アラサーでクビになった魔王四天王ですが勇者に「結婚しよ」と告白され、溺愛されてるので今は幸せです

歩く、歩く。

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84話 まぐわい

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 ハローが帰宅すると、ナルガは既に帰っていた。ハローは大喜びでナルガを抱きしめ、枯渇した気力を充電した。

「すでに夕餉は出来ているぞ、早く席に付け」
「ありがとう! 今日は何だろうな」
「パスタだ。いい物が手に入ったのでな」

 言うなり、ナルガは品を並べた。卵とチーズをふんだんに使ったカルボナーラにサラダだ。
 いい物とやらが少し気になるが、ナルガが作った料理に間違いはなく、今日もやはり美味かった。のだけども、ナルガの視線が気になる。
 ちらちらと、しきりにハローの様子を伺っているのだ。気恥ずかしくも、何やら含みを感じる。

「味はどうだ」
「凄く美味しいよ」
「うずらの卵を譲ってもらってな、使ってみた」
「へぇ、うずらの卵を」
「何か感じないのか」
「感じるって?」
「この卵を使った意味が何か分からんのかと聞いている」

 ナルガはギロリとにらみつけてきた。意味が分からず、ハローは困惑した。
 一方のナルガも、鈍感かつ無知なハローにいら立ちを隠せない。やはり含みを持たせた態度では、この男には通じぬようだ。

 食後、ナルガはハローにデザートとしてクルミと松の実を出した。とにかく食え食えとせかしてくるナルガに圧され、ハローはとにかく食べまくった。

「えと、何? なんか今日恐いんだけど、どうしたのナルガ」
「単刀直入に言おう、ヤるぞハロー」

 食べきるなり、ナルガはハローをベッドに押し倒した。
 ハローは声にならぬ声を上げ、身動きが取れなくなる。ナルガに迫られたせいで、ハローの心は暴発寸前だ。
 それに、いつもよりも体が熱くなっている気がする……いいや、気のせいではない。

「うずらの卵にクルミ、松の実。全部精を高める食品だ。皆から譲ってもらってな、旦那と成す際に必ず使っているそうだ」
「え!? は!?」

 ナルガに馬乗りにされ、否応なしに体が反応してしまう。精力増強の料理を食べたせいか、身も心もナルガにメロメロになっていた。

「ちょっと待ったナルガ! 落ち着こう、一旦落ち着こう!」
「なぜそんなに拒む。やはりこんな、傷だらけの体では欲情しないか」
「そんな事ないよ、現にその、してるし……」

 確かにハローの体は昂っていて、ナルガはほっとした。自分に女としての魅力がないのかと、密かに不安になっていたのだ。

「お前は子が欲しくないのか? 私はお前との子を強く求めているのだぞ」
「俺だって、欲しいさ。ナルガとの子供は、何度も夢見たくらいだ。本音を言えば、今すぐにでも君を、その……抱きたい」
「ならばなぜそうしない。どこか、幸福を拒むかのように見えるのだが」

「……俺は、キグナス島で多くの命を奪った。マックにミレイユも、俺の手で殺した……なのに俺は君と結婚できて、身に余る幸せを得ている。この上子供なんて授かったら、この上ない幸せだろう。でも、これ以上の幸せを享受するのは、果たして許されるんだろうか」

 未だ、ハローは過去の鎖に囚われている。「自分は幸せになっていいのか」と、心にひっかかりを感じているようだ。
 それでも、「自分も幸せになりたい」と、相反する想いがあるようだ。

「受けていいに決まっているだろう、でなければ私が幸せになれない。夫が不幸なまま、妻が幸福になれるとでも思っているのか」

 ナルガは強引にハローにキスした。彼を縛る戒めを、破壊するために。

「お前が拒むなら、私が幸せにしてやる。お前がくれた恩を纏めて返済してやる。魔王の娘を娶ったのだ、骨の髄までしゃぶられる覚悟は、出来ているだろうな」

 そこからは、有無を言わせぬナルガのペースだった。
 魔王の娘だって? 天使の娘の間違いだろ。ハローは心からそう感じた。
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