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39話 これにて一件落……着?
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俺様の活躍により鳳凰祭は大団円で終わり、これにて一件落着だ。
「賢者ハワード様、私どもの危機を救っていただき、誠にありがとうございました」
マダムの宿泊するホテルにて、声を取り戻したマダム・ローラから感謝のお言葉を頂く俺様。マダムの生声はクリスタルのように透き通っていて、聞いているだけで幸せな気持ちになるぜ。
「しかし、自身の知名度を利用して騒動を収めてしまうとは。ザナドゥ幹部クィーンをステージの役者に仕立てるなんて、勇者パーティだからこそ出来る荒業だな」
「くくっ、このインテリジェンスに満ち溢れた男を捕まえてなぁにを今更」
「エロティシズムが人の皮被ったような男が何を言うか」
「リサさんに同じくです、ローラ様の前で口を慎みなさい」
「あれー? なんで俺様糾弾されてんのかにゃー?」
「うふふ、面白い方。でもとても、真っすぐな心をお持ちの方ですね。貴方の響かせた歌で、人となりが分かります。貴方に娘を任せて、本当によかった」
「こちらこそ、マダムの期待に応えられて何よりだ。にしてもあの歌、初めて歌ったとは思えないぜ。こっそり練習してたろ」
「う、うん。おじさんの歌を聞いてから、気に入っちゃって……ずっと頭の中で歌が止まらなかったんだ」
デイジーは照れ笑いを浮かべている。気に入ったのは俺様特製の歌だから当然として、そいつを自分の物にしちまったのは、デイジー自身の力だな。
ばっちり聞かせてもらったぜ、ソウル溢れる歌をな。
「堪能させてもらったよ、歌姫デイジーの声を。Nice guts kitty!」
「へへ……おじさんこそ、ちょっとカッコよかったよ。Nice punch my Hero!」
バチンとハイタッチすりゃ、互いに笑顔がはじけ飛ぶ、ってな。ノリがよくて俺ちゃん嬉しいぜ。
「パッチワークを倒した以上、これにて依頼は終了だ。約束通りギャラは貰っていくぜ」
「当初の予定通り、ギルド経由にて受け取りをいたしますので、入金の準備をお願いします」
「分かっている。賢者ハワード、此度の依頼を解決してくれた事、本当に感謝する」
Mr.オズマとがっちり握手し、勿論マダム・ローラとも握手をしちゃう。いんやぁ、この絹みたいな柔らかいおてて、触り心地良すぎるぜぇ。
「んで、どうするデイジー。大賢者ハワードと握手が出来る機会なんてそうそうないぜ?」
「あっ、あ……うん」
頬を染めて、俺様と握手するデイジー。恥じらう顔がそそられるぜ。全く、こりゃ数年後が楽しみな逸材だ。
「ほんじゃな、俺らは泊まってた所に戻るよ」
「えっ?」
「えっ? じゃないさ、当然だろ? パッチワークババァは倒した、もう君達を襲ってくる奴はいない。なら、俺らがこれ以上いる必要はないだろ?」
「それに私達は明日には出発する予定です、その支度をしなくてはならないので」
「も、もう!? もっとゆっくりすればいいのに」
「残念ながら、それが出来ないんだなぁ。勇者が追いかけてきてるからさぁ」
リサちゃんが名残惜しそうに苦笑し、ため息をついた。
「こいつさ、勇者パーティを引退したんだ。んで、カインは連れ戻そうと必死になっていて、それから逃げている最中なの」
「鳳凰祭で大暴れした以上、カイン君の耳にすぐ届くでしょう。ここへは一度来た事があるそうですから、転移で追いかけて来るのは間違いありません」
「となると、明日にゃさっさと逃げなきゃならねぇのさ。俺様は勇者パーティに戻るつもりはない、あいつの追跡を、撒かなきゃならないんでね」
「……そっか、もう、居なくなっちゃうんだ……」
がっくりするデイジーを、俺様はなでなでしてやったよ。
泣いているレディを慰めるのも、ジェントルメンの役目だしな。
「明日の朝に出発する予定だ、暇ならバルクに来てくれ。もしかしたら、チェックアウトの時間に鉢合うかもよ」
「う、うん! 早起きする、絶対行くから! だから、絶対待っててよ!」
熱心な子だよ、すっかり俺様の虜になっちまったな。
一家の部屋を後にし、フロントへ降りた俺様は伸びをした。やっぱいい事をした後は気持ちがいいねぇ。
「今回はカインを撒くための工作してないけど、いいの?」
「ふっふっふ、実はちゃんと根回し済みよ。さっきのお誘いがまさにそうさ」
「デイジーさんには申し訳ありませんが、カイン君を撒くお手伝いをしていただきましょう」
「ちょっと騙すみたいで恐縮だがな。しっかし、我ながら最高の仕事をしたもんだぜ。二人とも、協力サンキュな」
「まぁ、ザナドゥを出し抜くための作戦だしね。それなら手は貸すわよ」
「ただし、貴方の悪事に加担するつもりは一切ありませんが」
「悪事? 何の事よ」
「……デイジーの夢を壊さないよう、ここまであえて見逃していたけどねぇ」
アマンダたんとリサちゃんが、俺様のポケットというポケットをまさぐる。そしたら……マダム・ローラの下着がぽろぽろと。
「……おのれは緊急事態になにやらかしてんだボケがぁ!」
「いやいやいや! これは俺様ではなくクィーンが盗んだものであって俺様はそれを取り戻しただけでなぁ!」
「言い訳無用、お仕置きです!」
「ちょ、折角恰好よく決めたのに、こんなオチってありなのかよ!? Oh my Goooooooood!!??」
―わふっ、わふっ。はっはっはっはっは……
ちなみにマダム・ローラの下着は、俺様がボコられてる間にがるるがこっそり戻したそうである。
「賢者ハワード様、私どもの危機を救っていただき、誠にありがとうございました」
マダムの宿泊するホテルにて、声を取り戻したマダム・ローラから感謝のお言葉を頂く俺様。マダムの生声はクリスタルのように透き通っていて、聞いているだけで幸せな気持ちになるぜ。
「しかし、自身の知名度を利用して騒動を収めてしまうとは。ザナドゥ幹部クィーンをステージの役者に仕立てるなんて、勇者パーティだからこそ出来る荒業だな」
「くくっ、このインテリジェンスに満ち溢れた男を捕まえてなぁにを今更」
「エロティシズムが人の皮被ったような男が何を言うか」
「リサさんに同じくです、ローラ様の前で口を慎みなさい」
「あれー? なんで俺様糾弾されてんのかにゃー?」
「うふふ、面白い方。でもとても、真っすぐな心をお持ちの方ですね。貴方の響かせた歌で、人となりが分かります。貴方に娘を任せて、本当によかった」
「こちらこそ、マダムの期待に応えられて何よりだ。にしてもあの歌、初めて歌ったとは思えないぜ。こっそり練習してたろ」
「う、うん。おじさんの歌を聞いてから、気に入っちゃって……ずっと頭の中で歌が止まらなかったんだ」
デイジーは照れ笑いを浮かべている。気に入ったのは俺様特製の歌だから当然として、そいつを自分の物にしちまったのは、デイジー自身の力だな。
ばっちり聞かせてもらったぜ、ソウル溢れる歌をな。
「堪能させてもらったよ、歌姫デイジーの声を。Nice guts kitty!」
「へへ……おじさんこそ、ちょっとカッコよかったよ。Nice punch my Hero!」
バチンとハイタッチすりゃ、互いに笑顔がはじけ飛ぶ、ってな。ノリがよくて俺ちゃん嬉しいぜ。
「パッチワークを倒した以上、これにて依頼は終了だ。約束通りギャラは貰っていくぜ」
「当初の予定通り、ギルド経由にて受け取りをいたしますので、入金の準備をお願いします」
「分かっている。賢者ハワード、此度の依頼を解決してくれた事、本当に感謝する」
Mr.オズマとがっちり握手し、勿論マダム・ローラとも握手をしちゃう。いんやぁ、この絹みたいな柔らかいおてて、触り心地良すぎるぜぇ。
「んで、どうするデイジー。大賢者ハワードと握手が出来る機会なんてそうそうないぜ?」
「あっ、あ……うん」
頬を染めて、俺様と握手するデイジー。恥じらう顔がそそられるぜ。全く、こりゃ数年後が楽しみな逸材だ。
「ほんじゃな、俺らは泊まってた所に戻るよ」
「えっ?」
「えっ? じゃないさ、当然だろ? パッチワークババァは倒した、もう君達を襲ってくる奴はいない。なら、俺らがこれ以上いる必要はないだろ?」
「それに私達は明日には出発する予定です、その支度をしなくてはならないので」
「も、もう!? もっとゆっくりすればいいのに」
「残念ながら、それが出来ないんだなぁ。勇者が追いかけてきてるからさぁ」
リサちゃんが名残惜しそうに苦笑し、ため息をついた。
「こいつさ、勇者パーティを引退したんだ。んで、カインは連れ戻そうと必死になっていて、それから逃げている最中なの」
「鳳凰祭で大暴れした以上、カイン君の耳にすぐ届くでしょう。ここへは一度来た事があるそうですから、転移で追いかけて来るのは間違いありません」
「となると、明日にゃさっさと逃げなきゃならねぇのさ。俺様は勇者パーティに戻るつもりはない、あいつの追跡を、撒かなきゃならないんでね」
「……そっか、もう、居なくなっちゃうんだ……」
がっくりするデイジーを、俺様はなでなでしてやったよ。
泣いているレディを慰めるのも、ジェントルメンの役目だしな。
「明日の朝に出発する予定だ、暇ならバルクに来てくれ。もしかしたら、チェックアウトの時間に鉢合うかもよ」
「う、うん! 早起きする、絶対行くから! だから、絶対待っててよ!」
熱心な子だよ、すっかり俺様の虜になっちまったな。
一家の部屋を後にし、フロントへ降りた俺様は伸びをした。やっぱいい事をした後は気持ちがいいねぇ。
「今回はカインを撒くための工作してないけど、いいの?」
「ふっふっふ、実はちゃんと根回し済みよ。さっきのお誘いがまさにそうさ」
「デイジーさんには申し訳ありませんが、カイン君を撒くお手伝いをしていただきましょう」
「ちょっと騙すみたいで恐縮だがな。しっかし、我ながら最高の仕事をしたもんだぜ。二人とも、協力サンキュな」
「まぁ、ザナドゥを出し抜くための作戦だしね。それなら手は貸すわよ」
「ただし、貴方の悪事に加担するつもりは一切ありませんが」
「悪事? 何の事よ」
「……デイジーの夢を壊さないよう、ここまであえて見逃していたけどねぇ」
アマンダたんとリサちゃんが、俺様のポケットというポケットをまさぐる。そしたら……マダム・ローラの下着がぽろぽろと。
「……おのれは緊急事態になにやらかしてんだボケがぁ!」
「いやいやいや! これは俺様ではなくクィーンが盗んだものであって俺様はそれを取り戻しただけでなぁ!」
「言い訳無用、お仕置きです!」
「ちょ、折角恰好よく決めたのに、こんなオチってありなのかよ!? Oh my Goooooooood!!??」
―わふっ、わふっ。はっはっはっはっは……
ちなみにマダム・ローラの下着は、俺様がボコられてる間にがるるがこっそり戻したそうである。
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