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3部
182話 泡沫の夢
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その夜、ハローとナルガは、同じ夢を見た。
二人はどこまでも続く青空と、水面が広がる世界に立っていた。目の前には淡い光を放つ球体が浮かんでいる。
「ここは……夢の中、かな」
―そうだよ、私が呼んだの。私が誰か、分かるかな。
「シェリーだろう。こうして対面するのは、初めてだな」
「俺もだ。でもどうしてこんな風に、対話できるようになったんだろう。若い頃には、こんな事は無かったけど」
―多分、魔剣が力を失ったからだと思う。でもおかげで、ハローと話せるんだ。私、とっても嬉しいよ。
「しかしなぜ私まで夢に入り込んでいるのだ、オクトならともかく、私は聖剣と何の関係も無いぞ」
―私もハローだけを呼んだんだけど……寝てる時に手を繋いでたりしたからじゃないかな。それでハローと一緒にここに連れてきちゃったのかも。
ナルガは赤らんだ。ご指摘通り、彼女はリナルドに隠れて、ハローと手を繋いで眠っていた。
―でも、貴女とも会いたかったんだよ。ハローが好きになった人だもの、私だってお話したかったんだ。
「そうか、ならば良い。で、私達に何の用件だ」
「ああ、俺達を呼んだって事は、重大な用事があるって事だろ」
―ううん、リナルドの親になってくれてありがとうって、言いたかっただけ。ずっと心配だったんだ、リナルドがちゃんと生きていけるのか。でも二人がリナルドを引き取ってくれたから、私凄く安心したの。それとね、もう一つ。私を無理に助けなくて、大丈夫だからね。そう言いたかったんだ。
「何を言うかと思えば……馬鹿を言うなよ、これでもエドと一緒に調べてるんだ」
「リナルドの姉ならば、我らが子も同義だ。諦めてはならん」
―諦めてるわけじゃないよ。私は、私のせいで皆が不幸になってほしくないの。私ね、今凄く幸せなの。ハローを通して、皆の事をずっと見てるんだけど、ハローもナルガも、リナルドもエドウィンも、皆苦しい過去を乗り越えて、幸せな現在を過ごしてる。それが私にとって、何よりの幸せなんだ。だからね、二人に改めてお願いがあるの。
どうか、皆でより沢山の幸せを集めてください。リナルドをもっともっと大切にしてください。皆の幸せが私の、一番の幸せだから。そう伝えたくて、ここに来たんだ。
「……本当にそれが、君の幸せなのか?」
ハローは見透かしていた。シェリーが嘘を吐いているのに。
きっと彼女は、自分が負担になっていると思ったのだろう。ハロー達が重荷に感じないよう、自身を諦めさせようとしているのだ。
気丈な娘だ、思いやりのある、優しい子だ。でも、心はまだ、子供のまま。
大人の諦めの悪さを、彼女は知らないようだ。
「いつになるか分からない、それでも、俺達は君を解放する。君だけが犠牲になる理由なんかない、君も君の幸せを求めるべきなんだ」
「安心しろ、居場所ならすでにある。我らの下へ来い。お前を受け入れる支度など、とうに済ませている。大人を甘く見てはならぬぞ」
―……うん、待ってるよ。二人と一緒に居られるの、ずっと、待ってるから。
最後にシェリーは本心を見せ、二人を夢から解放した。
二人はどこまでも続く青空と、水面が広がる世界に立っていた。目の前には淡い光を放つ球体が浮かんでいる。
「ここは……夢の中、かな」
―そうだよ、私が呼んだの。私が誰か、分かるかな。
「シェリーだろう。こうして対面するのは、初めてだな」
「俺もだ。でもどうしてこんな風に、対話できるようになったんだろう。若い頃には、こんな事は無かったけど」
―多分、魔剣が力を失ったからだと思う。でもおかげで、ハローと話せるんだ。私、とっても嬉しいよ。
「しかしなぜ私まで夢に入り込んでいるのだ、オクトならともかく、私は聖剣と何の関係も無いぞ」
―私もハローだけを呼んだんだけど……寝てる時に手を繋いでたりしたからじゃないかな。それでハローと一緒にここに連れてきちゃったのかも。
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―でも、貴女とも会いたかったんだよ。ハローが好きになった人だもの、私だってお話したかったんだ。
「そうか、ならば良い。で、私達に何の用件だ」
「ああ、俺達を呼んだって事は、重大な用事があるって事だろ」
―ううん、リナルドの親になってくれてありがとうって、言いたかっただけ。ずっと心配だったんだ、リナルドがちゃんと生きていけるのか。でも二人がリナルドを引き取ってくれたから、私凄く安心したの。それとね、もう一つ。私を無理に助けなくて、大丈夫だからね。そう言いたかったんだ。
「何を言うかと思えば……馬鹿を言うなよ、これでもエドと一緒に調べてるんだ」
「リナルドの姉ならば、我らが子も同義だ。諦めてはならん」
―諦めてるわけじゃないよ。私は、私のせいで皆が不幸になってほしくないの。私ね、今凄く幸せなの。ハローを通して、皆の事をずっと見てるんだけど、ハローもナルガも、リナルドもエドウィンも、皆苦しい過去を乗り越えて、幸せな現在を過ごしてる。それが私にとって、何よりの幸せなんだ。だからね、二人に改めてお願いがあるの。
どうか、皆でより沢山の幸せを集めてください。リナルドをもっともっと大切にしてください。皆の幸せが私の、一番の幸せだから。そう伝えたくて、ここに来たんだ。
「……本当にそれが、君の幸せなのか?」
ハローは見透かしていた。シェリーが嘘を吐いているのに。
きっと彼女は、自分が負担になっていると思ったのだろう。ハロー達が重荷に感じないよう、自身を諦めさせようとしているのだ。
気丈な娘だ、思いやりのある、優しい子だ。でも、心はまだ、子供のまま。
大人の諦めの悪さを、彼女は知らないようだ。
「いつになるか分からない、それでも、俺達は君を解放する。君だけが犠牲になる理由なんかない、君も君の幸せを求めるべきなんだ」
「安心しろ、居場所ならすでにある。我らの下へ来い。お前を受け入れる支度など、とうに済ませている。大人を甘く見てはならぬぞ」
―……うん、待ってるよ。二人と一緒に居られるの、ずっと、待ってるから。
最後にシェリーは本心を見せ、二人を夢から解放した。
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