔王の情報集めせにゃならんし。俺様結構大変なのよ。
「昼休みは残り十分か、最後に現代文だけでもおさらいしとかないと……けど現代文、なぁ……人の書いた物語読んで心情を抜き出せとか、わかるわけないじゃんか……」
「もう、さっき啖呵切ったんだから頑張らないと。現代文は文章に全ての答えが書いてあるから、読み解く練習をしていけば難しくないわよ」
「そげな事言われても、どげんしゅれば」
「なら演じてみたらどーだ。オペラみてぇに教科書読んでみるとかよ」
ま、そんなもん勉強ですらねーけどな。劇で現代文が学べるかっちゅー話だ。
「……“私を誕生せしめた天使は言った、汝、立ち上がるべき。生きよ、例え全てが敵となろうとも!”」
「えっ、レヴィさん? 急に何、どうしたの? 身振り手振りして教科書読んで」
「ばってん、先生の演じてみろっち言ったから」
こいつぁ驚いたぜ、完璧な演技だ。意外と役者の才能あんじゃねーの? いいねぇ、ちょっと俺ちゃん、ノッてきた。
「“なぜ汝は人間を庇う。奴らはなんと愚かな事、一度恐怖を味わってもなお、神の存在を軽んじる。そのような下劣なる輩、果たして本当に守るべき価値のある生物なのか!”」
「貴方もなんで乗ってるの!? つ、机の上に立っちゃダメ、悪目立ちしちゃう!」
何言ってんのブレイズちゃん、舞台は目立ってなんぼだぜ。
「“私は、人の御心に望まれ生まれた者。我が使命に背く事、すなわち自身を裏切る事! 我が信念に従って、断じてそれは許されぬ! 何故なら己を殺す事に等しいからだ!”」
「“ならば望み通り死ぬがよい! 世界の全てに疎まれながら、絶望の底に沈め! 愚かなる神の子よ!”」
いい具合に感情乗ってるじゃねぇか、やるねぇレヴィ!
「……“そこまでだ! 彼を疎まぬ者なら、ここに居る!”」
「ってディジェ君まで!?」
HAHAHA! いいねぇディジェ、ナイスガッツだ!
「“さ、さぁ剣を取れ! 反逆の時き、来たれり! 恐れる物など、な、にもない! 汝が友はここに居る、神に背きし魔王をい、今こそ、討伐す、るのだ!”」
カミカミでも問題ねぇさ、ばっちりハートがこもってやがる。演技はハートでやるもんだ!
「YOYO、ここまで来たら参加せざるを得ないぜブレイズちゃん」
「い、嫌です! こ、こんな怪しい劇にどうして……と言うよりなんでラップ調!?」
「YOYO、ネロと戦うためなんだ、頼む、協力してくれ!」
「YOYO、やっちみるっち面白かとよ! チェケラッチョ!」
読者の皆も、ブレイズちゃんに言ってやれ! YOYOってな!
「何この四方八方からの視線、異界から見られてるみたい……! う、ううぅ! 分かりました! やればいいんでしょやれば!」
「Yeah! Lets Say Guys!」
『Hoooo!』
ぼさっと読んでないで、読者諸君も協力しな。ご機嫌なショーには、バックダンサーがつきもんだろう!
はい両手を挙げて、大きく振りながら左右にステップ! 右にターン、左にターン! ジャンプをしてから胸を張って、着地と同時にドヤ顔決め決めポーズ! ほれやれ諸君! 後ろの三人もちゃんとやってんぞ!
レヴィ「“神の血を引く天使の子は、逆襲を冠する剣を握った!”」
俺ちゃん「“祖の銘が導くままに、今こそ振るえ断罪の刃!”」
ガキ「“も、燃え行くさ……運命を背負って駆けろ!”」
ブレイズちゃん「“まさしく汝は魔を断つ子! 真なる勇気を持つ天使!”」
『“人は叫び、名を呼んだ! 魔に反逆する者と!”』
最後に四人で決めっ! ハッハー! いいねぇ、スウィートな気分だぜ!
はい読者諸君、拍手拍手ー! 完璧だぁ、素晴らしい! 見ろよ周りの連中を! 最高のショーに全員見入っちまってるぜ! excellent!
こいつぁ、今すぐ劇団作って披露した方がいいんじゃねぇか? なぁ読者諸君!
「……何してんのハワードさん」
「げっ、親父!?」
「おうヨハン、見てたか? お前の息子結構ノリがいいじゃねぇか」
「……そーだな。四人とも、ちょっとおいで。じーっくりお話ししたい事が今出来たよ」
はっはっは、いいぜいいぜ! 劇の感想聞かせてくれんだろ? いやーてめぇもノリが分かるようになったじゃないの!
……わーってるよ、そんな呑気な話じゃねぇ事くらいよぉ……。
その後、俺らはきっちり一時間説教喰らってしまいましたとさ。ちゃんちゃん☆
「代入する場所ちゃんと見直せ、あとaの値間違えてんぞ、そこまでこんがらがったら最初からやり直した方が早ぇよ」
「化学式っち、どげんやっち覚えればよかんやろ……すったりたい」
「化学式なんざ暗記だ暗記。数学と違って数字も文字も決まってんだ、一字一句もれなく覚えてりゃ点数取れるぜ」
「……本当に意外ね、きちんと教えてる……顔に雑誌乗せてなければ、の話だけど」
そりゃ、これ寝言だもん。俺様昼寝中なんだよ、ブレイズちゃん。
あ、すまねぇな読者諸君、前回に引き続き説明不足でよ。
いやー、こいつらマジで昼休みに図書室来やがった。俺様寝てんのに、隣でぶつくさぶつくさうるさくてしゃあねぇぜ。
ちなみに俺様、魔界学が専門ってわけじゃねぇよ? 何しろ俺様は最強無敵の天才賢者、ハワード様だ。あらゆる知識を習得しててよ、専門家以上にジーニアスなのさ。
女子大生の読者諸君、もし分からねぇ事があったらいつでも俺様を頼りな。ついでに頬を撫でて、甘い言葉もおまけしてやるよ。ただし二十歳未満はЯ指定だぜ。
「やっぱ秋学期の中間テスト、春学期よりも難しいな……」
「日曜学校ちゃりもやる事の高度やもんね。ブレイズ様、なんかよかテスト対策っちなかか?」
「そうね、やっぱり授業開始からやった範囲を総ざらいするのが一番かも。テストなんて結局、授業開始から今までの範囲で出題されるんだもの。それを一ヵ月前から復習すれば、確実にA評定がもらえるかな」
「要は愚直に全部勉強しろって事か……」
「楽は出来なかんやね……」
クソ真面目を絵に描いたような子だねぇ、ブレイズちゃんは……んな事せんでも点なんか取れるんだが。
「あー……これは寝言だぞ。数学にゃ数は少ねぇが基礎問題がある。それを着実に取っておきゃあ、あとは4,5問の大問をどう解くかだ。大問なんざ途中経過でも点が取れるわけだからなぁ。化学もそう、必ず基礎問題が出てくる。そいつを着実に取れるよう、基礎を反復すると幸せになるかもな」
メモってるメモってる。そうだ、楽できるポイントはちゃんと押さえとけ。じゃねぇと遊ぶ暇も作れねぇぞ?
前期のテスト構造を見て問題の傾向見ときゃあ、どんな作りになるか分かるだろ。それを踏まえて対策すりゃ、最低限の努力で必要な力を蓄えられるさ。そうすりゃ、残り時間を弱点部分の補強に当てられるだろ。
おっと読者諸君、別に俺様、熱心に指導してるわけじゃねーぜ。ただの寝言だから、寝言。勘違いして貰っちゃ困るが、俺様は今、シエスタの真っ最中なんだからな。
「やぁ、無駄な努力をしているようだね、ディジェ」
「ネロ!? お前どうして」
おー、面倒くせぇ奴二号、ネロが出てきやがった。
こいつ、なんでいちいち俺様に絡んでくんのかねぇ。最近カインの奴も学園に来てんだから、そっち行きゃいいもんをよぉ。
「自分の受け持つ生徒に個人授業ですか、ただ、教師として特定の生徒に肩入れするのはどうかと思いますが」
「べっつにー? 俺様サボってるだけだし、寝言ぶつぶつ言ってるだけだし。こいつらが隣でうっせーだけだし。なんか文句あんのか?」
「おや、でしたら失礼しました。それはそれとして、先生。相談事があるのですが、放課後にお時間いただけません?」
「嫌だ」
「そう言わず、これをどうぞ」
あん? おいなんだよこの封筒……こいつぁ……ふっ、分かってるじゃねぇか。
「三十分だけだぞ、それ以上はなしだ」
「ありがとうございます」
何渡されたって? そりゃあれだよ、娼館のクーポン券。
……マジでちょろいぜ俺様。つかてめぇ、未成年のくせしてどっから手に入れた。
「……プライドとかないの?」
「ない」
「……本当に大賢者様あるまじき人ね、貴方って……」
Oh、ブレイズちゃんの蔑みの眼差し、ごっちゃんです。
「おいネロ! ……負けないからな、絶対に」
「テストの事かい? 君に勝てる可能性なんてあると思っているのかな? ノートを貸してごらん」
受け取るや否や、あっという間に問題全部回答しやがった。完璧だぜこりゃ、口はうぜぇが、学生としてはまぁ優秀だな。
ただ……やっぱなんだろうなぁ。こいつ、ガッツはあるんだが相変わらず、冷たいガッツだぜ。ちゃんと教育したのか、カイン。
「この程度の問題で苦戦しているようじゃ、勝つのは無理だと思うけど」
「ぐ……それでも、やってみなくちゃ分からないだろ!」
「そげんたい! 試合な、やっちみなかっちがとからんけんもと!」
「レヴィ、君も僕に歯向かうのかい? Dクラスの皆は力の差を弁えて大人しくしているのに……君達は力の差を分かっていないようだね」
まー俺様も思うわ。こいつらとてめぇじゃ、頭の作りが違い過ぎる。ぶっちゃけ勝機は無きに等しいだろうな。
それでもこいつらは、馬鹿みてぇに足搔くんだろうなぁ。どこまでも、愚直によ。
「せいぜい無駄な努力をする事だね。馬鹿の考え休むに似たり、って諺があるけど……おっと、これは独り言だよ。独り言」
「くっ……ネロ!」
「図書室ではお静かに。それじゃあね」
優雅に出て行きやがるなぁ。ただ、嫌味なヤローだが実力はある。最初に会った時より小物感は薄くなってやがるぜ。
……正直、どうして急に大物感が出始めたのか、疑問ではあるがね。
「ディジェ君、いしょこまで言われたら、やるしかんちゃね」
「当然だ、絶対、絶対ネロに勝つ……俺自身のためにも!」
「私も手伝うよ。いくらカイン様のご子息でも、あれはないわ」
「ふーん、まぁ頑張れ。俺様おーえんしてるから」
一人だけ温度差あるって? 勘弁してくれよ読者諸君、だって俺様教師だよ? いわば審判だよ? 試合で審判が味方して、二対一になるわけにはいかねーじゃん。
それにさぁ、昼間に学校で授業したら夜には魔王の情報集めせにゃならんし。俺様結構大変なのよ。
「昼休みは残り十分か、最後に現代文だけでもおさらいしとかないと……けど現代文、なぁ……人の書いた物語読んで心情を抜き出せとか、わかるわけないじゃんか……」
「もう、さっき啖呵切ったんだから頑張らないと。現代文は文章に全ての答えが書いてあるから、読み解く練習をしていけば難しくないわよ」
「そげな事言われても、どげんしゅれば」
「なら演じてみたらどーだ。オペラみてぇに教科書読んでみるとかよ」
ま、そんなもん勉強ですらねーけどな。劇で現代文が学べるかっちゅー話だ。
「……“私を誕生せしめた天使は言った、汝、立ち上がるべき。生きよ、例え全てが敵となろうとも!”」
「えっ、レヴィさん? 急に何、どうしたの? 身振り手振りして教科書読んで」
「ばってん、先生の演じてみろっち言ったから」
こいつぁ驚いたぜ、完璧な演技だ。意外と役者の才能あんじゃねーの? いいねぇ、ちょっと俺ちゃん、ノッてきた。
「“なぜ汝は人間を庇う。奴らはなんと愚かな事、一度恐怖を味わってもなお、神の存在を軽んじる。そのような下劣なる輩、果たして本当に守るべき価値のある生物なのか!”」
「貴方もなんで乗ってるの!? つ、机の上に立っちゃダメ、悪目立ちしちゃう!」
何言ってんのブレイズちゃん、舞台は目立ってなんぼだぜ。
「“私は、人の御心に望まれ生まれた者。我が使命に背く事、すなわち自身を裏切る事! 我が信念に従って、断じてそれは許されぬ! 何故なら己を殺す事に等しいからだ!”」
「“ならば望み通り死ぬがよい! 世界の全てに疎まれながら、絶望の底に沈め! 愚かなる神の子よ!”」
いい具合に感情乗ってるじゃねぇか、やるねぇレヴィ!
「……“そこまでだ! 彼を疎まぬ者なら、ここに居る!”」
「ってディジェ君まで!?」
HAHAHA! いいねぇディジェ、ナイスガッツだ!
「“さ、さぁ剣を取れ! 反逆の時き、来たれり! 恐れる物など、な、にもない! 汝が友はここに居る、神に背きし魔王をい、今こそ、討伐す、るのだ!”」
カミカミでも問題ねぇさ、ばっちりハートがこもってやがる。演技はハートでやるもんだ!
「YOYO、ここまで来たら参加せざるを得ないぜブレイズちゃん」
「い、嫌です! こ、こんな怪しい劇にどうして……と言うよりなんでラップ調!?」
「YOYO、ネロと戦うためなんだ、頼む、協力してくれ!」
「YOYO、やっちみるっち面白かとよ! チェケラッチョ!」
読者の皆も、ブレイズちゃんに言ってやれ! YOYOってな!
「何この四方八方からの視線、異界から見られてるみたい……! う、ううぅ! 分かりました! やればいいんでしょやれば!」
「Yeah! Lets Say Guys!」
『Hoooo!』
ぼさっと読んでないで、読者諸君も協力しな。ご機嫌なショーには、バックダンサーがつきもんだろう!
はい両手を挙げて、大きく振りながら左右にステップ! 右にターン、左にターン! ジャンプをしてから胸を張って、着地と同時にドヤ顔決め決めポーズ! ほれやれ諸君! 後ろの三人もちゃんとやってんぞ!
レヴィ「“神の血を引く天使の子は、逆襲を冠する剣を握った!”」
俺ちゃん「“祖の銘が導くままに、今こそ振るえ断罪の刃!”」
ガキ「“も、燃え行くさ……運命を背負って駆けろ!”」
ブレイズちゃん「“まさしく汝は魔を断つ子! 真なる勇気を持つ天使!”」
『“人は叫び、名を呼んだ! 魔に反逆する者と!”』
最後に四人で決めっ! ハッハー! いいねぇ、スウィートな気分だぜ!
はい読者諸君、拍手拍手ー! 完璧だぁ、素晴らしい! 見ろよ周りの連中を! 最高のショーに全員見入っちまってるぜ! excellent!
こいつぁ、今すぐ劇団作って披露した方がいいんじゃねぇか? なぁ読者諸君!
「……何してんのハワードさん」
「げっ、親父!?」
「おうヨハン、見てたか? お前の息子結構ノリがいいじゃねぇか」
「……そーだな。四人とも、ちょっとおいで。じーっくりお話ししたい事が今出来たよ」
はっはっは、いいぜいいぜ! 劇の感想聞かせてくれんだろ? いやーてめぇもノリが分かるようになったじゃないの!
……わーってるよ、そんな呑気な話じゃねぇ事くらいよぉ……。
その後、俺らはきっちり一時間説教喰らってしまいましたとさ。ちゃんちゃん☆
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