19 / 57
19話 メタバースデート
しおりを挟む「よいかクェーサー、わらわがガスを撒いたら攻撃するぞよ」
「分かりました」
電脳世界に入ったサヨリヒメは、クェーサーと共にオンラインゲームに興じていた。
3人一組になって戦うバトルロイヤルゲームだ。サヨリヒメが放ったガスにより敵の動きが遅くなる。その隙にクェーサーが突撃し、敵を一掃した。
漁夫られないよう、クェーサーのキャラでシールドを張って警戒しつつ安全圏へ。激しいバトロワをクェーサーの活躍により順調に生き残っていた。
「凄いのぉクェーサー! キル率高すぎ君じゃ!」
「これでよいのですか」
「良き良き! おっと次の敵が来たぞ、撃つのじゃあ!」
他のプレイヤーと違い、2人はVRで遊んでいるようなものだ。臨場感は相当なものである。ちなみに姿はゲーム内のスキンになっていた。
しかしクェーサーは随分と当てている、初心者だと言うのに異常なキル率だ。
『おっと来たよあんた! さっきのやり合いで削れてるけどイケる!? 私が先行くからカバーよろしく!』
聞き覚えのある声のVCと繋がった、白瀬の声だ。
どうやら夫と共に遊んでいるようだ、ネットの世界は狭い物である。
「身内同士のぶつかり合いとは奇遇じゃのぉ、返り討ちに……なんでVCが聞こえるんじゃ?」
「ハッキングしました。相手の声が聞こえれば戦略も取りやすいので」
クェーサーの意味深な発言の後、まるで見えているかのような速度で白瀬達を発見し、百発百中のエイムで撃ちぬいた。
なんか嫌な予感がするサヨリヒメであった。
「のぅクェーサー……おぬし、オートエイムって知っとるか?」
「ウォールハックと共に搭載しました」
『こいつら……チーターじゃんか!? おい通報だ通報! 動画取ってる? 運営に知らせろぉ!』
「切断じゃ! 逃げるぞクェーサー!」
「なぜですか」
「チートは違反行為なのじゃあ!」
AIだから正々堂々なんて言葉を知らないようだ。きちんとチートはダメだと教えてから、サヨリヒメはホラーゲームの世界へ連れて行った。
そこでは、包丁を振り回す殺人鬼に追いかけまわされる羽目になっていた。
「ぬおお!? こやつ手鏡かぁ!? ネコか恵みを付けとくべきじゃった!」
「私達の位置を把握しています。ウォールハックは違反です、通報しましょう」
「これアドオンの効果じゃから、ちゃんとルールにのっとった効果じゃから。ひょええ先回りされた!?」
サヨリヒメが切り付けられそうになった時、クェーサーが身代わりになった。
クェーサーは常にサヨリヒメを守るように立ち回り、結果2人は無事に試合に勝利していた。
「ふぃ~……あのアドオンはジャンルが変わるのぉ。しかしクェーサー、あんなにわらわを守らんでもよかったのじゃぞ?」
「サヨリヒメが傷つくのを、見たくなかったのです。ゲームの世界であろうと、私が貴女を守ります」
「むむ……は、恥ずかしい事を言うのぉ……」
「なぜ恥ずかしがるのですか」
「う、うららかな乙女心と言うやつじゃ。なんだってこんな男らしゅう育ちおったのじゃ……不覚にも恰好いいと思ってしもうたわ……」
「それより、先ほどの対戦相手。また白瀬でしたね」
「ぬお? 確かにIDが同じじゃの」
『gg♡ matayarouze!』
今度は白瀬から称えられた。クェーサーは喜びを感じ、手を握りしめた。
「チート無しで勝つと、気持ちがいいですね」
「分かってくれたか。殺伐としたゲームが続いたの、ちょいと骨休めするぞ」
サヨリヒメが連れて来たのは、アメリカが舞台のゲームだ。
タンデムバイクに乗って、湾岸沿いを思いっきり走っている。クェーサーの背にしがみつき、サヨリヒメはバイクデートを楽しんでいた。
クェーサーはヒロイックな外見をしているから、まるで特撮のヒロインにでもなったかのようだ。サヨリヒメは、運転するクェーサーに額を押し付けた。
バイクデートは、サヨリヒメの憧れていたシチュエーションだ。思わぬ形で夢が叶い、サヨリヒメは幸せそうな顔をした。
「のう、クェーサー」
「なんでしょうか」
「名を呼んだだけじゃ」
胸をどきどきさせながら、サヨリヒメはクェーサーを抱きしめた。
「分かりました」
電脳世界に入ったサヨリヒメは、クェーサーと共にオンラインゲームに興じていた。
3人一組になって戦うバトルロイヤルゲームだ。サヨリヒメが放ったガスにより敵の動きが遅くなる。その隙にクェーサーが突撃し、敵を一掃した。
漁夫られないよう、クェーサーのキャラでシールドを張って警戒しつつ安全圏へ。激しいバトロワをクェーサーの活躍により順調に生き残っていた。
「凄いのぉクェーサー! キル率高すぎ君じゃ!」
「これでよいのですか」
「良き良き! おっと次の敵が来たぞ、撃つのじゃあ!」
他のプレイヤーと違い、2人はVRで遊んでいるようなものだ。臨場感は相当なものである。ちなみに姿はゲーム内のスキンになっていた。
しかしクェーサーは随分と当てている、初心者だと言うのに異常なキル率だ。
『おっと来たよあんた! さっきのやり合いで削れてるけどイケる!? 私が先行くからカバーよろしく!』
聞き覚えのある声のVCと繋がった、白瀬の声だ。
どうやら夫と共に遊んでいるようだ、ネットの世界は狭い物である。
「身内同士のぶつかり合いとは奇遇じゃのぉ、返り討ちに……なんでVCが聞こえるんじゃ?」
「ハッキングしました。相手の声が聞こえれば戦略も取りやすいので」
クェーサーの意味深な発言の後、まるで見えているかのような速度で白瀬達を発見し、百発百中のエイムで撃ちぬいた。
なんか嫌な予感がするサヨリヒメであった。
「のぅクェーサー……おぬし、オートエイムって知っとるか?」
「ウォールハックと共に搭載しました」
『こいつら……チーターじゃんか!? おい通報だ通報! 動画取ってる? 運営に知らせろぉ!』
「切断じゃ! 逃げるぞクェーサー!」
「なぜですか」
「チートは違反行為なのじゃあ!」
AIだから正々堂々なんて言葉を知らないようだ。きちんとチートはダメだと教えてから、サヨリヒメはホラーゲームの世界へ連れて行った。
そこでは、包丁を振り回す殺人鬼に追いかけまわされる羽目になっていた。
「ぬおお!? こやつ手鏡かぁ!? ネコか恵みを付けとくべきじゃった!」
「私達の位置を把握しています。ウォールハックは違反です、通報しましょう」
「これアドオンの効果じゃから、ちゃんとルールにのっとった効果じゃから。ひょええ先回りされた!?」
サヨリヒメが切り付けられそうになった時、クェーサーが身代わりになった。
クェーサーは常にサヨリヒメを守るように立ち回り、結果2人は無事に試合に勝利していた。
「ふぃ~……あのアドオンはジャンルが変わるのぉ。しかしクェーサー、あんなにわらわを守らんでもよかったのじゃぞ?」
「サヨリヒメが傷つくのを、見たくなかったのです。ゲームの世界であろうと、私が貴女を守ります」
「むむ……は、恥ずかしい事を言うのぉ……」
「なぜ恥ずかしがるのですか」
「う、うららかな乙女心と言うやつじゃ。なんだってこんな男らしゅう育ちおったのじゃ……不覚にも恰好いいと思ってしもうたわ……」
「それより、先ほどの対戦相手。また白瀬でしたね」
「ぬお? 確かにIDが同じじゃの」
『gg♡ matayarouze!』
今度は白瀬から称えられた。クェーサーは喜びを感じ、手を握りしめた。
「チート無しで勝つと、気持ちがいいですね」
「分かってくれたか。殺伐としたゲームが続いたの、ちょいと骨休めするぞ」
サヨリヒメが連れて来たのは、アメリカが舞台のゲームだ。
タンデムバイクに乗って、湾岸沿いを思いっきり走っている。クェーサーの背にしがみつき、サヨリヒメはバイクデートを楽しんでいた。
クェーサーはヒロイックな外見をしているから、まるで特撮のヒロインにでもなったかのようだ。サヨリヒメは、運転するクェーサーに額を押し付けた。
バイクデートは、サヨリヒメの憧れていたシチュエーションだ。思わぬ形で夢が叶い、サヨリヒメは幸せそうな顔をした。
「のう、クェーサー」
「なんでしょうか」
「名を呼んだだけじゃ」
胸をどきどきさせながら、サヨリヒメはクェーサーを抱きしめた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
熊野古道 神様の幻茶屋~伏拝王子が贈る寄辺桜茶~
ミラ
キャラ文芸
社会人二年目の由真はクレーマーに耐え切れず会社を逃げ出した。
「困った時は熊野へ行け」という姉の導きの元、熊野古道を歩く由真は知らぬ間に「神様茶屋」に招かれていた。
茶屋の主人、伏拝王子は寄る辺ない人間や八百万の神を涙させる特別な茶を淹れるという。
彼が茶を振舞うと、由真に異変が──
優しい神様が集う聖地、熊野の茶物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
ウサギ様と私
凜
キャラ文芸
ある日の仕事終わり、私は道端に落ちているウサギを拾った。交番にも届け出を出し、飼い主が見つかるまで預かることになった。
翌日、目が覚めると横には幼女。驚く私と何故かいないウサギ。実は幼女がそのウサギであり、あやかしなのだと言った。元々山に住んでいたが、逃げてきて偶然私に拾われたらしい。かくして、一人暮らしの私に奇妙で可愛い同居人が出来た。
ウサギのみこが小学校に通うことになったり、みこの従兄や兄がやってきたり、今度はこちらがみこの実家を訪ねてみたりと大急ぎの日々が始まる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
正しい食事の求め方〜自然なものがほしいので今日もあなたには泣いていただきます〜
歩くの遅いひと(のきぎ)
キャラ文芸
紅い眼を光らせ、白銀の髪をなびかせる少女、ハヅキは高校生。
最近の"食事"で満足出来なくなってきた彼女はある田舎から飛び出して
少し変わり者ぞろいと噂の「白雪工業高校」へと入学。
そこで見つけた臆病な女の子、
橋浜(はしはま)みずきにある取引を持ちかける。
「あなたのことは私が守るわ。だからーー‥‥私のために泣いて頂戴?」
美味しい"食事"を求める少し腹黒な女の子と
平穏な学園生活を望む臆病な女の子のお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
冥官小野君のお手伝い ~ 現代から鎌倉時代まで、皆が天国へ行けるようサポートします ~
夢見楽土
キャラ文芸
大学生の小野君は、道路に飛び出した子どもを助けようとして命を落とし、あの世で閻魔様のお手伝いをすることに。
そのお手伝いとは、様々な時代を生きた人々が無事に天国へ行けるよう、生前の幸福度を高めるというもの。
果たして小野君は、無事に皆の生前幸福度を高めることが出来るのでしょうか。
拙いお話ではありますが、どうか、小野君の頑張りを優しい目で見守ってやってください。
「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも掲載しています。
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
香死妃(かしひ)は香りに埋もれて謎を解く
液体猫(299)
キャラ文芸
香を操り、死者の想いを知る一族がいる。そう囁かれたのは、ずっと昔の話だった。今ではその一族の生き残りすら見ず、誰もが彼ら、彼女たちの存在を忘れてしまっていた。
ある日のこと、一人の侍女が急死した。原因は不明で、解決されないまま月日が流れていき……
その事件を解決するために一人の青年が動き出す。その過程で出会った少女──香 麗然《コウ レイラン》──は、忘れ去られた一族の者だったと知った。
香 麗然《コウ レイラン》が後宮に現れた瞬間、事態は動いていく。
彼女は香りに秘められた事件を解決。ついでに、ぶっきらぼうな青年兵、幼い妃など。数多の人々を無自覚に誑かしていった。
テンパると田舎娘丸出しになる香 麗然《コウ レイラン》と謎だらけの青年兵がダッグを組み、数々の事件に挑んでいく。
後宮の闇、そして人々の想いを描く、後宮恋愛ミステリーです。
⚠最新話投稿の宣伝は基本しておりませんm(。_。)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる