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20話 心休まるひととき
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ハローは仕事を早めに切り上げ、ラコ村へ帰ってきた。
ナルガが心配だ、辺境の村は、余所者に対しきつく当たってしまう。彼女が潰されていたら……いじめた奴らを皆殺しにしなくては。
そんなハローの心配は、杞憂に終わった。
「帰ったのか、早いな」
ナルガは女達と共に燻製肉を作っていた。女達はハローを見るなり、興奮した様子で駆け寄ってきた。
「ちょっとあんた、よくあんないい女を見つけられたね!」
「彼女が何か?」
「凄い仕事が出来るんだよ! しかも腕っぷしも強くて、魔物を簡単に倒しちゃうし!」
「うちの子を助けてくれてね、本当にありがたいよ」
ほんの数時間で物凄い慕われっぷりだ。流石は元四天王、あっさりと人心を掌握してしまうとは。
それに、魔物から村人を守ってくれたなんて……心を閉ざしていても、やっぱりナルガはナルガだ。
「お疲れ様」
「労われる事はしていない、生きるためにしたまでだ」
ナルガは素っ気なく返した。と、少女が彼女の袖を引っ張った。
「お肉いつ食べられる?」
「まだ下ごしらえだ、暫くはお預けだから我慢しろ」
「そっか……」
「落ち込むな。仕方ない、母親には内緒だぞ」
ナルガは肉の切れ端を手早くソテーし、少女に渡した。
「熱いから、ふーふーしてから食べるんだぞ」
「うん! ありがと!」
少女は大喜びでソテーを食べている。味覚も嗅覚もないから不安だったが、どうやら問題なく焼けたようだ。
「子供好きなんだ」
「親を掌握するなら、子供を手懐けるのが早いからな」
そんな冷たい者に、子供は懐かないだろう。子供はナルガの優しい心根を見抜いているのだ。
ナルガは目を閉じ、額に浮かんだ汗をぬぐった。
「大丈夫?」
「少し疲れただけだ。暫く動かなかったツケだろうな」
「今日の仕事は終わったみたいだし、帰ろうか」
ナルガの手を取ろうとして、ハローは止めた。また一瞬、自分の手が血に塗れたから。
「どうした。握らないのか」
「え、あ、いや……」
「仮とはいえ夫婦だ、繋いだ方が周囲の目を欺けるだろう」
ナルガは自らハローの手を取った。彼女にしてみれば、言葉以上の意味は持っていないが、ハローは自分を受け入れてくれたようで、嬉しかった。
「ああ、帰ろう。俺達の家に」
ハローは、長い間感じなかった幸せに浸っていた。
ナルガが心配だ、辺境の村は、余所者に対しきつく当たってしまう。彼女が潰されていたら……いじめた奴らを皆殺しにしなくては。
そんなハローの心配は、杞憂に終わった。
「帰ったのか、早いな」
ナルガは女達と共に燻製肉を作っていた。女達はハローを見るなり、興奮した様子で駆け寄ってきた。
「ちょっとあんた、よくあんないい女を見つけられたね!」
「彼女が何か?」
「凄い仕事が出来るんだよ! しかも腕っぷしも強くて、魔物を簡単に倒しちゃうし!」
「うちの子を助けてくれてね、本当にありがたいよ」
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それに、魔物から村人を守ってくれたなんて……心を閉ざしていても、やっぱりナルガはナルガだ。
「お疲れ様」
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「お肉いつ食べられる?」
「まだ下ごしらえだ、暫くはお預けだから我慢しろ」
「そっか……」
「落ち込むな。仕方ない、母親には内緒だぞ」
ナルガは肉の切れ端を手早くソテーし、少女に渡した。
「熱いから、ふーふーしてから食べるんだぞ」
「うん! ありがと!」
少女は大喜びでソテーを食べている。味覚も嗅覚もないから不安だったが、どうやら問題なく焼けたようだ。
「子供好きなんだ」
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そんな冷たい者に、子供は懐かないだろう。子供はナルガの優しい心根を見抜いているのだ。
ナルガは目を閉じ、額に浮かんだ汗をぬぐった。
「大丈夫?」
「少し疲れただけだ。暫く動かなかったツケだろうな」
「今日の仕事は終わったみたいだし、帰ろうか」
ナルガの手を取ろうとして、ハローは止めた。また一瞬、自分の手が血に塗れたから。
「どうした。握らないのか」
「え、あ、いや……」
「仮とはいえ夫婦だ、繋いだ方が周囲の目を欺けるだろう」
ナルガは自らハローの手を取った。彼女にしてみれば、言葉以上の意味は持っていないが、ハローは自分を受け入れてくれたようで、嬉しかった。
「ああ、帰ろう。俺達の家に」
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