20 / 23
20話 盤外戦術のオンパレード
しおりを挟む
アルテミスとの決闘が間近に迫っていた。
創造神様が指定した異世界にて、私は最高戦力の転生者を連れて奴を待っていた。
奴のチート行為に関してはルールで徹底して潰してある、地力での勝負に持ち込めば、こっちが圧倒的に有利な条件だ。
転生者真柴は私が連れて来た中でも最高傑作の男、与えた能力も装備も、アルテミスなんかとは比べ物にならない。
好き勝手暴れ回るのもここまでだ、奴を無様に打ち負かして、その素顔を晒してやる。
「女神様、本当にこの世界にやばい奴が来るんですか?」
「勿論です。そ奴を討伐しないと、この世界が危ないのです。どうか力を貸してください」
転生者は適当におだてておけば思い通りに動いてくれる、都合のいい駒だ。今後もこいつで精々稼がせてもらうとしよう。
にしても遅いな……あと一分で開始だと言うのに、まだアルテミスは姿を見せない。今になって怖気づいたか?
なんて思った瞬間、突然ゲートが開き、
「さぁ、デュエル開始だぁ!」
大型バイクに乗り、アルテミスが出現した!
「って何バイクを持ち込んでるんですか!? ルール違反だルール違反! 世界観を守れぇ!」
「これは装備だよ、僕らの武器さ! 一体どのルールに抵触してるってのかなぁ!」
確かにどのルールにも抵触してない、ジャッジの創造神様が無反応なのがいい証拠だ。
でもここは中世ファンタジー世界だぞ、思い切り世界観ぶち破るもん使ってんじゃねぇ!
「な、なんだあいつ!? あれがやばい奴なんですか!?」
「見ての通りやばい奴です! さぁさっさと討伐を」
「エスペランサ!」
私は気づいた、後部座席に奴のパートナーが乗っているのを。
魔王エスペランサは煙玉で煙幕を張り、視界を制限した。あまりの煙たさに我々はせき込んだ。
なんか粉っぽい……あれ、これもしかして、小麦粉?
「着火!」
アルテミスの声の後、エスペランサが魔法で小麦粉に火をつけた。
直後に起こる大爆発! 流石の真柴も耐えきれずにもんどりうって倒れてしまう。粉塵爆発によってとんでもない先制攻撃を受けてしまった。
「こ、こんにゃろ……!」
奴らはバイクで遥か彼方へ去っている。くっそ、不意打ちなんて卑怯な! ルール通り戦え!
「創造神様! あれはいいんですか、ルール違反なのでは!?」
『別にルールは破っていないだろう。事前に装備を整えてはいけないと定められていないし、戦況を一方的にするようなアイテムを使っているわけではない。何より、「異世界の中で戦え」と定めているわけだから、どこへ行こうと君達の勝手だ。私から咎める事は何もないよ』
くそ、ジャッジが向こうよりで話にならない!
「急いで追いかけるのですよ! 何としても奴をぶっ殺すのです!」
「え、えええ!?」
転生者を引き連れ、私は追いかけた。おのれアルテミス、次は何をしでかすつもりだ!
創造神様が指定した異世界にて、私は最高戦力の転生者を連れて奴を待っていた。
奴のチート行為に関してはルールで徹底して潰してある、地力での勝負に持ち込めば、こっちが圧倒的に有利な条件だ。
転生者真柴は私が連れて来た中でも最高傑作の男、与えた能力も装備も、アルテミスなんかとは比べ物にならない。
好き勝手暴れ回るのもここまでだ、奴を無様に打ち負かして、その素顔を晒してやる。
「女神様、本当にこの世界にやばい奴が来るんですか?」
「勿論です。そ奴を討伐しないと、この世界が危ないのです。どうか力を貸してください」
転生者は適当におだてておけば思い通りに動いてくれる、都合のいい駒だ。今後もこいつで精々稼がせてもらうとしよう。
にしても遅いな……あと一分で開始だと言うのに、まだアルテミスは姿を見せない。今になって怖気づいたか?
なんて思った瞬間、突然ゲートが開き、
「さぁ、デュエル開始だぁ!」
大型バイクに乗り、アルテミスが出現した!
「って何バイクを持ち込んでるんですか!? ルール違反だルール違反! 世界観を守れぇ!」
「これは装備だよ、僕らの武器さ! 一体どのルールに抵触してるってのかなぁ!」
確かにどのルールにも抵触してない、ジャッジの創造神様が無反応なのがいい証拠だ。
でもここは中世ファンタジー世界だぞ、思い切り世界観ぶち破るもん使ってんじゃねぇ!
「な、なんだあいつ!? あれがやばい奴なんですか!?」
「見ての通りやばい奴です! さぁさっさと討伐を」
「エスペランサ!」
私は気づいた、後部座席に奴のパートナーが乗っているのを。
魔王エスペランサは煙玉で煙幕を張り、視界を制限した。あまりの煙たさに我々はせき込んだ。
なんか粉っぽい……あれ、これもしかして、小麦粉?
「着火!」
アルテミスの声の後、エスペランサが魔法で小麦粉に火をつけた。
直後に起こる大爆発! 流石の真柴も耐えきれずにもんどりうって倒れてしまう。粉塵爆発によってとんでもない先制攻撃を受けてしまった。
「こ、こんにゃろ……!」
奴らはバイクで遥か彼方へ去っている。くっそ、不意打ちなんて卑怯な! ルール通り戦え!
「創造神様! あれはいいんですか、ルール違反なのでは!?」
『別にルールは破っていないだろう。事前に装備を整えてはいけないと定められていないし、戦況を一方的にするようなアイテムを使っているわけではない。何より、「異世界の中で戦え」と定めているわけだから、どこへ行こうと君達の勝手だ。私から咎める事は何もないよ』
くそ、ジャッジが向こうよりで話にならない!
「急いで追いかけるのですよ! 何としても奴をぶっ殺すのです!」
「え、えええ!?」
転生者を引き連れ、私は追いかけた。おのれアルテミス、次は何をしでかすつもりだ!
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
♪イキイキさん ~インフィニットコメディー! ミラクルワールド!~ 〈初日 巳よっつの刻(10時30分頃)〉
神棚 望良(かみだな もちよし)
ファンタジー
「♪吾輩(わあがはあい~)は~~~~~~ ♪一丁前(いっちょおうまええ)の~~~~~~ ♪ネコさんなんだもの~~~~~~
♪吾輩(わあがはあい~)は~~~~~~ ♪一丁前(いっちょおうまええ)の~~~~~~ ♪ネコさんなんだもの~~~~~~
♪吾輩(わあがはあい~)は~~~~~~ ♪一丁前(いっちょおうまええ)の~~~~~~ ♪ネコさんなんだもの~~~~~~」
「みんな、みんな~~~!今日(こお~~~~~~んにち~~~~~~わあ~~~~~~!」
「もしくは~~~、もしくは~~~、今晩(こお~~~~~~んばん~~~~~~わあ~~~~~~!」
「吾輩の名前は~~~~~~、モッチ~~~~~~!さすらいの~~~、駆け出しの~~~、一丁前の~~~、ネコさんだよ~~~~~~!」
「これから~~~、吾輩の物語が始まるよ~~~~~~!みんな、みんな~~~、仲良くしてね~~~~~~!」
「♪吾輩(わあがはあい~)は~~~~~~ ♪一丁前(いっちょおうまええ)の~~~~~~ ♪ネコさんなんだもの~~~~~~
♪吾輩(わあがはあい~)は~~~~~~ ♪一丁前(いっちょおうまええ)の~~~~~~ ♪ネコさんなんだもの~~~~~~
♪吾輩(わあがはあい~)は~~~~~~ ♪一丁前(いっちょおうまええ)の~~~~~~ ♪ネコさんなんだもの~~~~~~」
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
虐げられ続け、名前さえ無い少女は王太子に拾われる
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】以前の小説をリメイクして新しい小説として投稿しています。
名前も付けられずに公爵家の屋敷の埃の被った図書室の中で育った元聖国の王女は虐待で傷だらけで魔物の居る森に捨てられ、王太子に拾われて宰相の養女となり、王国の聖女と呼ばれ、波乱万丈の人生をおくるが王太子妃になり幸せになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる