ち○○で楽しむ異世界生活

文字の大きさ
上 下
86 / 111

86 処女

しおりを挟む
 屋敷に戻って今更ながら問題に気づいた。
 トリスのことだ。
 アルピノの美女を目の前にした瞬間、トリスが欲しくてたまらなくなった。金髪碧眼を抱くことが俺の夢だったのだが、金髪碧眼よりもレアなアルピノの女性と関係を持てるとは夢にも思ってなかった。
 夢以上の夢が目の前にあったので、ついついトリスを二つ返事でもらってしまったのだが・・・
 そもそもこの屋敷で俺に抱かれている女性は、全員が国を傾けられるだけの魅力を持っている。 
 サーシャやリザは男に抱かれることも仕事のうちだったし、アンナに至ってはただの兵器だ。人体や性交についての技術、知識、経験。彼女たちはどれをとっても超一流だ。つまるところ彼女たちは男と寝ることについてまったく躊躇が無い。そういう仕事だからだ。

 しかしトリスはその人間離れした美しさを除けばふつうの女性だ。
 売られるところだったということは、おそらく処女だろう。
 ・・・ふつうの処女ってどう扱ったらいいんだろうか?
 アンナは処女だったが、そもそもアンナはそういう事をするために国を挙げて作られた人間だ。アンナとの経験はまるで参考にならない。
 とりあえず抱いてほぐして、絶頂に導けるかどうかを試してみるしかないのだろうか。
 
 ノックをして仕事部屋の方にトリスが入ってきた。
 「本日のお相手をするように聞いています。よろしくお願いします」
 トリスから緊張感が消えていない。
 「酒の相手をしてほしい。飲めるんだったな?」
 「あまり強くはありませんが多少でしたら」
 会議の疲労感がまだ身体の芯に残っている。こういう気分は強い酒で洗い流したいが、今日はワインだな。少しトリスと話して緊張感を和らげたい。トリスの心理的抵抗を少しずつ減らしていかないと、おそらくトリスは絶頂までは辿り着けない。
 ・・・どれほどの美女であってもイケない女性に興味を持ち続けるのは難しいな。ただただ射精をするだけの存在などたぶん飽きてしまう。逆に言えば、何度も絶頂まで達する女性がその美貌を維持できるとしたら、俺が飽きるということは無い。

 リザがちょっとしたつまみと火を持ってきてくれた。
 リザを帰したあとに手酌でトリスのグラスにワインを継ぎ、俺もグラスに満たして一口飲んだ。白の爽やかな甘口のワインはリザの見事なチョイスだ。トリスも気に入るだろう。
 「美味しいです・・・」
 「うん、良かった」
 トリスはあっという間にグラスを空けた。つまみも食べたそうだったので勧めた。
 このような容姿の女性が、今まで人買いに手をつけられていないまま暮らしていたというのは不思議な気もする。だが人買いの手が伸びたということは、それなりに最近厳しい状況に置かれていたということでもあると思う。過去についてはあまり触れない方がいいな。
 
 「屋敷にはもう慣れてくれたかな?」
 「はい。アンナ様がよくしてくださいます」
 報告は聞いている。機織り、裁縫、刺繍、料理、掃除といった類のものは一通りできるようだ。数字や計算、文字についての理解も速い。遅くとも秋までにはここで働く女性たちと同等の教養を身につけることだろう。
 ・・・なにを話したらいいのか分からないな。なによりトリスは、俺のハーレム要員としては誰よりも若い。
 「俺に聞きたいことはあるかな?」
 「・・・私はどうすればこの屋敷で働き続けられるのでしょうか?」
 ああ・・・自分の身を保証するなにかが欲しいのか。
 「そのうち俺は君を抱く。そして絶頂というものを味わってもらえるかどうか試してもらう」
 「その話はアンナ様から伺っています」
 「ただ・・・問題があってね。女性が絶頂にまで達するというのは十人居れば四人か五人までしか起こらないことだ。相性と運が必要であって、どうにもならない時はどうにもならない」
 ワインを一口飲んで、トリスが目を伏せた。
 「もし私がその・・・絶頂というものを体験できなかったら、私は追い出されるのでしょうか?」
 「その時はアンナの下で働いて、この屋敷を支えてほしい。生活は保障する」
 顔を上げたトリスの目には安堵の光が見えていた。碧眼にあれだけ拘っていたにも拘わらず、灰色の瞳というのもまた魅力的に見えるものなのだな。

 「女性が絶頂まで行くためには、信頼関係と好意が必要になる。俺に心の底から委ねてもらいたい。俺一人では君を絶頂にまで導くことはできない。君が俺に抱かれてもいいか、という気持ちになってもらえなければ難しい。俺はいたずらに君の身体を弄ぶ気は無い。男女の共同作業の結果として、絶頂というものがあると思って欲しい」
 「どういうものなのか想像することも難しいですが・・・そういうものなのですか。私の気持ちの問題ということでしょうか?」
 「うん。そこが一番大きいと思う」
 肉体的な才能から上手くいくパターンもあるが、トリスは気持ちから入った方がいい気がする。男の肉欲のようなものをしっかりと理解していない雰囲気がトリスにはある。

 「アンナ様の話によれば、恐ろしく感じるものだと聞いています。きちんと自制ができないと気が狂ってしまうほどのものなので、一度導かれたら自分というものを律する必要があるのだと」
 稀に精神面が安定しない女性になることがある。アンナも少しそういう気があった。絶頂を味わったあとに崩れると、肉体的な限界を無視して突き進む依存症のような状態になる。
 「ですがその反面、他のものに代えがたい経験でもあると。一度でも味わったら二度と戻れぬ甘美な経験であるとアンナ様は仰っていました」
 脳内麻薬で頭の中がグチャグチャになるのだ。そりゃそうだろうな。
 「不思議なことなんだけれど、終わった直後の女性の顔や姿が一番美しく見える。俺だけではなく、他の男性から見ても次の日の女性の姿は別のものに見えるそうだ」
 表情が柔らかくなるとか女性として求められて自信がつくということもあるんだろうが、男性を惹き付けるフェロモンのようなものが出るのかもしれない。絶頂まで登りつめた女性とそうでない女性とは、それほどに魅力が違う。世の男性も女性も、絶頂を経験できるかどうかで二分されてしまうかもしれないな。
 
 「私にそのような伽が務まるでしょうか・・・」
 「少しずつ俺に抱かれることに慣れてくれればいい」
 俺は人生で初めて処女を抱く。
 本当に抱くだけだ。いきなりちんこは入らないだろうな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

俺がカノジョに寝取られた理由

下城米雪
ライト文芸
その夜、知らない男の上に半裸で跨る幼馴染の姿を見た俺は…… ※完結。予約投稿済。最終話は6月27日公開

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...