アラサーでクビになった魔王四天王ですが勇者に「結婚しよ」と告白され、溺愛されてるので今は幸せです

歩く、歩く。

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118話 ハローとのひととき

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 ミネバの挨拶回りを終えた後、ハローとナルガはエドウィンの家で彼女の荷ほどきを手伝った。
 エドウィンの家は沢山の薬草が置かれていて、独特な匂いに満ちている。不思議な物がいっぱいで、リナルドは興味津々に歩き回っていた。

「薬草には触るなよ、中には触れただけでやばい毒草もあるからな」
「どく? なんで危ない物があるの?」
「毒を薄めると薬になるんだ。使い方次第で人を救うも殺すも出来るってわけ」
「なんでどくがお薬になるの?」
「面倒くさいな、教えたってどうせ理解出来ないだろ。邪魔だから大人しく座っててくれ」

 エドウィンの口調は強くて、リナルドは彼を恐がり、ハローの背に隠れた。
 ナルガはエドウィンの脇を肘で打ち、目を吊り上げた。

「子供を恐がらせるな、言葉遣いをもう少し考えろ」
「悪かったって……いてて、もっと手加減しろよな」
「ご、ごめんなさい……」
「いや、僕が悪かった。頼むからしょげないでくれ、どっかの鬼嫁さんが恐いから」

 ナルガに睨まれ、エドウィンはしゅんとした。リナルドも落ち込んでしまい、俯いて鼻を鳴らした。
 そしたら、ハローが抱き上げてくれた。ハローの腕は力強くて、リナルドから不安を取り除いてくれた。

「ちょっとリナルドと外を歩いてくるよ」
「頼む。私は少々エドウィンと話がある」
「うげ、勘弁してくれよ……」

 ナルガから説教を受けるエドウィンを後目に、リナルドはハローと散歩に出かけた。
 ハローはリナルドを優しく撫で、抱きしめてくれた。ハローもナルガも、リナルドが恐がったり、不安になった時に、すぐ寄り添ってくれる。

「お医者さん、おこってない?」
「大丈夫さ、ミネバが来たから照れてるだけだよ。本当は優しい人なんだ」
「ほんとうに?」
「本当だよ。あっ、ミコが居るよ」

 ハローが言うなり、「おーい」とミコが手を振って走って来た。リナルドも手を振り返し、ハローから降りた。

「ハロー兄、仕事は?」
「今日は遅出だよ。ミネバ姉がエドと結婚したから、その手伝いでね」
「そっか! リナルドもお手伝いしてたの?」
「う、うん……」
「丁度終わった所なんだ。リナルド、ミコと遊んでくるかい?」
「んえ?」
「俺が見てるからさ、ミコは遊んでほしそうだよ」

 ハローに背を押されて、リナルドはミコと手を繋いだ。
 ハローの見守りの下、リナルドはミコ達と鬼ごっこをして遊んだ。ミコは足が速く、あっという間に捕まってしまう。でもハローから隠れ方や逃げ方を教わると、不思議と捕まらなくなった。

 ハローは色んな事を教えてくれる。ナルガとは違った優しさで、リナルドを守ってくれていた。
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