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108 請願
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ちんこを身体に入れたまま気絶していたアンナは、数分で気づいた。
表情を確認してみると、頬は朱が挿して光り輝き目も恍惚としているな。恐怖を押し殺して全身で未知の快感を味わったのだから、こういう風にもなる。
「どこも痛くない?」
「私、どうしていたんですか?」
「少し気を失ってた」
まぁ、とアンナは一言発すると、余韻が冷めやらないという表情のまま俺に笑顔を向けた。今日はここまでだな。抱き寄せてからの濃厚なキスは最後の締めだ。気持ち的にはアンナは続けたそうだが、まだ痙攣が止まらない。これ以上は危ないだろうから俺はちんこをアンナから抜いて休ませた。
「どうだった?」
「なんと申し上げたらいいのか・・・殿方との交わりの先に、ここまでの経験があったことが・・・まだ信じられません・・・」
かなり乱れたせいか、アンナは恥ずかしがってシーツで顔を隠している。大きすぎる快感のせいか、シーツで覆っているにも関わらず笑顔が隠せないな。
「顔を見せて」
シーツを下ろしてくれたけれども、目は伏せて俺の顔を見ようとしない。たまに目が合うとこんなに楽しいことは無いと言わんばかりの笑顔で、さっきの快感を反芻している。
「アンナの機織り機があるでしょ?あれをちょっと貸してくれないかな?」
ピロートークも冷めてきたので、俺は先日思いついたことをアンナに話した。
「チュノスとペテルグで戦争が起きるのですね?」
「うん」
「アラヒト様の勝利に役立つのであれば、お貸し致します」
「ありがとう」
戦うのは俺じゃないけれどね。まぁ後方支援をしっかりやって、勝利の可能性を少しでも上げるのは俺の仕事だ。
「先日リーベリとの会談があったと聞いています。以前に王妃様がクレアを通じてマハカムに働きかけたようでした」
「へぇ」
マハカムがリーベリに燃料を売らないように仕向けていたということか。
「マハカムは王妃への見返りになにを求めているんだろう?」
「次の春までの同盟と、食料の支援だと思います。この春に大風が吹いて死者も出たそうです。大風による被害から回復するまで、マハカムには他国に侵攻できる力はありません」
大風ということは樹木もやられたのか。だとすれば国内用の燃料はどうにかなっても、輸出用の燃料は出せなくなる。大風だけではなく、王妃はマハカム国内の燃料不足についても知っていたのかもしれないな。しかし・・・同盟?
「同盟なんてそんな大きな話、初めて聞いたな。内政部や諜報部からも聞いていない」
「マハカム国内の話がどの程度正確に伝わるのか、皆様はまだ確証が持てないのでしょう」
それは有り得るな。商会やクレア経由では、どうしても情報の精度に自信が持てないだろう。間違った情報に基づいて動いてしまったら、また国が傾いてしまう。だが・・・
「アンナはなぜ間違っていないと断言できるんだ?」
「私の両親、マハカム王家からクレアを通じてお話を聞いているからです」
クレアか。なるほどな。
「図々しいのは承知の上なのですが・・・同盟が成るとしたらおそらくマハカム王家の人間がペテルグまでやって来ると思います。その折に一目でいいので私と会わせていただけないでしょうか?」
たしかにアンナの処遇は気にはなっていた。敵国の中に女性ひとりだもんな。
「俺一人では決められないけれど、頼んではみるよ。あんまり期待はしないで欲しい」
隣国との外交が関わる話に即答はできない。王妃の策がどれほど複雑なのかも分からないしな。
「申し訳ありません。アラヒト様に私を贈ったあと、王家としての仕事に失敗した私が生かされ続けている理由がマハカム王家には分からないようなのです」
そう言えばアンナはマハカムの刺客として、俺を籠絡するために贈られてきたんだったな。何事も無かったかのように一緒に寝ていると忘れそうになる。
「もともとマハカム王家は、ペテルグ王家との関係以上にアラヒト様に重きを置いていたのです」
「俺に?」
「マハカムはガラスや果物、繊維や衣服や染料といったものを特産としています。ですがそれらはマハカムの人間が作り上げたというワケではなく、マハカムに居たとされる異世界人が伝えたとされています」
あのえげつない床の技術もそうなんだろうな。
「それゆえにマハカムは異世界人の力を強く信じています。一国をわずかな時間で立て直す異世界人の知己を得ようというのは、マハカムの人間にとっては当然のことなのです」
って言われてもなぁ・・・この国を弱体化させようとした王と、弱体化されそうだった張本人が仲良くするってのはアリなのかなぁ?それこそペテルグ王家と内政部に話を通さないことにはどうしようもない。俺としては終わったことだけれど、王妃や宰相がどう考えるかまでは分からないな。
考え込んでいたら、アンナが表情を変えて話し出した。
「あの・・・アラヒト様・・・私はアラヒト様のハーレムの一員として生きてゆく覚悟です。命を救われ、居場所を与えられて・・・その・・・妙に聞こえるかもしれませんが、もう幸せなのです」
「うん、信じるよ」
妙に聞こえるからこそ、幸せだというアンナの言葉には不思議と説得力がある。
命を救われて仕事と衣食住を与えられて、寵愛と快楽も与えられて、それでも俺を殺そうとする女性がいるってことはさすがに考えたくないな。
表情を確認してみると、頬は朱が挿して光り輝き目も恍惚としているな。恐怖を押し殺して全身で未知の快感を味わったのだから、こういう風にもなる。
「どこも痛くない?」
「私、どうしていたんですか?」
「少し気を失ってた」
まぁ、とアンナは一言発すると、余韻が冷めやらないという表情のまま俺に笑顔を向けた。今日はここまでだな。抱き寄せてからの濃厚なキスは最後の締めだ。気持ち的にはアンナは続けたそうだが、まだ痙攣が止まらない。これ以上は危ないだろうから俺はちんこをアンナから抜いて休ませた。
「どうだった?」
「なんと申し上げたらいいのか・・・殿方との交わりの先に、ここまでの経験があったことが・・・まだ信じられません・・・」
かなり乱れたせいか、アンナは恥ずかしがってシーツで顔を隠している。大きすぎる快感のせいか、シーツで覆っているにも関わらず笑顔が隠せないな。
「顔を見せて」
シーツを下ろしてくれたけれども、目は伏せて俺の顔を見ようとしない。たまに目が合うとこんなに楽しいことは無いと言わんばかりの笑顔で、さっきの快感を反芻している。
「アンナの機織り機があるでしょ?あれをちょっと貸してくれないかな?」
ピロートークも冷めてきたので、俺は先日思いついたことをアンナに話した。
「チュノスとペテルグで戦争が起きるのですね?」
「うん」
「アラヒト様の勝利に役立つのであれば、お貸し致します」
「ありがとう」
戦うのは俺じゃないけれどね。まぁ後方支援をしっかりやって、勝利の可能性を少しでも上げるのは俺の仕事だ。
「先日リーベリとの会談があったと聞いています。以前に王妃様がクレアを通じてマハカムに働きかけたようでした」
「へぇ」
マハカムがリーベリに燃料を売らないように仕向けていたということか。
「マハカムは王妃への見返りになにを求めているんだろう?」
「次の春までの同盟と、食料の支援だと思います。この春に大風が吹いて死者も出たそうです。大風による被害から回復するまで、マハカムには他国に侵攻できる力はありません」
大風ということは樹木もやられたのか。だとすれば国内用の燃料はどうにかなっても、輸出用の燃料は出せなくなる。大風だけではなく、王妃はマハカム国内の燃料不足についても知っていたのかもしれないな。しかし・・・同盟?
「同盟なんてそんな大きな話、初めて聞いたな。内政部や諜報部からも聞いていない」
「マハカム国内の話がどの程度正確に伝わるのか、皆様はまだ確証が持てないのでしょう」
それは有り得るな。商会やクレア経由では、どうしても情報の精度に自信が持てないだろう。間違った情報に基づいて動いてしまったら、また国が傾いてしまう。だが・・・
「アンナはなぜ間違っていないと断言できるんだ?」
「私の両親、マハカム王家からクレアを通じてお話を聞いているからです」
クレアか。なるほどな。
「図々しいのは承知の上なのですが・・・同盟が成るとしたらおそらくマハカム王家の人間がペテルグまでやって来ると思います。その折に一目でいいので私と会わせていただけないでしょうか?」
たしかにアンナの処遇は気にはなっていた。敵国の中に女性ひとりだもんな。
「俺一人では決められないけれど、頼んではみるよ。あんまり期待はしないで欲しい」
隣国との外交が関わる話に即答はできない。王妃の策がどれほど複雑なのかも分からないしな。
「申し訳ありません。アラヒト様に私を贈ったあと、王家としての仕事に失敗した私が生かされ続けている理由がマハカム王家には分からないようなのです」
そう言えばアンナはマハカムの刺客として、俺を籠絡するために贈られてきたんだったな。何事も無かったかのように一緒に寝ていると忘れそうになる。
「もともとマハカム王家は、ペテルグ王家との関係以上にアラヒト様に重きを置いていたのです」
「俺に?」
「マハカムはガラスや果物、繊維や衣服や染料といったものを特産としています。ですがそれらはマハカムの人間が作り上げたというワケではなく、マハカムに居たとされる異世界人が伝えたとされています」
あのえげつない床の技術もそうなんだろうな。
「それゆえにマハカムは異世界人の力を強く信じています。一国をわずかな時間で立て直す異世界人の知己を得ようというのは、マハカムの人間にとっては当然のことなのです」
って言われてもなぁ・・・この国を弱体化させようとした王と、弱体化されそうだった張本人が仲良くするってのはアリなのかなぁ?それこそペテルグ王家と内政部に話を通さないことにはどうしようもない。俺としては終わったことだけれど、王妃や宰相がどう考えるかまでは分からないな。
考え込んでいたら、アンナが表情を変えて話し出した。
「あの・・・アラヒト様・・・私はアラヒト様のハーレムの一員として生きてゆく覚悟です。命を救われ、居場所を与えられて・・・その・・・妙に聞こえるかもしれませんが、もう幸せなのです」
「うん、信じるよ」
妙に聞こえるからこそ、幸せだというアンナの言葉には不思議と説得力がある。
命を救われて仕事と衣食住を与えられて、寵愛と快楽も与えられて、それでも俺を殺そうとする女性がいるってことはさすがに考えたくないな。
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