2 / 57
2話 サヨリヒメの伝承
しおりを挟む
「ではクェーサー君の育成は、御堂君を中心に進めていこうと思うよ」
まるでマフィアのような、ごつごつとした面立ちの壮年の男が、社員たちに伝えた。
羽山工業の社長羽山十蔵である。ぎょろりと鋭い眼でクェーサーを見やり、にっこりと笑みを浮かべる。子供が見たら100人がもれなく泣き出してしまいそうな笑顔だ。
「クェーサー君は従来のAIと違い、自分で学び、アップデートする機能を持っているんだよ。だからエンジニアが弄るよりも、沢山の人間模様を見て、君自身の感情を育ててくれ」
「わかりました」
多くの人を通して心を作る。これが自分の仕事のようだ。
羽山は思い出したかのように手を叩いた。
「おっとっと! 忘れないうちにお礼をしておかないとね。神様を疎かにしては罰が当たるよ」
羽山はいそいそと神棚へ向かうと、手を合わせて深々と頭を下げた。
クェーサーはじっと羽山を観察したが、行動の意味が全く分からなかった。御堂に理由を尋ねると、彼女は肩を竦めた。
「あれはね、神様にありがとうってお礼をしているんだ。君を作っている間、社長はずっとああやってお祈りをしていたんだよ」
「神とは何ですか」
「人の妄想が生み出した偶像さ。大昔の人は大きな災害に遭遇した時、それを超常な存在の仕業だと信じたんだ。それから人々はこの世には神が居ると信じ、あらゆる形で信仰されるようになったんだよ」
「いや、神様は居るだろ。そんな邪険にしてるとお前、いつか天罰が落ちるぞ」
「じゃあその根拠を具体的に教えてくれよ、筋肉先輩」
御堂と救はぎゃあぎゃあと喧嘩をおっぱじめた。さっきもそうだが、この二人はどうしてくだらない事でいい争いをするのだろう。
「止めなくてよろしいのですか?」
「いいんだよ、救君と御堂君の喧嘩はうちの名物だからね。ほら、皆面白がってはやし立ててるだろう?」
羽山の言う通り、周りは二人の喧嘩を扇動していた。なんでも、二人は毎日小さな事で口喧嘩をするそうなのだ。
しかも、大抵御堂から吹っ掛けるとの事。そんな無意味な行動をするのはなんでだろう。
「それよりもクェーサー君、君もサヨリヒメに挨拶しないとね。そこでいいから、神棚にお辞儀をしてごらん」
「人の妄想が生み出した偶像にする意味はあるのですか?」
「あるよ、妄想なんかではなく、神様は絶対に居るんだ。でなければ、この会社が君を生み出すなんて偉業はあり得ないからね」
「御堂ひかるは私を生み出す能力があります。神の存在は関係ないかと」
「でもその優秀な人材がうちに来なければ、君はここに居なかった。彼女を呼んでくれたのは、まぎれもなく神様のお導きがあったからだよ」
クェーサーは羽山の言う事が理解できなかった。人工知能だから、クェーサーは瞬時に疑問をネット検索できる。その結果導き出したのは、神は御堂の言う通り、人が生み出した妄想の産物と言う結論である。
この世に神など居ない。存在を立証できる説がどこにもないのだから。
「羽山工業で祀っているのは、サヨリヒメと言ってね。金運と商売繁盛の女神様なんだ。うちは主に、パワーショベルとかの部品を造っているのだけど、このご時世で幸いな事に沢山の企業がうちの部品を欲しがっていてね。これもサヨリヒメのおかげなんだよ。女神様が見守っているから、創業以来ずーっと黒字で安定した経営が出来ているんだ」
「単に運が良かっただけかと」
「そうかもしれないね。でも神様が見守ってくれていると思うと、なんだか安心しないかな?」
「よくわかりません」
「ふふ、いずれ分かるようになるよ。だって君は、人に寄り添える人工知能として作ったんだ。これから沢山の事を学んで、人の心が理解できるようになるはずさ」
「そうですか」
「さて! 痴話げんかはそこまでにして、仕事しようね二人とも」
「痴話げんかじゃないですよ! 神が妄想の存在だって、この脳金先輩にも理解できるよう説明していただけです!」
「残念でしたー俺バカだから言ってることなんも理解できていませーん」
「なんだとぉ!」
また喧嘩を始めた二人に羽山は苦笑した。
そんな意味のない光景を眺めていたクェーサーだが、ふと入り口に女性が居るのに気付いた。
まだ美醜は分からないクェーサーだが、人間から見れば美女だと言える程の美しい女性だった。白い和服に羽衣を纏い、神秘的な空気を纏っている。
「扉に居る方はどなたでしょうか」
「へ? 誰も居ないぞ」
救は勿論、御堂も羽山「居ない」と答えた。
しかし、女性は確かにそこに居る。彼女はくすくす笑うと、壁をすり抜けて出て行ってしまった。
「壁を抜けて外へ向かいました」
「おいおい、そんな幽霊じゃあるまいに」
「先輩の言う通りだ。第一幽霊も所詮人の恐怖心が生み出したイマジナリーでしかない、この世に居るはずのない物なんだ」
クェーサーの言う事は誰も信じてくれなかった。
でも、確かに居たのだ。不可思議な女性が。
あの人は一体、誰だったんだろう。
まるでマフィアのような、ごつごつとした面立ちの壮年の男が、社員たちに伝えた。
羽山工業の社長羽山十蔵である。ぎょろりと鋭い眼でクェーサーを見やり、にっこりと笑みを浮かべる。子供が見たら100人がもれなく泣き出してしまいそうな笑顔だ。
「クェーサー君は従来のAIと違い、自分で学び、アップデートする機能を持っているんだよ。だからエンジニアが弄るよりも、沢山の人間模様を見て、君自身の感情を育ててくれ」
「わかりました」
多くの人を通して心を作る。これが自分の仕事のようだ。
羽山は思い出したかのように手を叩いた。
「おっとっと! 忘れないうちにお礼をしておかないとね。神様を疎かにしては罰が当たるよ」
羽山はいそいそと神棚へ向かうと、手を合わせて深々と頭を下げた。
クェーサーはじっと羽山を観察したが、行動の意味が全く分からなかった。御堂に理由を尋ねると、彼女は肩を竦めた。
「あれはね、神様にありがとうってお礼をしているんだ。君を作っている間、社長はずっとああやってお祈りをしていたんだよ」
「神とは何ですか」
「人の妄想が生み出した偶像さ。大昔の人は大きな災害に遭遇した時、それを超常な存在の仕業だと信じたんだ。それから人々はこの世には神が居ると信じ、あらゆる形で信仰されるようになったんだよ」
「いや、神様は居るだろ。そんな邪険にしてるとお前、いつか天罰が落ちるぞ」
「じゃあその根拠を具体的に教えてくれよ、筋肉先輩」
御堂と救はぎゃあぎゃあと喧嘩をおっぱじめた。さっきもそうだが、この二人はどうしてくだらない事でいい争いをするのだろう。
「止めなくてよろしいのですか?」
「いいんだよ、救君と御堂君の喧嘩はうちの名物だからね。ほら、皆面白がってはやし立ててるだろう?」
羽山の言う通り、周りは二人の喧嘩を扇動していた。なんでも、二人は毎日小さな事で口喧嘩をするそうなのだ。
しかも、大抵御堂から吹っ掛けるとの事。そんな無意味な行動をするのはなんでだろう。
「それよりもクェーサー君、君もサヨリヒメに挨拶しないとね。そこでいいから、神棚にお辞儀をしてごらん」
「人の妄想が生み出した偶像にする意味はあるのですか?」
「あるよ、妄想なんかではなく、神様は絶対に居るんだ。でなければ、この会社が君を生み出すなんて偉業はあり得ないからね」
「御堂ひかるは私を生み出す能力があります。神の存在は関係ないかと」
「でもその優秀な人材がうちに来なければ、君はここに居なかった。彼女を呼んでくれたのは、まぎれもなく神様のお導きがあったからだよ」
クェーサーは羽山の言う事が理解できなかった。人工知能だから、クェーサーは瞬時に疑問をネット検索できる。その結果導き出したのは、神は御堂の言う通り、人が生み出した妄想の産物と言う結論である。
この世に神など居ない。存在を立証できる説がどこにもないのだから。
「羽山工業で祀っているのは、サヨリヒメと言ってね。金運と商売繁盛の女神様なんだ。うちは主に、パワーショベルとかの部品を造っているのだけど、このご時世で幸いな事に沢山の企業がうちの部品を欲しがっていてね。これもサヨリヒメのおかげなんだよ。女神様が見守っているから、創業以来ずーっと黒字で安定した経営が出来ているんだ」
「単に運が良かっただけかと」
「そうかもしれないね。でも神様が見守ってくれていると思うと、なんだか安心しないかな?」
「よくわかりません」
「ふふ、いずれ分かるようになるよ。だって君は、人に寄り添える人工知能として作ったんだ。これから沢山の事を学んで、人の心が理解できるようになるはずさ」
「そうですか」
「さて! 痴話げんかはそこまでにして、仕事しようね二人とも」
「痴話げんかじゃないですよ! 神が妄想の存在だって、この脳金先輩にも理解できるよう説明していただけです!」
「残念でしたー俺バカだから言ってることなんも理解できていませーん」
「なんだとぉ!」
また喧嘩を始めた二人に羽山は苦笑した。
そんな意味のない光景を眺めていたクェーサーだが、ふと入り口に女性が居るのに気付いた。
まだ美醜は分からないクェーサーだが、人間から見れば美女だと言える程の美しい女性だった。白い和服に羽衣を纏い、神秘的な空気を纏っている。
「扉に居る方はどなたでしょうか」
「へ? 誰も居ないぞ」
救は勿論、御堂も羽山「居ない」と答えた。
しかし、女性は確かにそこに居る。彼女はくすくす笑うと、壁をすり抜けて出て行ってしまった。
「壁を抜けて外へ向かいました」
「おいおい、そんな幽霊じゃあるまいに」
「先輩の言う通りだ。第一幽霊も所詮人の恐怖心が生み出したイマジナリーでしかない、この世に居るはずのない物なんだ」
クェーサーの言う事は誰も信じてくれなかった。
でも、確かに居たのだ。不可思議な女性が。
あの人は一体、誰だったんだろう。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
百合系サキュバス達に一目惚れされた
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
AV研は今日もハレンチ
楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo?
AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて――
薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
果たされなかった約束
家紋武範
恋愛
子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。
しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。
このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。
怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。
※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。
死神に寵愛される余命90日の花嫁
響ぴあの
キャラ文芸
「俺は、歌恋のためにならどんな犠牲もいとわない。全力で君を守ってみせるから」
この世界には人間の世界にごくわずかに生存している死神族という種族がいる。
その見た目はとても美しく、巨額の富を持ち、花嫁となる女性には永遠なる命を授けることができる。
死神は残りわずかな寿命を持つ人々に未練をなるべく残さないよう手伝うための存在だ。
死神の愛は深く重く一途だ。
家族とうまくいっていなかった17歳の女子高校生の光野歌恋(ひかりのかれん)の前に死神が現れた。
余命九十日だという宣告だった。
同時に運命の赤い糸で結ばれた死神の花嫁だと言われる。
特例で死神である四神至(しがいいたる)の花嫁になるならば、永遠に近い命がもらえる。
歌恋は死神の花嫁になることを決意して同居することを承諾する。
死にゆく人と向き合う死神の仕事を手伝うことになり、歌恋の母が助けた少年に会いに行くことになる。
少年を助けたせいで歌恋の実の母が死に、父が再婚して連れ子である妹にいじめられるようになった。
再会した少年は高校生になっており、家出した母が残した手紙の謎を解いてほしいと言われる。
『名前を似せても好きな人を諦めることはできませんでした。ごめんなさい、幸せになってください』という内容の手紙だ。
少年の名前は金子漣(かねこれん)。彼の余命はあと90日で至が担当することとなる対象者だった。
歌恋の幼なじみである青龍葵は四神家の分家である青龍家の長男だ。
歌恋は葵が初恋の人だった。
その葵も余命が90日となり、至と歌恋が担当することとなるが。
「どんな過去も受け入れる。どんな傷もあざも気にしないから」
虐げられて死んでもいいと思っていた歌恋が一緒に生きていきたいと変わっていく。
美しい死神に溺愛される歌恋が死と向き合いながら、成長していくシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる