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43話 あやかしの暮らしって?
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クェーサーに何かできないか、サヨリヒメは悩んでいた。
妙案が思いつかず、時間だけが過ぎていく。気分転換にコーヒーを淹れ、一息入れる事にした。
「サヨリヒメ、またシュガースティック5本も入れてるの? 体に悪いよ、控えなって」
「神様じゃから問題ないもーん。麻山はよくブラックで飲めるのぉ」
「砂糖とか入れたら香りとか台無しにならない?」
「ブラックは日本特有の文化じゃ、たっぷりの砂糖とミルクを入れるのが海外では常識なのじゃよ」
「日本土着の神様が何言ってるのさ」
麻山とはよく話す仲になった。ネットゲームを趣味にする者同士、話が合うのだ。
「そういやさ、サヨリヒメってどこに住んでるの?」
「山じゃよ、自然がわらわの家じゃ」
「そうなのかい? 履歴書には立川に住んでるって書かれてたけど」
サヨリヒメは驚く羽山にウインクし、「詐称じゃ」と答えた。
「立川にはよく行くから土地勘はあるがの。ラーメンスクエアの常連じゃぞ」
「ラーメン好きなんだ。と言うか経歴詐称って犯罪だけど」
「あやかしを裁ける法など存在しないからのぉ、やりたい放題最高じゃ」
「うんまぁ、うちとしては神様雇えるから構わないんだけど、ほどほどにね」
羽山は苦笑した。なんやかや身内に甘いが、犬養がその辺をフォローしているのでバランスは取れているのである。
「山で生活してて不便しない? スマホの充電もできないし」
「充電くらい妖力でどうにでもなる。他のあやかしも同じようなものじゃし」
「おや、ヒメ以外にも山で暮らすあやかしが居るんだね」
「当然じゃ。街に暮らすあやかしなどほんの一部じゃぞ。妖力で山の中でも街中と同水準の生活をしておるのじゃ」
「山の中でゲームとかしてるってこと?」
「まぁの。河童や天狗が洞窟でスマブラとかしておるぞ」
「シュールな光景だね、対戦してみたいもんだよ」
「電源も妖力で賄ってるのかい?」
「Wi-Fiもな。自前じゃから全部ロハじゃ」
「なんかずるい。妖力なんでもありじゃんか」
「まぁ、出来ない事も多いんじゃがのぉ。快適な暮らしをするには困らんぞ」
「自然の中の暮らしか、興味があるね」
「なんなら来てみるか? わらわの住まいに」
「えっ、いいの?」
「隠す事でもないからの。他に興味がある者が居れば来ても構わんぞ」
「それはいいね、何人か声をかけてみようか。勿論、クェーサーも」
麻山にはクェーサーに対する感情がばれている。赤らみつつ、サヨリヒメは頷いた。
着々と話が進んでいく。サヨリヒメはクェーサーに目をやり、頬に手を当てた。
……父上は当面戻ってこないだろうし、多分大丈夫だろう。苦悩する彼に、少しでも手助けしたかった。
妙案が思いつかず、時間だけが過ぎていく。気分転換にコーヒーを淹れ、一息入れる事にした。
「サヨリヒメ、またシュガースティック5本も入れてるの? 体に悪いよ、控えなって」
「神様じゃから問題ないもーん。麻山はよくブラックで飲めるのぉ」
「砂糖とか入れたら香りとか台無しにならない?」
「ブラックは日本特有の文化じゃ、たっぷりの砂糖とミルクを入れるのが海外では常識なのじゃよ」
「日本土着の神様が何言ってるのさ」
麻山とはよく話す仲になった。ネットゲームを趣味にする者同士、話が合うのだ。
「そういやさ、サヨリヒメってどこに住んでるの?」
「山じゃよ、自然がわらわの家じゃ」
「そうなのかい? 履歴書には立川に住んでるって書かれてたけど」
サヨリヒメは驚く羽山にウインクし、「詐称じゃ」と答えた。
「立川にはよく行くから土地勘はあるがの。ラーメンスクエアの常連じゃぞ」
「ラーメン好きなんだ。と言うか経歴詐称って犯罪だけど」
「あやかしを裁ける法など存在しないからのぉ、やりたい放題最高じゃ」
「うんまぁ、うちとしては神様雇えるから構わないんだけど、ほどほどにね」
羽山は苦笑した。なんやかや身内に甘いが、犬養がその辺をフォローしているのでバランスは取れているのである。
「山で生活してて不便しない? スマホの充電もできないし」
「充電くらい妖力でどうにでもなる。他のあやかしも同じようなものじゃし」
「おや、ヒメ以外にも山で暮らすあやかしが居るんだね」
「当然じゃ。街に暮らすあやかしなどほんの一部じゃぞ。妖力で山の中でも街中と同水準の生活をしておるのじゃ」
「山の中でゲームとかしてるってこと?」
「まぁの。河童や天狗が洞窟でスマブラとかしておるぞ」
「シュールな光景だね、対戦してみたいもんだよ」
「電源も妖力で賄ってるのかい?」
「Wi-Fiもな。自前じゃから全部ロハじゃ」
「なんかずるい。妖力なんでもありじゃんか」
「まぁ、出来ない事も多いんじゃがのぉ。快適な暮らしをするには困らんぞ」
「自然の中の暮らしか、興味があるね」
「なんなら来てみるか? わらわの住まいに」
「えっ、いいの?」
「隠す事でもないからの。他に興味がある者が居れば来ても構わんぞ」
「それはいいね、何人か声をかけてみようか。勿論、クェーサーも」
麻山にはクェーサーに対する感情がばれている。赤らみつつ、サヨリヒメは頷いた。
着々と話が進んでいく。サヨリヒメはクェーサーに目をやり、頬に手を当てた。
……父上は当面戻ってこないだろうし、多分大丈夫だろう。苦悩する彼に、少しでも手助けしたかった。
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