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3部

195話 マンチェスター夫妻、出撃

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 マンチェスター一家は、村の入り口でオクトが来るのを待っていた。
 もうすぐ昼になると言うのに、オクトが来る気配はない。どんなに遅くとも今ぐらいには到着しているはずなのだが。
 待ちぼうけている一家の下に、エドウィン一家が合流した。

「ようお前ら、オクトはどうだ?」
「まだ来ないんだよ、どうしたんだろうな……何か事件でも起きたかな」
「奴の事だ、何かしらに巻き込まれても問題ないはずだが」
「姉さんもいるしね」

 リナルドはアマトを抱き上げ、そう言った。
 聖剣の力をもってすれば、彼女に対処できない事柄など存在しない。なのだけど、ハローは胸騒ぎが止まらなかった。
 今朝から、ラコ村の周囲が妙にざわついている。ハローは勘が鋭い男だ、ラコ村の付近で、邪な考えを抱いた奴が潜んでいるらしい。

「父様、森見て」

 アマトが指差した方を見るなり、轟音が起こった。
 土埃が舞い上がり、大地が揺れる。あれは……オクトが戦っているんだ。

「おいおい、どこのどいつか知らないが、オクトに喧嘩を売ったな。どんだけ命知らずの馬鹿なんだよ」
「ですが、何か様子がおかしくありませんか。野盗にしては、戦闘が激しすぎる気がしますし」
「ああ、救援に向かおう。嫌な予感がするよ」

 ハローらはすぐに支度をした。ハローはナイフを手に取り、ナルガは剣を腰に帯びる。その最中、リナルドが魔剣を持ち出そうとしていた。

「何してるんだ?」
「僕も行く! 僕だって、剣さえあれば戦える!」
「駄目だ、子供が関わっていい一件ではない。リナルドは村とアマトを守れ」
「でも!」
「リナルド、ここを守るのも大事な役割だ。父さん達の帰ってくる場所が無くなっちゃ困るから、ラコ村を頼むよ」

 ハローはリナルドの肩を叩き、魔剣を手に取った。

「リナルドの気持ちも一緒に持っていく、今はこれで勘弁してくれ」
「……分かったよ、僕、絶対ここを守るから」
「いい子だ。行こうナルガ!」

 ハローはナルガ、エドウィンを連れ、馬を走らせた。
 魔剣を見やり、エドウィンは眉間に皺を寄せる。

「おいハロー、そのガラクタどうすんだよ。そんなの使い物にならないだろ、荷物になるぞ」
「そこらのなまくらよりは使えるさ、多分ね」

 現場に近づくにつれ、地鳴りが激しくなる。オクトを相手に十分以上も戦うなんて……もしかしたら、シェリーを抜かなきゃならないかもしれない。
 逃げていく鳥を見て、ハローの表情は険しくなった。

「聖剣を使うような事態には、ならないでくれよ……」
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