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49 マッチョさん、武器屋さんの謁見に付き添う
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武器屋さん、ガッチガチに緊張しているなぁ。やはりアレの出番か。
「すごく緊張していますね。」
「そりゃしますよ!人間王ですよ!マッチョさんは緊張しなかったんですか?」
「最初は緊張しましたけれども、緊張を和らげる方法を知っていたのでなんとか凌ぎました。」
「なんですかそれ!私にも教えてくださいよ!」
「では私と同じポーズをとってください。手の小指側を内側に向け拳を握り、足は肩幅に。そう!そのポーズで顔から足の指まで全身に力をいれてください!そうです!」
「ふんっ!」
少々ぎこちないが、ポージングはポージングだ。肉体労働を糧としている上に、ドワーフよりも体脂肪率が少ない。武器屋さん、ナイスポージングです。
宮廷衛士がヘンな顔をしているが事態は急を要するのだ。人目など気にしてはいけない。
謁見が始まった。
「そなたがソロウに住む、マッチョの斧を作った武器職人か?」
「はい、間違いございません。」
「こちらに座っているのはドワーフ王だ。お前に聞きたいことがあると知って、わざわざ人間国までいらした。」
「ど、ど、ど、ドワーフ王ですか・・・はっ、初めまして!ジンカと言います!」
ドワーフ王と聞いてまた緊張してしまったな。ドワーフ王が会いに来ていると言っておいた方が良かっただろうか?
「ドワーフ王、ハイドだ。ずいぶんと緊張しているようだが、まぁ緊張するなという方がムリがあるか・・・人間王、謁見はこの程度で済ませて、彼とは別室で話をしたいが構わないだろうか?」
「構わん。私も同席する。謁見はここまでとしよう。マッチョ、ジンカ、別室で待機しておけ。」
「はい。」
「わ、分かりました。」
武器屋さんの顔色がヤバいことになっている。相手は鍛治の神だ。私だってランドクルーザー岡田に呼び出されたらこれくらい緊張すると思う。
また例の会議部屋だ。
堅苦しい謁見は何度やっても好きになれないが、ああいうものが無いと締まらないのだろう。
「さて。ここには俺と人間王、それに俺の右腕のカイトとマッチョしかいない。堅苦しい言い方も前置きも無しだ。マッチョの斧を作った高炉について話が聞きたい。」
高炉と聞いて、ジンカさんの顔付きが変わった。
「マッチョさんの斧を見て気づかれましたか・・・さすがドワーフ王です。」
たしかドワーフ王ではなく、ドロスさんが気づいたと思うが言わないでおくことにした。
「ジンカ。これは人間王からの頼みでもある。ドワーフ王がわざわざ国を離れてお前を訪ねてくるほどのことだ。話してはもらえないだろうか?」
「・・・分かりました。話しましょう。」
ジンカさんは大きく息を吸って、ゆっくりと吐いた。
「マッチョさんの斧を作った高炉は、私の家に代々伝わるものです。先代からは他言するなと言われました。ですが、人間王とドワーフ王にまで高炉について問われているのです。いまこの時代に、表に出すべきものなのでしょう。」
「なぜだ?他の者に使わせるとなにかマズいとでも言うのか?」
「かなり古くなっていて、もはやあまり多くのものを作れないと思われるからです。しかし補修しようにも材料が分からず、補修のしようもありません。先代に生涯に三度だけ火を入れることを許されました。高炉を継ぐものが出たら同じように伝えよと。」
「で、マッチョの斧を作ったと。」
「若気の至りというやつです。今はどこにでもある炉を使って、誰もが使える武器を作っていますよ。人が使えないものなど武器とは言えませんからね。」
私は人なのだが。
「その高炉、俺とカイトが見ることはできるだろうか?頼む!」
「お願いします、ジンカさん!」
ドワーフ二人が人間に頭を下げている。鍛治仕事の神が武器屋さんに頭を下げているのは不思議な光景だ。武器屋さんが困っている。
「武器屋さんが使ったその高炉、どうやら初代王の時代にドワーフ王が作ったものらしいんですよ。」
「ええっ?そうなんですか!いや特別なものだとは思っていましたが、そこまで古いものであるとは知りませんでした。」
「ドワーフ国では失われてしまった高炉だということで、わざわざドワーフ王とカイトさんがいらしたんです。」
「そういうことでしたか・・・いや、頭を上げてください。鍛治の神に頭を下げられたら、いち武器屋が断れるワケがありません。ですが今わたしの仕事場には無いのです。」
「じゃぁどこに?」
「今からですと日が暮れてしまいますから、明日にしましょう。山道をけっこう歩くので、支度をしておいてください。ええと、人間王も来られるのですか?」
「俺が行くと大事になってしまうからな。その口ぶりではあまり目立ってもいけないのだろう?」
「そうですね。では私と助手、ドワーフ王とカイトさん、それにマッチョさんの五人だけで行きましょうか。」
私も行くのか。
いや、夢のマイトレーニングマシンに近づいているのだ。行かない理由が無いだろう。
「すごく緊張していますね。」
「そりゃしますよ!人間王ですよ!マッチョさんは緊張しなかったんですか?」
「最初は緊張しましたけれども、緊張を和らげる方法を知っていたのでなんとか凌ぎました。」
「なんですかそれ!私にも教えてくださいよ!」
「では私と同じポーズをとってください。手の小指側を内側に向け拳を握り、足は肩幅に。そう!そのポーズで顔から足の指まで全身に力をいれてください!そうです!」
「ふんっ!」
少々ぎこちないが、ポージングはポージングだ。肉体労働を糧としている上に、ドワーフよりも体脂肪率が少ない。武器屋さん、ナイスポージングです。
宮廷衛士がヘンな顔をしているが事態は急を要するのだ。人目など気にしてはいけない。
謁見が始まった。
「そなたがソロウに住む、マッチョの斧を作った武器職人か?」
「はい、間違いございません。」
「こちらに座っているのはドワーフ王だ。お前に聞きたいことがあると知って、わざわざ人間国までいらした。」
「ど、ど、ど、ドワーフ王ですか・・・はっ、初めまして!ジンカと言います!」
ドワーフ王と聞いてまた緊張してしまったな。ドワーフ王が会いに来ていると言っておいた方が良かっただろうか?
「ドワーフ王、ハイドだ。ずいぶんと緊張しているようだが、まぁ緊張するなという方がムリがあるか・・・人間王、謁見はこの程度で済ませて、彼とは別室で話をしたいが構わないだろうか?」
「構わん。私も同席する。謁見はここまでとしよう。マッチョ、ジンカ、別室で待機しておけ。」
「はい。」
「わ、分かりました。」
武器屋さんの顔色がヤバいことになっている。相手は鍛治の神だ。私だってランドクルーザー岡田に呼び出されたらこれくらい緊張すると思う。
また例の会議部屋だ。
堅苦しい謁見は何度やっても好きになれないが、ああいうものが無いと締まらないのだろう。
「さて。ここには俺と人間王、それに俺の右腕のカイトとマッチョしかいない。堅苦しい言い方も前置きも無しだ。マッチョの斧を作った高炉について話が聞きたい。」
高炉と聞いて、ジンカさんの顔付きが変わった。
「マッチョさんの斧を見て気づかれましたか・・・さすがドワーフ王です。」
たしかドワーフ王ではなく、ドロスさんが気づいたと思うが言わないでおくことにした。
「ジンカ。これは人間王からの頼みでもある。ドワーフ王がわざわざ国を離れてお前を訪ねてくるほどのことだ。話してはもらえないだろうか?」
「・・・分かりました。話しましょう。」
ジンカさんは大きく息を吸って、ゆっくりと吐いた。
「マッチョさんの斧を作った高炉は、私の家に代々伝わるものです。先代からは他言するなと言われました。ですが、人間王とドワーフ王にまで高炉について問われているのです。いまこの時代に、表に出すべきものなのでしょう。」
「なぜだ?他の者に使わせるとなにかマズいとでも言うのか?」
「かなり古くなっていて、もはやあまり多くのものを作れないと思われるからです。しかし補修しようにも材料が分からず、補修のしようもありません。先代に生涯に三度だけ火を入れることを許されました。高炉を継ぐものが出たら同じように伝えよと。」
「で、マッチョの斧を作ったと。」
「若気の至りというやつです。今はどこにでもある炉を使って、誰もが使える武器を作っていますよ。人が使えないものなど武器とは言えませんからね。」
私は人なのだが。
「その高炉、俺とカイトが見ることはできるだろうか?頼む!」
「お願いします、ジンカさん!」
ドワーフ二人が人間に頭を下げている。鍛治仕事の神が武器屋さんに頭を下げているのは不思議な光景だ。武器屋さんが困っている。
「武器屋さんが使ったその高炉、どうやら初代王の時代にドワーフ王が作ったものらしいんですよ。」
「ええっ?そうなんですか!いや特別なものだとは思っていましたが、そこまで古いものであるとは知りませんでした。」
「ドワーフ国では失われてしまった高炉だということで、わざわざドワーフ王とカイトさんがいらしたんです。」
「そういうことでしたか・・・いや、頭を上げてください。鍛治の神に頭を下げられたら、いち武器屋が断れるワケがありません。ですが今わたしの仕事場には無いのです。」
「じゃぁどこに?」
「今からですと日が暮れてしまいますから、明日にしましょう。山道をけっこう歩くので、支度をしておいてください。ええと、人間王も来られるのですか?」
「俺が行くと大事になってしまうからな。その口ぶりではあまり目立ってもいけないのだろう?」
「そうですね。では私と助手、ドワーフ王とカイトさん、それにマッチョさんの五人だけで行きましょうか。」
私も行くのか。
いや、夢のマイトレーニングマシンに近づいているのだ。行かない理由が無いだろう。
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