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3話 反逆の魔王達
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アテナを潰す。決意した僕は早速行動を開始した。
まずは味方を増やさないと。魔王達は当然として、名ありの仲間役達にも話を聞いてみた。
彼らは肉体的な苦痛こそないけど、主役となる連中の太鼓持ちをしなきゃいけないから、精神的ストレスが半端ないらしい。毎日が接待プレイだもの、中には胃薬を常用し続ける人も居るみたいだ。
予想通り、仲間役もかなり参った様子だ。ちょっとでも目立とうものなら神達から激しいクレームが行くから、神経衰弱になっている人ばかり。彼らは精神病院みたいな場所に収容されて治療を受けていた。
「もう異世界には行きたくないよ……あいつらの接待は相当面倒なんだ」
「好きでもない相手に惚れたふりをしなくちゃいけないし、時にはセクハラめいた事もされるし……思い出しただけで寒イボが立ってきちゃう……」
「適度にやられ役にやらなきゃならないんだけど、その加減も難しくてさ。ちょっとでも加減を間違えたら大目玉……うっ、クレームを考えたら頭痛が……」
こんな意見が多々見られる。そりゃ、無給でコンパニオンやらされてればそうなるよね。それに中には神達の奴隷だった人も居て、彼らの扱いもまた酷い物だ。
何しろ、些細な事で文句を言ったり、酷い虐待を加えたりするケースもあるそうだ。聞けば聞く程腐り切った世界だよ、ここは。
異世界物の裏側には、神にそれこそ家畜のように扱われている人たちがわんさか居る。彼らと手を結べば、とある計画を実行できるはずだ。
「シズナ、異世界の運営も元は異世界の人達なんだよね」
「ああ、人件費削減とか言って回されるんだ。相当な激務で毎日何人も倒れてるけど、神達は「代わりはいくらでも居る」って言って気にしないな」
「奴隷扱いしてるわけか、それなら手はあるな」
ある偉い人は言いました、奴隷は失う物がないからこそ王に噛みつけるのだと。それこそが神への反逆の一歩だ。
早速僕は魔王達を集め、演説した。
「皆! このまま利用されるばかりでいいのか? 神達にいいように使われてばかりで、悔しくないのか!」
「でも、神に歯向かったら、殺されてしまうし……」
エスペランサがふるふると首を横に振った。僕は「確かにそうだ」と同意しつつ、
「じゃあ今の生活は幸せなのかい? 傷が治ったらやりたくもない戦に向かわされて、神のシナリオにそってやられて、また殺されに異世界へ連れていかれて……こんな生活が本当に幸せなのかい?」
「そんなの……あり得ないわ。こんな生活なんて、もうこりごりよ。私には夢があるの、カフェを開きたいって夢が! なのに神のせいで……」
「お、俺だって! ミュージシャンになりたいって夢があるんだ!」
「やりたい事があるのに、こんな事を無理やり続けるなんて、もうたくさんだ!」
「なら戦おう、神に歯向かう策があるんだ。皆の力を借りれば、神に一泡吹かせられる! 奴らに目に物を見せて、皆の権利を勝ち取るんだ!」
僕の策を聞いて、魔王達は驚いていた。勿論失敗すれば神に殺されるだろうけど、
「元々生きていても仕方ない人生だ……いいだろう、お前に我が命をくれてやる!」
「神をぶっ潰せるならこんな命なんか必要ない! いくらでも力を使って!」
「君は俺達にとても優しくしてくれた、そんな君が俺達のために言い出し、立ち上がってくれたんだ!」
「だったらいくらでも、戦ってみせるさ!」
捨てる物がないからこそ、皆僕の案に乗ってくれる。それに神は彼らを奴隷と思って、一切の優しさを見せなかった。半年間の労働で信頼を勝ち取った僕に付くのは当然だ。
同じ演説と策を、仲間役や異世界の運営側にも広めていった。返事は当然「OK!」の即答。皆この状況をどうにかしようと手を結んでくれた。
これで異世界のシステムは、僕が全部掌握した。神達の奴隷を解放し、基本的人権を得るための戦いが、まさに始まったのだ。
さぁ神達よ、奴隷の恐さをとくと思い知らせてやるからな!
まずは味方を増やさないと。魔王達は当然として、名ありの仲間役達にも話を聞いてみた。
彼らは肉体的な苦痛こそないけど、主役となる連中の太鼓持ちをしなきゃいけないから、精神的ストレスが半端ないらしい。毎日が接待プレイだもの、中には胃薬を常用し続ける人も居るみたいだ。
予想通り、仲間役もかなり参った様子だ。ちょっとでも目立とうものなら神達から激しいクレームが行くから、神経衰弱になっている人ばかり。彼らは精神病院みたいな場所に収容されて治療を受けていた。
「もう異世界には行きたくないよ……あいつらの接待は相当面倒なんだ」
「好きでもない相手に惚れたふりをしなくちゃいけないし、時にはセクハラめいた事もされるし……思い出しただけで寒イボが立ってきちゃう……」
「適度にやられ役にやらなきゃならないんだけど、その加減も難しくてさ。ちょっとでも加減を間違えたら大目玉……うっ、クレームを考えたら頭痛が……」
こんな意見が多々見られる。そりゃ、無給でコンパニオンやらされてればそうなるよね。それに中には神達の奴隷だった人も居て、彼らの扱いもまた酷い物だ。
何しろ、些細な事で文句を言ったり、酷い虐待を加えたりするケースもあるそうだ。聞けば聞く程腐り切った世界だよ、ここは。
異世界物の裏側には、神にそれこそ家畜のように扱われている人たちがわんさか居る。彼らと手を結べば、とある計画を実行できるはずだ。
「シズナ、異世界の運営も元は異世界の人達なんだよね」
「ああ、人件費削減とか言って回されるんだ。相当な激務で毎日何人も倒れてるけど、神達は「代わりはいくらでも居る」って言って気にしないな」
「奴隷扱いしてるわけか、それなら手はあるな」
ある偉い人は言いました、奴隷は失う物がないからこそ王に噛みつけるのだと。それこそが神への反逆の一歩だ。
早速僕は魔王達を集め、演説した。
「皆! このまま利用されるばかりでいいのか? 神達にいいように使われてばかりで、悔しくないのか!」
「でも、神に歯向かったら、殺されてしまうし……」
エスペランサがふるふると首を横に振った。僕は「確かにそうだ」と同意しつつ、
「じゃあ今の生活は幸せなのかい? 傷が治ったらやりたくもない戦に向かわされて、神のシナリオにそってやられて、また殺されに異世界へ連れていかれて……こんな生活が本当に幸せなのかい?」
「そんなの……あり得ないわ。こんな生活なんて、もうこりごりよ。私には夢があるの、カフェを開きたいって夢が! なのに神のせいで……」
「お、俺だって! ミュージシャンになりたいって夢があるんだ!」
「やりたい事があるのに、こんな事を無理やり続けるなんて、もうたくさんだ!」
「なら戦おう、神に歯向かう策があるんだ。皆の力を借りれば、神に一泡吹かせられる! 奴らに目に物を見せて、皆の権利を勝ち取るんだ!」
僕の策を聞いて、魔王達は驚いていた。勿論失敗すれば神に殺されるだろうけど、
「元々生きていても仕方ない人生だ……いいだろう、お前に我が命をくれてやる!」
「神をぶっ潰せるならこんな命なんか必要ない! いくらでも力を使って!」
「君は俺達にとても優しくしてくれた、そんな君が俺達のために言い出し、立ち上がってくれたんだ!」
「だったらいくらでも、戦ってみせるさ!」
捨てる物がないからこそ、皆僕の案に乗ってくれる。それに神は彼らを奴隷と思って、一切の優しさを見せなかった。半年間の労働で信頼を勝ち取った僕に付くのは当然だ。
同じ演説と策を、仲間役や異世界の運営側にも広めていった。返事は当然「OK!」の即答。皆この状況をどうにかしようと手を結んでくれた。
これで異世界のシステムは、僕が全部掌握した。神達の奴隷を解放し、基本的人権を得るための戦いが、まさに始まったのだ。
さぁ神達よ、奴隷の恐さをとくと思い知らせてやるからな!
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