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最終話 大団円
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「うむ、中々似合っているではないか」
ギルドにて、僕の姿を眺めたエルザは満足気に頷いた。
妖刀・天帝に加えて手に入れた新たな剣、聖剣ヴァリアント。新しい僕の刃だ。
エルザが細工をして、剣を背中に直接くっつけるギミックをつけてくれたんだ。それとレンタルマジックに「収納」も加えてくれたから、使わない時は亜空間に仕舞う事もできる。
アースが使っていた物だから少し抵抗あるけど……剣に罪はない。僕を所有者と認めてくれたのなら、遠慮なく力を貸してもらおう。
「立派なもんじゃないか、すっかり俺達と肩を並べたな」
「ええ、今日から二人とも、ゴールドランク冒険者だものね」
ロイドとミスティが嬉しそうに微笑む。アースを追い返した功績で、僕とエルザはゴールドランクへと昇格したんだ。
今でも信じられないよ、まさか僕がゴールドランクまで昇格するなんて。
けど、胸を張ろう。これは僕が勝ち取った地位だ。初めて認められ、得た功績なんだ。
「ゴールドランクが四人か、ベルゼンの未来は明るいね」
「マスター。アースの件、ありがとうございました」
「ベルゼンを守るために動いたまでさ。君らの居場所を、消さないためにね」
そう、この街は僕とエルザの大事な居場所だ。
きっと以前の僕ならば、アースから守れず、きっと壊していたはずだ。でも、エルザと出会って、彼女を大事に思うようになって、嫌いな自分と向き合って……僕は、変われた。
おじいさんがくれた剣の意味を、僕はようやく理解できたんだ。
「そうそう、シュウよ。もう一度あれを言ってくれないか?」
「いや、あれは……ちょっと……」
「おーねーがーいーだ」
エルザが覆いかぶさってきた。以前にもまして、エルザは僕に抱き着くようになった。
アースに啖呵を切った時は、怒りのあまり自然に口に出せたけど、素面で言うのはかなりその……恥ずかしいんだけど。
「言わなければ、お仕置きだっ」
「ひゃっ!? だから耳を咥えないで! 言う、言うから!」
「うむ、凛々しく頼むぞ」
「……僕は、勇者になる。魔王を守る、勇者になる」
「ふふふ……なんと響きの良い言葉だ! 私だけの勇者とは、より愛しくなったではないか! なぁもう一回! もう一回言ってくれ!」
「言わないよ! うひっ!? 耳を咥えるのやめてよ!」
エルザのスキンシップも激しくなったなぁ……でも、悪い気はしないんだ。
だって僕は、エルザが好きだから。彼女に対する好きの意味も、しっかり理解できる。
エルザの勇者として、剣を握ろう。それが僕の役割だから。
……でも、まだ僕達の関係って、はっきりしてないんだよね。
どっちも告白をしていないから、その……恋愛関係ってわけじゃないんだ。
ちゃんとしないとって思うんだけど、いざしようとするとなぜか踏み出せない。肝心なところで意気地なしなのは、変わってないんだなぁ……。
「ま、いっか。よいしょっと」
一人納得した所で、全員分の荷物を背負う。皆はやらなくていいのにって言うけど、僕は探索者だ。縁の下として活躍するのも、僕の役割だからね。
「よし行くぞシュウ! 今日の仕事もさくっと済ませてしまおう! でもって帰ったら、存分にお前を愛でさせてくれ! シュウ~シュウ~可愛いシュウ~♪」
上機嫌なエルザにつられ、僕も笑みが浮かんだ。
僕達は生きていく、この新しい居場所で。この愛しい魔王と一緒に。
ギルドにて、僕の姿を眺めたエルザは満足気に頷いた。
妖刀・天帝に加えて手に入れた新たな剣、聖剣ヴァリアント。新しい僕の刃だ。
エルザが細工をして、剣を背中に直接くっつけるギミックをつけてくれたんだ。それとレンタルマジックに「収納」も加えてくれたから、使わない時は亜空間に仕舞う事もできる。
アースが使っていた物だから少し抵抗あるけど……剣に罪はない。僕を所有者と認めてくれたのなら、遠慮なく力を貸してもらおう。
「立派なもんじゃないか、すっかり俺達と肩を並べたな」
「ええ、今日から二人とも、ゴールドランク冒険者だものね」
ロイドとミスティが嬉しそうに微笑む。アースを追い返した功績で、僕とエルザはゴールドランクへと昇格したんだ。
今でも信じられないよ、まさか僕がゴールドランクまで昇格するなんて。
けど、胸を張ろう。これは僕が勝ち取った地位だ。初めて認められ、得た功績なんだ。
「ゴールドランクが四人か、ベルゼンの未来は明るいね」
「マスター。アースの件、ありがとうございました」
「ベルゼンを守るために動いたまでさ。君らの居場所を、消さないためにね」
そう、この街は僕とエルザの大事な居場所だ。
きっと以前の僕ならば、アースから守れず、きっと壊していたはずだ。でも、エルザと出会って、彼女を大事に思うようになって、嫌いな自分と向き合って……僕は、変われた。
おじいさんがくれた剣の意味を、僕はようやく理解できたんだ。
「そうそう、シュウよ。もう一度あれを言ってくれないか?」
「いや、あれは……ちょっと……」
「おーねーがーいーだ」
エルザが覆いかぶさってきた。以前にもまして、エルザは僕に抱き着くようになった。
アースに啖呵を切った時は、怒りのあまり自然に口に出せたけど、素面で言うのはかなりその……恥ずかしいんだけど。
「言わなければ、お仕置きだっ」
「ひゃっ!? だから耳を咥えないで! 言う、言うから!」
「うむ、凛々しく頼むぞ」
「……僕は、勇者になる。魔王を守る、勇者になる」
「ふふふ……なんと響きの良い言葉だ! 私だけの勇者とは、より愛しくなったではないか! なぁもう一回! もう一回言ってくれ!」
「言わないよ! うひっ!? 耳を咥えるのやめてよ!」
エルザのスキンシップも激しくなったなぁ……でも、悪い気はしないんだ。
だって僕は、エルザが好きだから。彼女に対する好きの意味も、しっかり理解できる。
エルザの勇者として、剣を握ろう。それが僕の役割だから。
……でも、まだ僕達の関係って、はっきりしてないんだよね。
どっちも告白をしていないから、その……恋愛関係ってわけじゃないんだ。
ちゃんとしないとって思うんだけど、いざしようとするとなぜか踏み出せない。肝心なところで意気地なしなのは、変わってないんだなぁ……。
「ま、いっか。よいしょっと」
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「よし行くぞシュウ! 今日の仕事もさくっと済ませてしまおう! でもって帰ったら、存分にお前を愛でさせてくれ! シュウ~シュウ~可愛いシュウ~♪」
上機嫌なエルザにつられ、僕も笑みが浮かんだ。
僕達は生きていく、この新しい居場所で。この愛しい魔王と一緒に。
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