14 / 57
14話 デートしないか?
しおりを挟む
救は白瀬にこっぴどく怒られていた。その様子を横目に、御堂は呆れながらクェーサーを見上げた。
「この天才の私がくみ上げた制御プログラムを凌駕するなんて……こんな所で働いてないでオリンピック目指した方がいいんじゃないかな」
「普通に人間辞めてるよね。でも恰好良かったね救君。本当にロボットアニメの主人公みたいだったよ」
「……否定は、しないよ? でも頭がすっからかんなのが問題だ、彼には理知的な誰かが常に管理すべきだとは思わないかな? そう、例えばこの天才的な頭脳を持った御堂ひかるなんかが最適だとは思わないかね?」
「救君が好きならさっさと告白すればいいのに」
「好きじゃない。あんな可愛い位に馬鹿で、ずっと眺めていたいくらい逞しい肉体の、純粋なくらい実直な男のどこを好きになればいいと言うんだ」
「全方位に渡って好きになってるよね」
「あー時に優よ、君は先ほど先輩と密室空間で二人きりになったわけだが、まさか彼に好意なんて抱いたりしていないだろうね」
「ないから、僕恋愛対象女性だし」
御堂と麻山の会話を聞きつつ、クェーサーは救の身体能力を調べてみた。
これまでの映像記録から算出してみたが、彼の肉体は人類の基準を大きく超えている。しかし世界には、救と同程度の力を持った人間が幾人か居るようだ。
救ばかりに目が行くも、御堂も人類を逸脱した頭脳の持ち主だ。肉体と頭脳のギフテッド、本当に、人間だけで得られる能力なのだろうか。
と、サヨリヒメが頬杖を突き、クェーサーに話しかけた。
「どうしたのじゃクェーサー、呆けているようじゃが」
「御堂と救が人間なのか調べていました。世界には二人のような人間が存在しているので、生物学上間違ってはいないようです」
「まぁの、確かに二人は人間じゃ。半分はな」
サヨリヒメの言い方にクェーサーは疑問符を浮かべた。
「ともあれクェーサーよ、今週末わらわと共に街へ行かぬか? おぬしに新たな世界を見せてやるぞ」
「なぜ今なのですか」
「あやかしは心なき者には見えんのじゃ。まずは人間を学んで、情緒が出来てからでないと、視認すらできん」
「私は情緒が、心が出来ているのでしょうか」
「勿論。今のおぬしにならば、あやかしを見る事が出来るじゃろう。という事で、わらわとデートじゃ!」
「デートとは。恋仲にある男女が同伴して出かける行為では」
「ええい、いい加減ぐだぐだ堅苦しい事を言うでない、犬養にも柔らかく考えろと言われたじゃろうが。ともかくそうと決まれば……御堂さん、今度の週末にクェーサーをお借りしてもよろしいですか?」
「姫野さんが?」
「はいっ、御堂さんの造られたAI、大変素晴らしいです。こんなにも人間と同じ思考が出来るAIは見た事がありません、私感動してしまいまして、もっと間近で御堂さんの頭脳がどれだけ素晴らしいのかを感じたいのです」
「そうかそうか! 流石姫野さん、物が分かる人だよ! 私もクェーサーに他の人の行動様式を見てもらいたい所だったんだ。私からもお願いしたいくらいだよ」
「ありがとうございます! あ、もしよろしければ、次の日曜日ご一緒しませんか? 救さんも含めて。大勢で行けばよりクェーサーに良い刺激になると思うんです」
「先輩と……? ……二人きりじゃなければ確かに誘いやすい……先輩とデートできるチャンス……この機、逃すわけにはいかないか……仕方ないなぁー私は脳筋先輩を誘うなんて不本意だけど姫野さんが言うんならしょうがないよなぁー」
救が絡むと御堂は途端にアホになる。なぜだろうかと疑問に思うクェーサーだった。
ともあれ無事に、サヨリヒメとの外出が決定した。
「この天才の私がくみ上げた制御プログラムを凌駕するなんて……こんな所で働いてないでオリンピック目指した方がいいんじゃないかな」
「普通に人間辞めてるよね。でも恰好良かったね救君。本当にロボットアニメの主人公みたいだったよ」
「……否定は、しないよ? でも頭がすっからかんなのが問題だ、彼には理知的な誰かが常に管理すべきだとは思わないかな? そう、例えばこの天才的な頭脳を持った御堂ひかるなんかが最適だとは思わないかね?」
「救君が好きならさっさと告白すればいいのに」
「好きじゃない。あんな可愛い位に馬鹿で、ずっと眺めていたいくらい逞しい肉体の、純粋なくらい実直な男のどこを好きになればいいと言うんだ」
「全方位に渡って好きになってるよね」
「あー時に優よ、君は先ほど先輩と密室空間で二人きりになったわけだが、まさか彼に好意なんて抱いたりしていないだろうね」
「ないから、僕恋愛対象女性だし」
御堂と麻山の会話を聞きつつ、クェーサーは救の身体能力を調べてみた。
これまでの映像記録から算出してみたが、彼の肉体は人類の基準を大きく超えている。しかし世界には、救と同程度の力を持った人間が幾人か居るようだ。
救ばかりに目が行くも、御堂も人類を逸脱した頭脳の持ち主だ。肉体と頭脳のギフテッド、本当に、人間だけで得られる能力なのだろうか。
と、サヨリヒメが頬杖を突き、クェーサーに話しかけた。
「どうしたのじゃクェーサー、呆けているようじゃが」
「御堂と救が人間なのか調べていました。世界には二人のような人間が存在しているので、生物学上間違ってはいないようです」
「まぁの、確かに二人は人間じゃ。半分はな」
サヨリヒメの言い方にクェーサーは疑問符を浮かべた。
「ともあれクェーサーよ、今週末わらわと共に街へ行かぬか? おぬしに新たな世界を見せてやるぞ」
「なぜ今なのですか」
「あやかしは心なき者には見えんのじゃ。まずは人間を学んで、情緒が出来てからでないと、視認すらできん」
「私は情緒が、心が出来ているのでしょうか」
「勿論。今のおぬしにならば、あやかしを見る事が出来るじゃろう。という事で、わらわとデートじゃ!」
「デートとは。恋仲にある男女が同伴して出かける行為では」
「ええい、いい加減ぐだぐだ堅苦しい事を言うでない、犬養にも柔らかく考えろと言われたじゃろうが。ともかくそうと決まれば……御堂さん、今度の週末にクェーサーをお借りしてもよろしいですか?」
「姫野さんが?」
「はいっ、御堂さんの造られたAI、大変素晴らしいです。こんなにも人間と同じ思考が出来るAIは見た事がありません、私感動してしまいまして、もっと間近で御堂さんの頭脳がどれだけ素晴らしいのかを感じたいのです」
「そうかそうか! 流石姫野さん、物が分かる人だよ! 私もクェーサーに他の人の行動様式を見てもらいたい所だったんだ。私からもお願いしたいくらいだよ」
「ありがとうございます! あ、もしよろしければ、次の日曜日ご一緒しませんか? 救さんも含めて。大勢で行けばよりクェーサーに良い刺激になると思うんです」
「先輩と……? ……二人きりじゃなければ確かに誘いやすい……先輩とデートできるチャンス……この機、逃すわけにはいかないか……仕方ないなぁー私は脳筋先輩を誘うなんて不本意だけど姫野さんが言うんならしょうがないよなぁー」
救が絡むと御堂は途端にアホになる。なぜだろうかと疑問に思うクェーサーだった。
ともあれ無事に、サヨリヒメとの外出が決定した。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
おきつねさんとちょっと晩酌
木嶋うめ香
キャラ文芸
私、三浦由衣二十五歳。
付き合っていた筈の会社の先輩が、突然結婚発表をして大ショック。
不本意ながら、そのお祝いの会に出席した帰り、家の近くの神社に立ち寄ったの。
お稲荷様の赤い鳥居を何本も通って、お参りした後に向かった先は小さな狐さんの像。
狛犬さんの様な大きな二体の狐の像の近くに、ひっそりと鎮座している小さな狐の像に愚痴を聞いてもらった私は、うっかりそこで眠ってしまったみたい。
気がついたら知らない場所で二つ折りした座蒲団を枕に眠ってた。
慌てて飛び起きたら、袴姿の男の人がアツアツのうどんの丼を差し出してきた。
え、食べていいの?
おいしい、これ、おいしいよ。
泣きながら食べて、熱燗も頂いて。
満足したらまた眠っちゃった。
神社の管理として、夜にだけここに居るという紺さんに、またいらっしゃいと見送られ帰った私は、家の前に立つ人影に首を傾げた。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】姉は全てを持っていくから、私は生贄を選びます
かずきりり
恋愛
もう、うんざりだ。
そこに私の意思なんてなくて。
発狂して叫ぶ姉に見向きもしないで、私は家を出る。
貴女に悪意がないのは十分理解しているが、受け取る私は不愉快で仕方なかった。
善意で施していると思っているから、いくら止めて欲しいと言っても聞き入れてもらえない。
聞き入れてもらえないなら、私の存在なんて無いも同然のようにしか思えなかった。
————貴方たちに私の声は聞こえていますか?
------------------------------
※こちらの作品はカクヨムにも掲載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/chara_novel.png?id=8b2153dfd89d29eccb9a)
あやかし酒場と七人の王子たち ~珠子とあやかしグルメ百物語~
相田 彩太
キャラ文芸
東京の中心より西に外れた八王子、さらにその片隅に一軒のひなびた酒場がある。
「酒処 七王子」
そこは一見、普通の酒場であるが、霊感の鋭い人は気づくであろう。
そこが人ならざるモノがあつまる怪異酒場である事を。
これは酒場を切り盛りする7人の兄弟王子と、そこを訪れる奇怪なあやかしたち、そしてそこの料理人である人間の女の子の物語。
◇◇◇◇
オムニバス形式で送る、”あやかし”とのトラブルを料理で解決する快刀乱麻で七転八倒の物語です。
基本的にコメディ路線、たまにシリアス。
小説家になろうでも掲載しています。
(学園 + アイドル ÷ 未成年)× オッサン ≠ いちゃらぶ生活
まみ夜
キャラ文芸
年の差ラブコメ X 学園モノ X オッサン頭脳
様々な分野の専門家、様々な年齢を集め、それぞれ一芸をもっている学生が講師も務めて教え合う教育特区の学園へ出向した五十歳オッサンが、十七歳現役アイドルと同級生に。
子役出身の女優、芸能事務所社長、元セクシー女優なども登場し、学園の日常はハーレム展開?
第二巻は、ホラー風味です。
【ご注意ください】
※物語のキーワードとして、摂食障害が出てきます
※ヒロインの少女には、ストーカー気質があります
※主人公はいい年してるくせに、ぐちぐち悩みます
【連載中】は、短時間で読めるように短い文節ごとでの公開になります。
(お気に入り登録いただけると通知が行き、便利かもです)
土日にまとめ読みできるよう、金曜日に仮まとめ版を努力します。
その後、誤字脱字修正や辻褄合わせが行われて、合成された1話分にタイトルをつけ再公開されます。
物語の細部は連載時と変わることが多いので、二度読むのが通です。
表紙イラストはAI作成です。
(セミロング女性アイドルが彼氏の腕を抱く 茶色ブレザー制服 アニメ)
題名が「(同級生+アイドル÷未成年)×オッサン≠いちゃらぶ」から変更されております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
「メジャー・インフラトン」序章1/ 7(太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!)
あおっち
SF
脈々と続く宇宙の無数の文明。その中でより高度に発展した高高度文明があった。その文明の流通、移動を支え光速を超えて遥か彼方の銀河や銀河内を瞬時に移動できるジャンプ技術。それを可能にしたジャンプ血清。
その血清は生体(人間)へのダメージをコントロールする血清、ワクチンなのだ。そのジャンプ血清をめぐり遥か大昔、大銀河戦争が起こり多くの高高度文明が滅びた。
その生き残りの文明が新たに見つけた地、ネイジェア星域。私達、天の川銀河の反対の宙域だった。そこで再び高高度文明が栄えたが、再びジャンプ血清供給に陰りが。天の川銀河レベルで再び紛争が勃発しかけていた。
そして紛争の火種は地球へ。
その地球では強大な軍事組織、中華帝国連邦、通称「AXIS」とそれに対抗する為、日本を中心とした加盟国軍組織「シーラス」が対峙していたのだ。
近未来の地球と太古から続くネイジェア星域皇国との交流、天然ジャンプ血清保持者の椎葉清らが居る日本と、高高度文明異星人(シーラス皇国)の末裔、マズル家のポーランド家族を描いたSF大河小説「メジャー・インフラトン」の前章譚、7部作。
第1部「太陽の季節 DIVE!DIVE!DIVE!ダイブ!ダイブ!ダイブ!」。
ジャンプ血清は保持者の傷ついた体を異例のスピードで回復させた。また血清のオリジナル保持者(ゼロ・スターター)は、独自の能力を飛躍的に引き上げる事が出来たのだ。
第2次大戦時、無敵兵士と言われた舩坂弘氏をモデルに御舩大(ミフネヒロシ)の無敵ふりと、近代世界のジャンプ血清保持者、椎葉きよし(通称:お子ちゃまきよし)の現在と過去。
ジャンプ血清の力、そして人類の未来をかけた壮大な戦いが、いま、始まる――。
彼らに関連する人々の生き様を、笑いと涙で送る物語。疲れたあなたに贈る微妙なSF物語です。
本格的な戦闘シーンもあり、面白い場面も増えます。
是非、ご覧あれ。
※加筆や修正が予告なしにあります。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
【完結】おれたちはサクラ色の青春
藤香いつき
キャラ文芸
国内一のエリート高校、桜統学園。その中でもトップクラスと呼ばれる『Bクラス』に、この春から転入した『ヒナ』。見た目も心も高2男子?
『おれは、この学園で青春する!』
新しい環境に飛び込んだヒナを待ち受けていたのは、天才教師と問題だらけのクラスメイトたち。
騒いだり、涙したり。それぞれの弱さや小さな秘密も抱えて。
桜統学園で繰り広げられる、青い高校生たちのお話。
《青春小説×ボカロPカップ8位》
応援ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる