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58話 次の目的地
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翌日、俺様達は爺さんに案内され、フェアリーちゃんの下へ向かっていた。
爺さんのツテを利用して、信用のある病院に彼女を預けたんだ。んでもって意識を取り戻したそうなんで、ちょいとお見舞いに行こうって事になったのさ。
「にしても、随分厳重に守ったわね。病院に結界まで張ってさ」
「高位の精霊は稀有な存在だ、万一周囲に知られたら、どこの誰に誘拐されるか分からねぇからよ」
「精霊は売り飛ばせば一生遊べる金が手に入るからのぉ、ほれついたぞ」
病室に入るなり、精霊ちゃんが綺麗な翡翠の瞳で俺様達を見つめてきた。
改めて見ると、やっぱ極上のキティだぜ。人間離れしたこの容姿……眺めるだけでもよだれがあふれてくるし、俺様自慢のエクスカリバーが今にも爆発寸前だ。
「てなわけで、助けた謝礼に俺様の聖剣を鎮める一発をお願いしちゃおかな♡」
「せいっ!」
「Wow!!??」
アマンダたんに俺様の宝玉を蹴り上げられ、そのまま悶絶してしまう。ちょっとそこは勘弁してくれ、俺様でも堪えるから……。
「この下郎が大変失礼しました、深く謝罪いたします」
「あんたね、病院でかます発言として最悪の一言よそれ」
「分かってないねぇ、病院という清純な場所で口説くからこそ背徳感が演出されてよりしっぽりとした一発を堪能できるんだろうが!」
なんて言ったら二人から踵落としのプレゼント、痛烈な一撃と引き換えにパンチラもらいましたー。
『……汝が、わらわを救った者達か。うっすらと覚えておるが……随分軽薄な男がおるようじゃな』
「んっ! なにこれ、頭に直接声が?」
「精霊はテレパシーで会話するのです。ハワードから聞いただけで、体験するのは初めてですが……脳が痺れる感覚がします」
「ま、慣れちまえば問題ないさ。それでレディ、気分はどうだい?」
『悪くはない、昨日よりもずっと調子がいいくらいじゃ』
「そいつは重畳。んで、聞かせてくれるかい。君のような高位の精霊が、チンケなマフィアに捕まっていた理由を。あの程度の連中なら、君一人で壊滅させられるだろう?」
『……情けない話じゃ。住処から出るなり、不意を突かれてしまってな。【封印】のスキルで力を封じられてしまい、身動きが取れなくなってしまったのじゃ』
「【封印】だと?」
「相手の能力やスキルを封じ込める、シンプルながら強力なスキルですね」
「へーっ、そんなのがあるなら、こいつが粗相しないように身に着けるのもありだわね」
「無理だと思います。相手が相手ですから」
「分かってるじゃないアマンダたん。何しろ俺様、賢者ですから。ハワード・ロックを封じ込めたきゃ、天蓋付きのベッドにネグリジェ姿の美女百人でも用意しないとだめだぜ」
『賢者、ハワード……? まさか貴様、あの勇者カインと共に魔王を討ち滅ぼした……賢者ハワードか!』
「こいつの事、知ってるの?」
『魔王討伐の話は精霊達でも話題になっている、しかし汝が大賢者ハワード・ロック……想像していたのとはだいぶ違うが』
「想像よりもイケメンで驚いたんだろ」
『想像よりアホなおっさんで驚いたんじゃ』
「おいおーい、このナイスミドルをアホ呼ばわりすんのはどうなのよ。ねぇリサちゃん」
「うんまぁ、妥当な感想だと思うよ」
「アマンダたんなら俺様の味方してくれるよねぇ?」
「普段の行動を見直してみてはいかがです?」
「……がるる、お前ならわかってくれるだろ?」
―……わふぅ(ぷいっ)
あからさまに目をそらしやがった。お前さん時々人間以上に人間らしい反応見せるじゃないの。
『じゃが、実力は本物のようじゃ。レベル999の人間、わらわよりも遥かに強い、魔力量もけた違いじゃ。それに……スケベな性根に反して強固な魂を持つようじゃの』
「おやおや、精霊は人の魂の色が見えると言うが、どうやら本当のようだな」
『うむ。軽薄な表面の奥にある、ダイヤモンドの如き魂が見える。汝ならば、信用しても……よいのだろうか』
「なんでそんな不安になんのよ、俺ちゃんの魂見たなら信用できるでしょうが」
「あんたの性癖見たら信じたくても信じられないでしょうが」
『その通り。しかし他に当てもない、賢者ハワードよ、わらわの頼みを聞いてもらえるか。わらわはやるべき事があり、故郷へ戻らねばならない。そのために、汝の力を貸してほしいのじゃ。報酬もろくに出せぬ故、汝にはあまり得のない話じゃが……』
「OK! 麗しき精霊様の依頼、このハワード・ロックが引き受けたぜ」
『って二つ返事!? よ、よいのか? アマンダにリサも、その……』
「遠慮する必要はありませんよ、例え報酬がなくても、ハワードは美女の頼みを断らない人ですから」
「それに困ってる人が居るのに、見て見ぬふりは出来ないでしょ。私らも賛成だよ」
『なんて、心意気なのじゃ……恩に着るぞ、ハワード・ロック……』
「どーいたしまして。ってわけで、前金代わりに君の名前を教えてくれるかな?」
『おっと、済まない。まだ名乗っておらなかったの。我が名はフウリ、風の精霊、フウリじゃ。そしてわらわの故郷は』
「アザレア王国の隣国、ガーベラ聖国だろ? さらに言えばエアロタウンの近くかな?」
フウリちゃんの目が見開かれる。へっへっへ、賢者ハワードを侮って貰っちゃ困るぜ。
『なぜ、そこまで……?』
「君が羽織っているその羽衣、聖獣テンペストの羽で編まれた物だろう。見ているだけで全身に風が吹き抜けるような、爽やかな魔力を感じるんだ。テンペストの姿が見れるのはこの世でただ一か所、ガーベラ聖国エアロタウン近郊だけだ。恐らく君は、テンペストに従属する精霊といった所かな」
『なんたる洞察力……伊達に女をやらしい目で物色しているわけではないという事か』
「まぁな。俺様の独眼竜を褒めてくれてありがとさん」
「褒めてないから。だけど聖獣……がるると同じ存在って事かぁ」
―がるるっ
がるるが大きく身を震わせた。ガンダルフが氷の聖獣なら、テンペストは風の聖獣だ。俺様も文献でしか知らないが、さぞ美しい姿の鳥らしいな。
「風の聖獣テンペスト……聖書にも名を連ねる崇高なる存在ですね。それにガーベラには、テンペストだけではありません。四種の聖獣が生息する、世界でも有数の聖獣国なのです」
「次の観光地としてはもってこいだぜ、いつまでもアザレアに居たらマンネリしちまうからな。よし、旅の目的も決定だ!」
ガーベラ聖国、聖獣巡りの旅だ。珍しい動物ウォッチングを楽しもうじゃあねぇか!
爺さんのツテを利用して、信用のある病院に彼女を預けたんだ。んでもって意識を取り戻したそうなんで、ちょいとお見舞いに行こうって事になったのさ。
「にしても、随分厳重に守ったわね。病院に結界まで張ってさ」
「高位の精霊は稀有な存在だ、万一周囲に知られたら、どこの誰に誘拐されるか分からねぇからよ」
「精霊は売り飛ばせば一生遊べる金が手に入るからのぉ、ほれついたぞ」
病室に入るなり、精霊ちゃんが綺麗な翡翠の瞳で俺様達を見つめてきた。
改めて見ると、やっぱ極上のキティだぜ。人間離れしたこの容姿……眺めるだけでもよだれがあふれてくるし、俺様自慢のエクスカリバーが今にも爆発寸前だ。
「てなわけで、助けた謝礼に俺様の聖剣を鎮める一発をお願いしちゃおかな♡」
「せいっ!」
「Wow!!??」
アマンダたんに俺様の宝玉を蹴り上げられ、そのまま悶絶してしまう。ちょっとそこは勘弁してくれ、俺様でも堪えるから……。
「この下郎が大変失礼しました、深く謝罪いたします」
「あんたね、病院でかます発言として最悪の一言よそれ」
「分かってないねぇ、病院という清純な場所で口説くからこそ背徳感が演出されてよりしっぽりとした一発を堪能できるんだろうが!」
なんて言ったら二人から踵落としのプレゼント、痛烈な一撃と引き換えにパンチラもらいましたー。
『……汝が、わらわを救った者達か。うっすらと覚えておるが……随分軽薄な男がおるようじゃな』
「んっ! なにこれ、頭に直接声が?」
「精霊はテレパシーで会話するのです。ハワードから聞いただけで、体験するのは初めてですが……脳が痺れる感覚がします」
「ま、慣れちまえば問題ないさ。それでレディ、気分はどうだい?」
『悪くはない、昨日よりもずっと調子がいいくらいじゃ』
「そいつは重畳。んで、聞かせてくれるかい。君のような高位の精霊が、チンケなマフィアに捕まっていた理由を。あの程度の連中なら、君一人で壊滅させられるだろう?」
『……情けない話じゃ。住処から出るなり、不意を突かれてしまってな。【封印】のスキルで力を封じられてしまい、身動きが取れなくなってしまったのじゃ』
「【封印】だと?」
「相手の能力やスキルを封じ込める、シンプルながら強力なスキルですね」
「へーっ、そんなのがあるなら、こいつが粗相しないように身に着けるのもありだわね」
「無理だと思います。相手が相手ですから」
「分かってるじゃないアマンダたん。何しろ俺様、賢者ですから。ハワード・ロックを封じ込めたきゃ、天蓋付きのベッドにネグリジェ姿の美女百人でも用意しないとだめだぜ」
『賢者、ハワード……? まさか貴様、あの勇者カインと共に魔王を討ち滅ぼした……賢者ハワードか!』
「こいつの事、知ってるの?」
『魔王討伐の話は精霊達でも話題になっている、しかし汝が大賢者ハワード・ロック……想像していたのとはだいぶ違うが』
「想像よりもイケメンで驚いたんだろ」
『想像よりアホなおっさんで驚いたんじゃ』
「おいおーい、このナイスミドルをアホ呼ばわりすんのはどうなのよ。ねぇリサちゃん」
「うんまぁ、妥当な感想だと思うよ」
「アマンダたんなら俺様の味方してくれるよねぇ?」
「普段の行動を見直してみてはいかがです?」
「……がるる、お前ならわかってくれるだろ?」
―……わふぅ(ぷいっ)
あからさまに目をそらしやがった。お前さん時々人間以上に人間らしい反応見せるじゃないの。
『じゃが、実力は本物のようじゃ。レベル999の人間、わらわよりも遥かに強い、魔力量もけた違いじゃ。それに……スケベな性根に反して強固な魂を持つようじゃの』
「おやおや、精霊は人の魂の色が見えると言うが、どうやら本当のようだな」
『うむ。軽薄な表面の奥にある、ダイヤモンドの如き魂が見える。汝ならば、信用しても……よいのだろうか』
「なんでそんな不安になんのよ、俺ちゃんの魂見たなら信用できるでしょうが」
「あんたの性癖見たら信じたくても信じられないでしょうが」
『その通り。しかし他に当てもない、賢者ハワードよ、わらわの頼みを聞いてもらえるか。わらわはやるべき事があり、故郷へ戻らねばならない。そのために、汝の力を貸してほしいのじゃ。報酬もろくに出せぬ故、汝にはあまり得のない話じゃが……』
「OK! 麗しき精霊様の依頼、このハワード・ロックが引き受けたぜ」
『って二つ返事!? よ、よいのか? アマンダにリサも、その……』
「遠慮する必要はありませんよ、例え報酬がなくても、ハワードは美女の頼みを断らない人ですから」
「それに困ってる人が居るのに、見て見ぬふりは出来ないでしょ。私らも賛成だよ」
『なんて、心意気なのじゃ……恩に着るぞ、ハワード・ロック……』
「どーいたしまして。ってわけで、前金代わりに君の名前を教えてくれるかな?」
『おっと、済まない。まだ名乗っておらなかったの。我が名はフウリ、風の精霊、フウリじゃ。そしてわらわの故郷は』
「アザレア王国の隣国、ガーベラ聖国だろ? さらに言えばエアロタウンの近くかな?」
フウリちゃんの目が見開かれる。へっへっへ、賢者ハワードを侮って貰っちゃ困るぜ。
『なぜ、そこまで……?』
「君が羽織っているその羽衣、聖獣テンペストの羽で編まれた物だろう。見ているだけで全身に風が吹き抜けるような、爽やかな魔力を感じるんだ。テンペストの姿が見れるのはこの世でただ一か所、ガーベラ聖国エアロタウン近郊だけだ。恐らく君は、テンペストに従属する精霊といった所かな」
『なんたる洞察力……伊達に女をやらしい目で物色しているわけではないという事か』
「まぁな。俺様の独眼竜を褒めてくれてありがとさん」
「褒めてないから。だけど聖獣……がるると同じ存在って事かぁ」
―がるるっ
がるるが大きく身を震わせた。ガンダルフが氷の聖獣なら、テンペストは風の聖獣だ。俺様も文献でしか知らないが、さぞ美しい姿の鳥らしいな。
「風の聖獣テンペスト……聖書にも名を連ねる崇高なる存在ですね。それにガーベラには、テンペストだけではありません。四種の聖獣が生息する、世界でも有数の聖獣国なのです」
「次の観光地としてはもってこいだぜ、いつまでもアザレアに居たらマンネリしちまうからな。よし、旅の目的も決定だ!」
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