166 / 207
3部
167話 子育てとは戦いだ。
しおりを挟む
マンチェスター家はいつも、ハローが最初に起きている。でもアマトが産まれてからは、順番が変わった。
夜明け前にアマトが泣きだし、ハローとナルガは目を覚ました。ハローはあくびをしながら、アマトを抱き上げた。
「おーよしよし、お腹空いたのかな? ナルガ、お願い」
「分かった。ふぅ……しかし眠いな……」
ナルガもうとうとしている。アマトの夜泣きで何度も起こされ、寝不足だ。おむつ交換や授乳ならいいものの、原因が分からず泣いている時もあり、この所あまり眠れていなかった。
今回は空腹だったようで、母乳を飲んだら落ち着いてくれた。二人はほっとし、アマトを寝台に戻した。
「ナルガはもう少し寝てていいよ、寝不足は母乳の出が悪くなるからね」
「助かる。ハローは大丈夫なのか?」
「平気平気、時間見て昼寝してるしさ」
「ならばいいのだが……ダメだ、眠い。お言葉に甘えさせてもらうぞ」
「任せておいて。さーてと」
ナルガが寝ている間に朝食の支度をしていたら、リナルドが体を起こした。義息子は二度寝しているナルガを見やると、起こさないようそっとベッドから下りた。
「お母さん具合悪いの?」
「眠いだけだよ。それと、おはようリナルド」
ハローはリナルドを抱き上げた。抱っこされて嬉しいのか、リナルドは抱き返してきた。
「今、美味しい奴作ってるからな。待っててくれよ」
「うん。僕、顔洗ってくる」
リナルドはタオルを濡らし、ごしごしと顔を拭いた後、アマトを見に行った。
アマトはすやすや寝息を立てている。寝顔を覗き込んでから、リナルドは配膳を手伝った。
「助かるよリナルド、ありがとな」
ハローはリナルドを褒め、撫でまわした。リナルドは照れ笑いを浮かべ、行儀よく椅子に座った。
リナルドがいい子で助かるな。そう思っていると、ナルガがむくりと起き上がった。
同時に、アマトがまた泣き出す。ハローが対応しようとしたら、ナルガが制止した。
「朝を任せきりにしたからな、私がやる」
「じゃ、お願いしようかな」
「異臭がするから、今度は下の世話か。中々大変なものだな」
ナルガは慣れない手つきでおむつを替えた。その間にハローは朝食をかき込み、他の家事に取り掛かった。
アマトの子育ては大変で、家事に仕事に大わらわ。時間に追われ、忙しない日々を送っていた。
ドタバタしている義母を見ていたリナルドは、ナルガの裾を引っ張った。
「お母さん、僕手伝う事ある?」
「ふむ、そうだな……では時間を貰おうか」
ナルガはリナルドを抱きしめた。アマトの育児に忙しくて、中々リナルドとの時間を取れなくなっている。こうしたひと時は貴重だ。
ほんの少しの休憩時間を過ごし、ナルガは頷いた。
「よし、力を貰ったぞ。リナルドのおかげで疲れが取れた」
「そうなの? 他にない?」
「では、洗濯を手伝ってくれるか」
「わかった」
リナルドも力を貸してくれて心強い限りだ。ナルガは微笑み、アマトを背負った。
背中越しに伝わる重みが愛おしい。慌ただしく家事を終えたナルガは、仕事の支度をした。
出産を終えて農作業にも出れるようになった。さぁ、今日も頑張ろう。
夜明け前にアマトが泣きだし、ハローとナルガは目を覚ました。ハローはあくびをしながら、アマトを抱き上げた。
「おーよしよし、お腹空いたのかな? ナルガ、お願い」
「分かった。ふぅ……しかし眠いな……」
ナルガもうとうとしている。アマトの夜泣きで何度も起こされ、寝不足だ。おむつ交換や授乳ならいいものの、原因が分からず泣いている時もあり、この所あまり眠れていなかった。
今回は空腹だったようで、母乳を飲んだら落ち着いてくれた。二人はほっとし、アマトを寝台に戻した。
「ナルガはもう少し寝てていいよ、寝不足は母乳の出が悪くなるからね」
「助かる。ハローは大丈夫なのか?」
「平気平気、時間見て昼寝してるしさ」
「ならばいいのだが……ダメだ、眠い。お言葉に甘えさせてもらうぞ」
「任せておいて。さーてと」
ナルガが寝ている間に朝食の支度をしていたら、リナルドが体を起こした。義息子は二度寝しているナルガを見やると、起こさないようそっとベッドから下りた。
「お母さん具合悪いの?」
「眠いだけだよ。それと、おはようリナルド」
ハローはリナルドを抱き上げた。抱っこされて嬉しいのか、リナルドは抱き返してきた。
「今、美味しい奴作ってるからな。待っててくれよ」
「うん。僕、顔洗ってくる」
リナルドはタオルを濡らし、ごしごしと顔を拭いた後、アマトを見に行った。
アマトはすやすや寝息を立てている。寝顔を覗き込んでから、リナルドは配膳を手伝った。
「助かるよリナルド、ありがとな」
ハローはリナルドを褒め、撫でまわした。リナルドは照れ笑いを浮かべ、行儀よく椅子に座った。
リナルドがいい子で助かるな。そう思っていると、ナルガがむくりと起き上がった。
同時に、アマトがまた泣き出す。ハローが対応しようとしたら、ナルガが制止した。
「朝を任せきりにしたからな、私がやる」
「じゃ、お願いしようかな」
「異臭がするから、今度は下の世話か。中々大変なものだな」
ナルガは慣れない手つきでおむつを替えた。その間にハローは朝食をかき込み、他の家事に取り掛かった。
アマトの子育ては大変で、家事に仕事に大わらわ。時間に追われ、忙しない日々を送っていた。
ドタバタしている義母を見ていたリナルドは、ナルガの裾を引っ張った。
「お母さん、僕手伝う事ある?」
「ふむ、そうだな……では時間を貰おうか」
ナルガはリナルドを抱きしめた。アマトの育児に忙しくて、中々リナルドとの時間を取れなくなっている。こうしたひと時は貴重だ。
ほんの少しの休憩時間を過ごし、ナルガは頷いた。
「よし、力を貰ったぞ。リナルドのおかげで疲れが取れた」
「そうなの? 他にない?」
「では、洗濯を手伝ってくれるか」
「わかった」
リナルドも力を貸してくれて心強い限りだ。ナルガは微笑み、アマトを背負った。
背中越しに伝わる重みが愛おしい。慌ただしく家事を終えたナルガは、仕事の支度をした。
出産を終えて農作業にも出れるようになった。さぁ、今日も頑張ろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
132
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる