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67話 アマンダたんとデート♡
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「リサちゃん、俺様の右腕どんな感じ?」
「ちょっと待っててよー、もうちょいで強化完了するから」
宿の一室にて、リサちゃんは俺様の右腕と格闘していた。
俺様の右腕をオーバーホールしたいって事で、一回バラバラに解体してパーツの点検をしてくれている。俺様としても最近右腕がちとギシギシ言ってたからな、ここらでリフレッシュしとかないと
「結構損傷酷いなぁ、この分だと一日右腕使えないけど我慢してね」
「へいへーい。暫くぶりに隻腕の男復活か、いやぁいなせでいいねぇ♪」
片腕の男ってのも格好いいからな、今日はニヒルに決めさせてもらおうか。この街、レイクタウンでな。
窓を見れば、目の前に広大な湖が広がっている。街の名にもなっているランドマーク、世界一の面積を誇るザンドラ湖だ。広さ的には……アザレアの王都より大きかったっけか。湖の中央にはでかい浮島が存在し、立派に伸びた巨木が目を引いた。
湖に沿うように建物が並び、湖上にゃ船が行き来している。この湖からとれる魚は絶品でな、昨日食ったムニエルは最高だったぜ。
「お待たせしました、がるるの毛づくろい、終わりましたよ」
「ありがとさん。いつもトリミング任せてすまねぇな」
「いえいえ、むしろがるるのもふもふを堪能できて役得です」
うっとりしたままブラシを頬ずりして、幸せそうだねぇ。瞳にハートマーク浮かんでるけど、完璧トリップしてんなぁおい。
「さっきハワードにも話したんだけど、私は今日宿にこもるから。悪いけど、このドスケベの監視よろしくね」
「かしこまりました」
「一応言っとくが、俺様右腕なくした重傷人って事分かってるよね?」
「最強賢者にそんなの関係ある?」
「ないですよね」
「……はーい俺ちんが悪かったでぃーっす。でもそんな容赦のない所も大好きだぜベイビー」
「というか、たまにはアマンダにサービスしてやんなさいよ。なんだかんだあんたの活動をいつも支えてくれてるんだからさ」
「何言ってんのさ、アマンダたんはいつも大事にしているよ。リサちゃんが見ていないところであーん♡ な事やいやーん♡ な事をそりゃもうベッドの上でしっぽりと。ぬふふ♡」
「あらあら、ある事ない事法螺吹くのは良くないとおもいますよ。うふふ♡」
「はーい耳引っ張らないでアマンダたーん♡ 君のピンチ力ガチヤバタンだから耳がほんとに引きちぎれそーなのー♪」
「あんたら、仲いいんだか悪いんだか、時々分からなくなるわよね」
「何言ってるのよ、俺様達ほんとすんごく仲良しだから」
アマンダたんには教会時代から世話掛けてるし、感謝の気持ちを示さなくちゃね。
「たまにゃあ二人きりでデートしようか。この所俺様の我儘に振り回してばかりだったからな、その詫びと思ってくれ」
「かしこまりました。今回は私がハワードを振り回す側になりましょうか」
言うなり俺様の手を取り、引っ張ってくる。普段はクールなのに、満面の笑みで俺様の前を走っている。
くくっ、嬉しいのが丸わかりだぜ。こういう所が可愛いんだよなぁ。
◇◇◇
レイクシティには昨日到着したばかりだが、エアロタウンと違って大きな街だ。
ザンドラ湖は稀少な魔石が採れる場所でね、そのおかげでガーベラの中でも一番栄えている街でもあるのさ。
「その魔石で義手のパーツも調達できるらしいし、来てよかったぜ」
「不便なことがあったら言ってください、隻腕ではできないこともあるでしょうし」
「そうねぇ……じゃあ今夜俺様の魔槍を磨くお手伝いでも」
んな事言った瞬間アッパー炸裂、一発で腰が沈んじまった。
「時間を考えて発言しなさい」
「イエス、マム……いっちー、唇噛んだぜ」
「血が出ていますね、動かないでください」
ハンカチ片手に俺様の口を拭いてくれる。やっぱり優しいねぇ君。
「ま、じゃれるのもこの辺にしとくか。何がしたい? 今日はとことんまで君に付きあうよ」
「でしたら、早速行きたい所がありまして」
てなわけでアマンダたんとのデート開始だ。レイクシティにあるケーキ屋やらカフェやらを回り、思うままに甘味を食べ歩いた。
……つーか食ってばっかりだったな。この子結構な甘党なんだよねぇ。
「レイクシティには、タピオカたる物があると聞いていましたが……それをミルクティーに入れるなんて。想像以上に美味しいです」
「んーまぁ、美味いのはいいんだが、大丈夫かいアマンダたん。この茶相当なカロリーだぞ?」
「?(無垢な瞳)」
「いや?じゃなくてな、タピオカは芋のでんぷんで作られてるからカロリー爆高なんだ。ミルクティー自体も高カロリーだし、これ一杯でクレープ一個よりも太っちまうけど」
「……ほら私、神に愛されていますので」
「食欲の神にな。けどただでさえ豊満なアマンダたんがよりムチムチになったら破壊力爆上げになるし……うんむしろもっと飲め飲め! むっちりボデー最&高☆」
「殴りますよ」
「殴ってから言う事ないんじゃない?」
恐ろしく重い右フック、俺様でなきゃ死んじゃうね。
「それに安心しな、どんな姿になろうと俺様の愛は変わらねぇからさ。俺様が何のために筋肉を鍛えぬいたか知ってるだろ」
「あらゆる女性をお姫様抱っこできるように、でしょう」
「ご名答。男なら女のために強くならなきゃな」
「でしたら、私が丸くなってもきちんと支えてくださいね」
俺様の茶を奪って、そのままもたれかかってくる。甘えちゃってキュートじゃないか。
二人きりだと途端にふにゃってなってくるから、ギャップがたまんないのよねぇ。
「今日は随分甘えたがりだな、なんなら肩でも抱いてやろうか?」
「是非お願いします」
「仰せのままに。それで気分は」
「悪くありません」
何も言わなくても、アマンダの事は分かるさ。彼女が心から喜んでくれているのが手に取るようにわかるぜ。
リサちゃんの言葉を借りるわけじゃねぇが、確かに暫く寂しい思いをさせちまったかもな。こんな美女が尽くしてくれてるんだ、ちゃんとイチャイチャして労わねぇと罰が当たる。
折角だし、ザンドラ湖の遊覧ボートでも乗ってみるか。なんて提案しようとしたらだ。
「おいそこの片腕のおっさん、ちょっと面貸せよ」
「あん?」
振り向けば、五人のガキが徒党を組んでやがる。角材や鉄棒を持って、おー恐い恐い、カツアゲかい? 俺様が片腕だからってなめてかかってるな、面白くなってきた♪
「初対面の大人にはまず「初めまして」だろ? ママからきちんと躾けられていないのかい」
「うるせぇよ。それよりあんたよそ者だろう? よそ者には観光料を支払う義務があるんだ、俺達はその受取人なんだよ」
「そいつは知らなかった。だが悪ガキに貢ぐために稼いでいないんでね、小遣い欲しけりゃ汗水たらして働きなよボーヤ達」
「ならそっちの女を置いていってもらおうか」
「君らに扱えるほど安い女じゃねぇぞ? 俺様じゃないと乗りこなせない一級品のレディだ、手を出しゃ額がかち割れるぜ」
「ずいぶんと減らず口の絶えないおっさんだな」
「片腕のくせに、生意気なんだよ!」
ガキの一人がへらへらしながら角材を振り下ろしてきた。サービスだ、一発受けてやるよ。
俺様に当たるなり、角材がへし折れる。目の前で起こった有り得ない出来事に、ガキどもがきょとーんとした。
「あれ?」
「おやおや、角材じゃなくてバゲットでも持ってきたのかい? きゅうりとハムでも挟んでやろうか、マスタードもたっぷり塗ってやるぜ」
お前らが先に手を出したのは、他の連中もしっかり見ている。つまり俺様が手を出しても正当防衛が成り立つなぁ。
「さて、ケツを思い切りスパンキングしてやるか、それとも親父らしく拳骨を落としてやるか、好きな方を選んでいいぜ」
「な、なんだよ……! 喧嘩売ってんのか!?」
「年中無休で販売中だ、欲しけりゃ買いなよ。今なら半額セール中だぞ」
「う……ぐっ……! やばいってこいつ、なんかこう、やばいぞ!」
所詮は威勢いいだけのクソガキか。ちょっと威圧しただけで怯みやがって。
「ほらどうすんだい、俺様が選べと言ったらさっさと選べ。それとも両方ご所望かな?」
「あ、う……お、覚えてやがれ!」
ガキどもはすたこらさっさと逃げ出した。殴られる度胸もねぇのに喧嘩ふっかけやがって、殴る価値も意味もねぇや。
「悪いね、恐がらせちまって」
「全く恐くありませんよ。というより、恐がる必要がありますか」
「分かってるねぇ。そいじゃ提案だ、一緒に湖散歩でもいかがかな? ボートでもレンタルして、ゆっくりしようや」
「喜んで」
まだデートは始まったばかりだ、じっくり楽しもうぜ。
「ちょっと待っててよー、もうちょいで強化完了するから」
宿の一室にて、リサちゃんは俺様の右腕と格闘していた。
俺様の右腕をオーバーホールしたいって事で、一回バラバラに解体してパーツの点検をしてくれている。俺様としても最近右腕がちとギシギシ言ってたからな、ここらでリフレッシュしとかないと
「結構損傷酷いなぁ、この分だと一日右腕使えないけど我慢してね」
「へいへーい。暫くぶりに隻腕の男復活か、いやぁいなせでいいねぇ♪」
片腕の男ってのも格好いいからな、今日はニヒルに決めさせてもらおうか。この街、レイクタウンでな。
窓を見れば、目の前に広大な湖が広がっている。街の名にもなっているランドマーク、世界一の面積を誇るザンドラ湖だ。広さ的には……アザレアの王都より大きかったっけか。湖の中央にはでかい浮島が存在し、立派に伸びた巨木が目を引いた。
湖に沿うように建物が並び、湖上にゃ船が行き来している。この湖からとれる魚は絶品でな、昨日食ったムニエルは最高だったぜ。
「お待たせしました、がるるの毛づくろい、終わりましたよ」
「ありがとさん。いつもトリミング任せてすまねぇな」
「いえいえ、むしろがるるのもふもふを堪能できて役得です」
うっとりしたままブラシを頬ずりして、幸せそうだねぇ。瞳にハートマーク浮かんでるけど、完璧トリップしてんなぁおい。
「さっきハワードにも話したんだけど、私は今日宿にこもるから。悪いけど、このドスケベの監視よろしくね」
「かしこまりました」
「一応言っとくが、俺様右腕なくした重傷人って事分かってるよね?」
「最強賢者にそんなの関係ある?」
「ないですよね」
「……はーい俺ちんが悪かったでぃーっす。でもそんな容赦のない所も大好きだぜベイビー」
「というか、たまにはアマンダにサービスしてやんなさいよ。なんだかんだあんたの活動をいつも支えてくれてるんだからさ」
「何言ってんのさ、アマンダたんはいつも大事にしているよ。リサちゃんが見ていないところであーん♡ な事やいやーん♡ な事をそりゃもうベッドの上でしっぽりと。ぬふふ♡」
「あらあら、ある事ない事法螺吹くのは良くないとおもいますよ。うふふ♡」
「はーい耳引っ張らないでアマンダたーん♡ 君のピンチ力ガチヤバタンだから耳がほんとに引きちぎれそーなのー♪」
「あんたら、仲いいんだか悪いんだか、時々分からなくなるわよね」
「何言ってるのよ、俺様達ほんとすんごく仲良しだから」
アマンダたんには教会時代から世話掛けてるし、感謝の気持ちを示さなくちゃね。
「たまにゃあ二人きりでデートしようか。この所俺様の我儘に振り回してばかりだったからな、その詫びと思ってくれ」
「かしこまりました。今回は私がハワードを振り回す側になりましょうか」
言うなり俺様の手を取り、引っ張ってくる。普段はクールなのに、満面の笑みで俺様の前を走っている。
くくっ、嬉しいのが丸わかりだぜ。こういう所が可愛いんだよなぁ。
◇◇◇
レイクシティには昨日到着したばかりだが、エアロタウンと違って大きな街だ。
ザンドラ湖は稀少な魔石が採れる場所でね、そのおかげでガーベラの中でも一番栄えている街でもあるのさ。
「その魔石で義手のパーツも調達できるらしいし、来てよかったぜ」
「不便なことがあったら言ってください、隻腕ではできないこともあるでしょうし」
「そうねぇ……じゃあ今夜俺様の魔槍を磨くお手伝いでも」
んな事言った瞬間アッパー炸裂、一発で腰が沈んじまった。
「時間を考えて発言しなさい」
「イエス、マム……いっちー、唇噛んだぜ」
「血が出ていますね、動かないでください」
ハンカチ片手に俺様の口を拭いてくれる。やっぱり優しいねぇ君。
「ま、じゃれるのもこの辺にしとくか。何がしたい? 今日はとことんまで君に付きあうよ」
「でしたら、早速行きたい所がありまして」
てなわけでアマンダたんとのデート開始だ。レイクシティにあるケーキ屋やらカフェやらを回り、思うままに甘味を食べ歩いた。
……つーか食ってばっかりだったな。この子結構な甘党なんだよねぇ。
「レイクシティには、タピオカたる物があると聞いていましたが……それをミルクティーに入れるなんて。想像以上に美味しいです」
「んーまぁ、美味いのはいいんだが、大丈夫かいアマンダたん。この茶相当なカロリーだぞ?」
「?(無垢な瞳)」
「いや?じゃなくてな、タピオカは芋のでんぷんで作られてるからカロリー爆高なんだ。ミルクティー自体も高カロリーだし、これ一杯でクレープ一個よりも太っちまうけど」
「……ほら私、神に愛されていますので」
「食欲の神にな。けどただでさえ豊満なアマンダたんがよりムチムチになったら破壊力爆上げになるし……うんむしろもっと飲め飲め! むっちりボデー最&高☆」
「殴りますよ」
「殴ってから言う事ないんじゃない?」
恐ろしく重い右フック、俺様でなきゃ死んじゃうね。
「それに安心しな、どんな姿になろうと俺様の愛は変わらねぇからさ。俺様が何のために筋肉を鍛えぬいたか知ってるだろ」
「あらゆる女性をお姫様抱っこできるように、でしょう」
「ご名答。男なら女のために強くならなきゃな」
「でしたら、私が丸くなってもきちんと支えてくださいね」
俺様の茶を奪って、そのままもたれかかってくる。甘えちゃってキュートじゃないか。
二人きりだと途端にふにゃってなってくるから、ギャップがたまんないのよねぇ。
「今日は随分甘えたがりだな、なんなら肩でも抱いてやろうか?」
「是非お願いします」
「仰せのままに。それで気分は」
「悪くありません」
何も言わなくても、アマンダの事は分かるさ。彼女が心から喜んでくれているのが手に取るようにわかるぜ。
リサちゃんの言葉を借りるわけじゃねぇが、確かに暫く寂しい思いをさせちまったかもな。こんな美女が尽くしてくれてるんだ、ちゃんとイチャイチャして労わねぇと罰が当たる。
折角だし、ザンドラ湖の遊覧ボートでも乗ってみるか。なんて提案しようとしたらだ。
「おいそこの片腕のおっさん、ちょっと面貸せよ」
「あん?」
振り向けば、五人のガキが徒党を組んでやがる。角材や鉄棒を持って、おー恐い恐い、カツアゲかい? 俺様が片腕だからってなめてかかってるな、面白くなってきた♪
「初対面の大人にはまず「初めまして」だろ? ママからきちんと躾けられていないのかい」
「うるせぇよ。それよりあんたよそ者だろう? よそ者には観光料を支払う義務があるんだ、俺達はその受取人なんだよ」
「そいつは知らなかった。だが悪ガキに貢ぐために稼いでいないんでね、小遣い欲しけりゃ汗水たらして働きなよボーヤ達」
「ならそっちの女を置いていってもらおうか」
「君らに扱えるほど安い女じゃねぇぞ? 俺様じゃないと乗りこなせない一級品のレディだ、手を出しゃ額がかち割れるぜ」
「ずいぶんと減らず口の絶えないおっさんだな」
「片腕のくせに、生意気なんだよ!」
ガキの一人がへらへらしながら角材を振り下ろしてきた。サービスだ、一発受けてやるよ。
俺様に当たるなり、角材がへし折れる。目の前で起こった有り得ない出来事に、ガキどもがきょとーんとした。
「あれ?」
「おやおや、角材じゃなくてバゲットでも持ってきたのかい? きゅうりとハムでも挟んでやろうか、マスタードもたっぷり塗ってやるぜ」
お前らが先に手を出したのは、他の連中もしっかり見ている。つまり俺様が手を出しても正当防衛が成り立つなぁ。
「さて、ケツを思い切りスパンキングしてやるか、それとも親父らしく拳骨を落としてやるか、好きな方を選んでいいぜ」
「な、なんだよ……! 喧嘩売ってんのか!?」
「年中無休で販売中だ、欲しけりゃ買いなよ。今なら半額セール中だぞ」
「う……ぐっ……! やばいってこいつ、なんかこう、やばいぞ!」
所詮は威勢いいだけのクソガキか。ちょっと威圧しただけで怯みやがって。
「ほらどうすんだい、俺様が選べと言ったらさっさと選べ。それとも両方ご所望かな?」
「あ、う……お、覚えてやがれ!」
ガキどもはすたこらさっさと逃げ出した。殴られる度胸もねぇのに喧嘩ふっかけやがって、殴る価値も意味もねぇや。
「悪いね、恐がらせちまって」
「全く恐くありませんよ。というより、恐がる必要がありますか」
「分かってるねぇ。そいじゃ提案だ、一緒に湖散歩でもいかがかな? ボートでもレンタルして、ゆっくりしようや」
「喜んで」
まだデートは始まったばかりだ、じっくり楽しもうぜ。
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