73 / 133
73 マッチョさん、紹介する
しおりを挟む
いい朝だ。身体も軽いし、関節に痛みも無い。関節が熱を持ったり痛みがあると感じたら、とにかく冷やして安静にしよう。トレーニングをしないというのは落ち着かないが、休むのもトレーニングのうちだ。関節への負荷が少ない体幹トレーニングだけは続けていこうと思う。
・・・トレーニーの先輩方もこういう時間と気持ちを経験してきたのだろうな。焦るが焦ってはいけない。私は生涯を賭けてトレーニングを続けたいのだ。
今後は栄養摂取についてもしっかりと記録をしようと思う。トレーニングもしていないのにいつも通りに食べてしまったら、食べた分だけ脂肪になってまた重くなってしまう。筋トレが大切だと思うのであれば、関節への負荷を一番に考えないといけないな。
朝食を摂りストレッチをして、ソフィーさんにアポイントを取ったらすぐ来てくれとのことだった。
王宮薬師の研究室がどこにあるのか分からないので衛兵に案内してもらった。理系の研究室という感じだ。ガラス製の器などこの世界に来てからあまり見た記憶が無い。なにに使うのか分からないようなものばかり置いてあるな。勝手に触ったりしたらマズそうだ。
久しぶりにソフィーさんを見たが、けっこうヘコんでいた。
用件はやはりサバスの味のことだった。各方面に量産品を配ったが、体調不良になる人たちが続出してしまったのだそうだ。やはり味のことは考えていなかったとのこと。薬のような感覚で大量生産してしまったので、大量に在庫がだぶついているそうだ。粉のままのサバスは日持ちするので、捨てるという選択をするよりも解決策があったほうがいいので相談したとのことだ。
「マッチョさんに以前、やんわりと味について意見されたことを思い出しました。なにか改良案が無いでしょうか?ぜんぜん人気が無くて。」
「うーん、なにかを混ぜて飲みやすくするしかないですね。私には案が無いですが、いい考えを持っていそうな人なら知っています。」
「どなたですか?」
「この王都で働いている料理人です。」
王宮薬師からの呼び出しということで、さっそくタベルナ村の村長さんがやって来た。
「王城からの呼び出しということでしたので、マッチョさんだと思ってましたぞ。昨日は店に来ていただけたのに顔も出せませんで申し訳ありませんでしたな!」
あれだけ繁盛していたら調理場から出られないだろう。しかし会うたびにエネルギッシュになっていくなぁ。
「ちょっと村長さんの知恵を借りたくてお呼び立てしました。こちらは王宮薬師のソフィーさんです。」
「タベルナ村の村長です。いまは王都でタベルナ食堂の料理人をやっていますぞ。」
「王宮薬師のソフィーです。」
村長さん、王城だというのにぜんぜん緊張していないな。
「とりあえず、これを飲んでいただけませんか?」
一口飲んで、村長さんが顔をしかめる。
「・・・お世辞にも旨いとは言い難いですな。」
「栄養は肉や魚と同じくらいあるのですが、私はその・・・味の方は自信が無くて・・・」
やはりソフィーさんは味オンチだったのか。大量生産する前に誰か止めなかったのだろうか。
「材料は、粉末にしたエルフ豆ですかな?」
「そうです!乾燥したエルフ豆を高濃度にしたものです!」
一口飲んで材料を言い当てた。この村長さんはどれだけの食材を知っているというのだ。
「ふーむ・・・乾燥させているということは、日持ちと携帯を目的とした薬品のようですな。」相変わらず察しが良くて助かる。
「これを美味しくするにはどうしたらいいものかと思いまして。村長さん、なにか名案は無いですか?」
「・・・難しいですなぁ。乾燥していないエルフ豆でしたらやり方もあるでしょうが。ですがマッチョさんの頼みです。少し乾燥させた状態のものをいただけませんかな?食堂に持ち帰って考えてみましょう。」
「よろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします!」
まともなプロテインが手に入るかどうかの瀬戸際なのだ。なんとか村長の調理センスに期待するしかない。
夕方には私とソフィーさんがタベルナ食堂に呼ばれた。
もうできたのか。あの村長さん、どれだけ仕事が早いのだ。
「いくつか試作品を作ってみましたが、これが一番しっくり来ましたな。飲んでみてください。」
まぁまぁ溶けているな。どれ・・・
「・・・私にも分かります!美味しいです!お薬じゃないみたいです!」プロテインと薬を混同してもらっては困るが、開発の過程を考えると似たようなものに思えてくるのも理解できる。
「うん、これなら飲めますね。」
驚くほど美味しいものでは無いが、マズくもない。しかしどこかで食べたことのあるような、郷愁のある味だ。
「乾燥させたエルフ豆だということでしたので、まずは使用量を半分に減らしました。匂いがきついですからな。同じ豆ということで香ばしく炒った大豆を粉にして混ぜています。さらにトロトロになるまで炒めて黒くなった砂糖水を少しだけ入れています。マッチョさんは甘いものが苦手でしたからな。」
なるほど。豆には豆。きな粉と黒糖に近い組み合わせを考え付いたのか。
きな粉という点がいい。大豆であるならエルフ豆と同じように筋肉には効くだろう。黒糖のカロリーは気になるが、大量のタンパク質を摂取できるのであれば多少の糖質が入っていても仕方が無いだろう。
「で、次点はこちらですぞ。」
飲んでみる。こちらはきな粉と蜂蜜か。最初に出されたものに比べたら味は劣るが、飲めない味ではない。
「こちらの粉は、軍の備品になるものとお見受けました。砂糖は高価ですからな。より安価で保存が効く蜂蜜でしたらこういう味になります。」
「・・・こ、こ、これ!二つとも持ち帰って研究させていただいてもいいでしょうか!」
「王宮薬師の方に頼まれたら断れませんぞ。調理法もメモしておいたので、材料とともに持ち帰ってください。」
「あ、ありがとうございます!マッチョさんもスゴい方を紹介していただいてありがとうございました!」
ずいぶんと刺激になったようだ。こちらがなにか言う前に走って王城へと向かっていった。
「ふぅ。マズいものを食べられるようにするというのは、難しい仕事でしたな。」
村長さんをして難しいと言わしめるのか。
「本当にありがとうございました。」
これで私も手軽にプロテインで栄養補給ができる。また筋トレが捗ってしまうな。
「マッチョさんも隅におけませんな。女性に頼られて問題を解決したら笑顔が出ますか。」
そういう笑顔では無い。プロテインが手に入ることが嬉しいのだ。
・・・ん?女性?
「女性って、ソフィーさんですか?」
「ええ。先ほどの王宮薬師の方ですよ。マッチョさんの恋人ですかな?」
ソフィーさん、女性だったのか。肉体的に細くて出るところが出ていなかったので、細身の男性だとばかり思っていた。王宮薬師という高い立場にいる人だったし。
最近はすっかり女性から縁遠くなってしまっていたが、どうにも私は女性よりも筋トレの方がスキなのだ。ソフィーさんの喜びよりも、まともに飲めるプロテインが手に入る方が喜ばしい。
・・・いつかは至高のストロベリー味も作ることができたらいいのだが。
・・・トレーニーの先輩方もこういう時間と気持ちを経験してきたのだろうな。焦るが焦ってはいけない。私は生涯を賭けてトレーニングを続けたいのだ。
今後は栄養摂取についてもしっかりと記録をしようと思う。トレーニングもしていないのにいつも通りに食べてしまったら、食べた分だけ脂肪になってまた重くなってしまう。筋トレが大切だと思うのであれば、関節への負荷を一番に考えないといけないな。
朝食を摂りストレッチをして、ソフィーさんにアポイントを取ったらすぐ来てくれとのことだった。
王宮薬師の研究室がどこにあるのか分からないので衛兵に案内してもらった。理系の研究室という感じだ。ガラス製の器などこの世界に来てからあまり見た記憶が無い。なにに使うのか分からないようなものばかり置いてあるな。勝手に触ったりしたらマズそうだ。
久しぶりにソフィーさんを見たが、けっこうヘコんでいた。
用件はやはりサバスの味のことだった。各方面に量産品を配ったが、体調不良になる人たちが続出してしまったのだそうだ。やはり味のことは考えていなかったとのこと。薬のような感覚で大量生産してしまったので、大量に在庫がだぶついているそうだ。粉のままのサバスは日持ちするので、捨てるという選択をするよりも解決策があったほうがいいので相談したとのことだ。
「マッチョさんに以前、やんわりと味について意見されたことを思い出しました。なにか改良案が無いでしょうか?ぜんぜん人気が無くて。」
「うーん、なにかを混ぜて飲みやすくするしかないですね。私には案が無いですが、いい考えを持っていそうな人なら知っています。」
「どなたですか?」
「この王都で働いている料理人です。」
王宮薬師からの呼び出しということで、さっそくタベルナ村の村長さんがやって来た。
「王城からの呼び出しということでしたので、マッチョさんだと思ってましたぞ。昨日は店に来ていただけたのに顔も出せませんで申し訳ありませんでしたな!」
あれだけ繁盛していたら調理場から出られないだろう。しかし会うたびにエネルギッシュになっていくなぁ。
「ちょっと村長さんの知恵を借りたくてお呼び立てしました。こちらは王宮薬師のソフィーさんです。」
「タベルナ村の村長です。いまは王都でタベルナ食堂の料理人をやっていますぞ。」
「王宮薬師のソフィーです。」
村長さん、王城だというのにぜんぜん緊張していないな。
「とりあえず、これを飲んでいただけませんか?」
一口飲んで、村長さんが顔をしかめる。
「・・・お世辞にも旨いとは言い難いですな。」
「栄養は肉や魚と同じくらいあるのですが、私はその・・・味の方は自信が無くて・・・」
やはりソフィーさんは味オンチだったのか。大量生産する前に誰か止めなかったのだろうか。
「材料は、粉末にしたエルフ豆ですかな?」
「そうです!乾燥したエルフ豆を高濃度にしたものです!」
一口飲んで材料を言い当てた。この村長さんはどれだけの食材を知っているというのだ。
「ふーむ・・・乾燥させているということは、日持ちと携帯を目的とした薬品のようですな。」相変わらず察しが良くて助かる。
「これを美味しくするにはどうしたらいいものかと思いまして。村長さん、なにか名案は無いですか?」
「・・・難しいですなぁ。乾燥していないエルフ豆でしたらやり方もあるでしょうが。ですがマッチョさんの頼みです。少し乾燥させた状態のものをいただけませんかな?食堂に持ち帰って考えてみましょう。」
「よろしくお願いします。」
「よ、よろしくお願いします!」
まともなプロテインが手に入るかどうかの瀬戸際なのだ。なんとか村長の調理センスに期待するしかない。
夕方には私とソフィーさんがタベルナ食堂に呼ばれた。
もうできたのか。あの村長さん、どれだけ仕事が早いのだ。
「いくつか試作品を作ってみましたが、これが一番しっくり来ましたな。飲んでみてください。」
まぁまぁ溶けているな。どれ・・・
「・・・私にも分かります!美味しいです!お薬じゃないみたいです!」プロテインと薬を混同してもらっては困るが、開発の過程を考えると似たようなものに思えてくるのも理解できる。
「うん、これなら飲めますね。」
驚くほど美味しいものでは無いが、マズくもない。しかしどこかで食べたことのあるような、郷愁のある味だ。
「乾燥させたエルフ豆だということでしたので、まずは使用量を半分に減らしました。匂いがきついですからな。同じ豆ということで香ばしく炒った大豆を粉にして混ぜています。さらにトロトロになるまで炒めて黒くなった砂糖水を少しだけ入れています。マッチョさんは甘いものが苦手でしたからな。」
なるほど。豆には豆。きな粉と黒糖に近い組み合わせを考え付いたのか。
きな粉という点がいい。大豆であるならエルフ豆と同じように筋肉には効くだろう。黒糖のカロリーは気になるが、大量のタンパク質を摂取できるのであれば多少の糖質が入っていても仕方が無いだろう。
「で、次点はこちらですぞ。」
飲んでみる。こちらはきな粉と蜂蜜か。最初に出されたものに比べたら味は劣るが、飲めない味ではない。
「こちらの粉は、軍の備品になるものとお見受けました。砂糖は高価ですからな。より安価で保存が効く蜂蜜でしたらこういう味になります。」
「・・・こ、こ、これ!二つとも持ち帰って研究させていただいてもいいでしょうか!」
「王宮薬師の方に頼まれたら断れませんぞ。調理法もメモしておいたので、材料とともに持ち帰ってください。」
「あ、ありがとうございます!マッチョさんもスゴい方を紹介していただいてありがとうございました!」
ずいぶんと刺激になったようだ。こちらがなにか言う前に走って王城へと向かっていった。
「ふぅ。マズいものを食べられるようにするというのは、難しい仕事でしたな。」
村長さんをして難しいと言わしめるのか。
「本当にありがとうございました。」
これで私も手軽にプロテインで栄養補給ができる。また筋トレが捗ってしまうな。
「マッチョさんも隅におけませんな。女性に頼られて問題を解決したら笑顔が出ますか。」
そういう笑顔では無い。プロテインが手に入ることが嬉しいのだ。
・・・ん?女性?
「女性って、ソフィーさんですか?」
「ええ。先ほどの王宮薬師の方ですよ。マッチョさんの恋人ですかな?」
ソフィーさん、女性だったのか。肉体的に細くて出るところが出ていなかったので、細身の男性だとばかり思っていた。王宮薬師という高い立場にいる人だったし。
最近はすっかり女性から縁遠くなってしまっていたが、どうにも私は女性よりも筋トレの方がスキなのだ。ソフィーさんの喜びよりも、まともに飲めるプロテインが手に入る方が喜ばしい。
・・・いつかは至高のストロベリー味も作ることができたらいいのだが。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。


元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

モブっと異世界転生
月夜の庭
ファンタジー
会社の経理課に所属する地味系OL鳳来寺 桜姫(ほうらいじ さくらこ)は、ゲーム片手に宅飲みしながら、家猫のカメリア(黒猫)と戯れることが生き甲斐だった。
ところが台風の夜に強風に飛ばされたプレハブが窓に直撃してカメリアを庇いながら息を引き取った………筈だった。
目が覚めると小さな籠の中で、おそらく兄弟らしき子猫達と一緒に丸くなって寝ていました。
サクラと名付けられた私は、黒猫の獣人だと知って驚愕する。
死ぬ寸前に遊んでた乙女ゲームじゃね?!
しかもヒロイン(茶虎猫)の義理の妹…………ってモブかよ!
*誤字脱字は発見次第、修正しますので長い目でお願い致します。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる