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86 処女
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屋敷に戻って今更ながら問題に気づいた。
トリスのことだ。
アルピノの美女を目の前にした瞬間、トリスが欲しくてたまらなくなった。金髪碧眼を抱くことが俺の夢だったのだが、金髪碧眼よりもレアなアルピノの女性と関係を持てるとは夢にも思ってなかった。
夢以上の夢が目の前にあったので、ついついトリスを二つ返事でもらってしまったのだが・・・
そもそもこの屋敷で俺に抱かれている女性は、全員が国を傾けられるだけの魅力を持っている。
サーシャやリザは男に抱かれることも仕事のうちだったし、アンナに至ってはただの兵器だ。人体や性交についての技術、知識、経験。彼女たちはどれをとっても超一流だ。つまるところ彼女たちは男と寝ることについてまったく躊躇が無い。そういう仕事だからだ。
しかしトリスはその人間離れした美しさを除けばふつうの女性だ。
売られるところだったということは、おそらく処女だろう。
・・・ふつうの処女ってどう扱ったらいいんだろうか?
アンナは処女だったが、そもそもアンナはそういう事をするために国を挙げて作られた人間だ。アンナとの経験はまるで参考にならない。
とりあえず抱いてほぐして、絶頂に導けるかどうかを試してみるしかないのだろうか。
ノックをして仕事部屋の方にトリスが入ってきた。
「本日のお相手をするように聞いています。よろしくお願いします」
トリスから緊張感が消えていない。
「酒の相手をしてほしい。飲めるんだったな?」
「あまり強くはありませんが多少でしたら」
会議の疲労感がまだ身体の芯に残っている。こういう気分は強い酒で洗い流したいが、今日はワインだな。少しトリスと話して緊張感を和らげたい。トリスの心理的抵抗を少しずつ減らしていかないと、おそらくトリスは絶頂までは辿り着けない。
・・・どれほどの美女であってもイケない女性に興味を持ち続けるのは難しいな。ただただ射精をするだけの存在などたぶん飽きてしまう。逆に言えば、何度も絶頂まで達する女性がその美貌を維持できるとしたら、俺が飽きるということは無い。
リザがちょっとしたつまみと火を持ってきてくれた。
リザを帰したあとに手酌でトリスのグラスにワインを継ぎ、俺もグラスに満たして一口飲んだ。白の爽やかな甘口のワインはリザの見事なチョイスだ。トリスも気に入るだろう。
「美味しいです・・・」
「うん、良かった」
トリスはあっという間にグラスを空けた。つまみも食べたそうだったので勧めた。
このような容姿の女性が、今まで人買いに手をつけられていないまま暮らしていたというのは不思議な気もする。だが人買いの手が伸びたということは、それなりに最近厳しい状況に置かれていたということでもあると思う。過去についてはあまり触れない方がいいな。
「屋敷にはもう慣れてくれたかな?」
「はい。アンナ様がよくしてくださいます」
報告は聞いている。機織り、裁縫、刺繍、料理、掃除といった類のものは一通りできるようだ。数字や計算、文字についての理解も速い。遅くとも秋までにはここで働く女性たちと同等の教養を身につけることだろう。
・・・なにを話したらいいのか分からないな。なによりトリスは、俺のハーレム要員としては誰よりも若い。
「俺に聞きたいことはあるかな?」
「・・・私はどうすればこの屋敷で働き続けられるのでしょうか?」
ああ・・・自分の身を保証するなにかが欲しいのか。
「そのうち俺は君を抱く。そして絶頂というものを味わってもらえるかどうか試してもらう」
「その話はアンナ様から伺っています」
「ただ・・・問題があってね。女性が絶頂にまで達するというのは十人居れば四人か五人までしか起こらないことだ。相性と運が必要であって、どうにもならない時はどうにもならない」
ワインを一口飲んで、トリスが目を伏せた。
「もし私がその・・・絶頂というものを体験できなかったら、私は追い出されるのでしょうか?」
「その時はアンナの下で働いて、この屋敷を支えてほしい。生活は保障する」
顔を上げたトリスの目には安堵の光が見えていた。碧眼にあれだけ拘っていたにも拘わらず、灰色の瞳というのもまた魅力的に見えるものなのだな。
「女性が絶頂まで行くためには、信頼関係と好意が必要になる。俺に心の底から委ねてもらいたい。俺一人では君を絶頂にまで導くことはできない。君が俺に抱かれてもいいか、という気持ちになってもらえなければ難しい。俺はいたずらに君の身体を弄ぶ気は無い。男女の共同作業の結果として、絶頂というものがあると思って欲しい」
「どういうものなのか想像することも難しいですが・・・そういうものなのですか。私の気持ちの問題ということでしょうか?」
「うん。そこが一番大きいと思う」
肉体的な才能から上手くいくパターンもあるが、トリスは気持ちから入った方がいい気がする。男の肉欲のようなものをしっかりと理解していない雰囲気がトリスにはある。
「アンナ様の話によれば、恐ろしく感じるものだと聞いています。きちんと自制ができないと気が狂ってしまうほどのものなので、一度導かれたら自分というものを律する必要があるのだと」
稀に精神面が安定しない女性になることがある。アンナも少しそういう気があった。絶頂を味わったあとに崩れると、肉体的な限界を無視して突き進む依存症のような状態になる。
「ですがその反面、他のものに代えがたい経験でもあると。一度でも味わったら二度と戻れぬ甘美な経験であるとアンナ様は仰っていました」
脳内麻薬で頭の中がグチャグチャになるのだ。そりゃそうだろうな。
「不思議なことなんだけれど、終わった直後の女性の顔や姿が一番美しく見える。俺だけではなく、他の男性から見ても次の日の女性の姿は別のものに見えるそうだ」
表情が柔らかくなるとか女性として求められて自信がつくということもあるんだろうが、男性を惹き付けるフェロモンのようなものが出るのかもしれない。絶頂まで登りつめた女性とそうでない女性とは、それほどに魅力が違う。世の男性も女性も、絶頂を経験できるかどうかで二分されてしまうかもしれないな。
「私にそのような伽が務まるでしょうか・・・」
「少しずつ俺に抱かれることに慣れてくれればいい」
俺は人生で初めて処女を抱く。
本当に抱くだけだ。いきなりちんこは入らないだろうな。
トリスのことだ。
アルピノの美女を目の前にした瞬間、トリスが欲しくてたまらなくなった。金髪碧眼を抱くことが俺の夢だったのだが、金髪碧眼よりもレアなアルピノの女性と関係を持てるとは夢にも思ってなかった。
夢以上の夢が目の前にあったので、ついついトリスを二つ返事でもらってしまったのだが・・・
そもそもこの屋敷で俺に抱かれている女性は、全員が国を傾けられるだけの魅力を持っている。
サーシャやリザは男に抱かれることも仕事のうちだったし、アンナに至ってはただの兵器だ。人体や性交についての技術、知識、経験。彼女たちはどれをとっても超一流だ。つまるところ彼女たちは男と寝ることについてまったく躊躇が無い。そういう仕事だからだ。
しかしトリスはその人間離れした美しさを除けばふつうの女性だ。
売られるところだったということは、おそらく処女だろう。
・・・ふつうの処女ってどう扱ったらいいんだろうか?
アンナは処女だったが、そもそもアンナはそういう事をするために国を挙げて作られた人間だ。アンナとの経験はまるで参考にならない。
とりあえず抱いてほぐして、絶頂に導けるかどうかを試してみるしかないのだろうか。
ノックをして仕事部屋の方にトリスが入ってきた。
「本日のお相手をするように聞いています。よろしくお願いします」
トリスから緊張感が消えていない。
「酒の相手をしてほしい。飲めるんだったな?」
「あまり強くはありませんが多少でしたら」
会議の疲労感がまだ身体の芯に残っている。こういう気分は強い酒で洗い流したいが、今日はワインだな。少しトリスと話して緊張感を和らげたい。トリスの心理的抵抗を少しずつ減らしていかないと、おそらくトリスは絶頂までは辿り着けない。
・・・どれほどの美女であってもイケない女性に興味を持ち続けるのは難しいな。ただただ射精をするだけの存在などたぶん飽きてしまう。逆に言えば、何度も絶頂まで達する女性がその美貌を維持できるとしたら、俺が飽きるということは無い。
リザがちょっとしたつまみと火を持ってきてくれた。
リザを帰したあとに手酌でトリスのグラスにワインを継ぎ、俺もグラスに満たして一口飲んだ。白の爽やかな甘口のワインはリザの見事なチョイスだ。トリスも気に入るだろう。
「美味しいです・・・」
「うん、良かった」
トリスはあっという間にグラスを空けた。つまみも食べたそうだったので勧めた。
このような容姿の女性が、今まで人買いに手をつけられていないまま暮らしていたというのは不思議な気もする。だが人買いの手が伸びたということは、それなりに最近厳しい状況に置かれていたということでもあると思う。過去についてはあまり触れない方がいいな。
「屋敷にはもう慣れてくれたかな?」
「はい。アンナ様がよくしてくださいます」
報告は聞いている。機織り、裁縫、刺繍、料理、掃除といった類のものは一通りできるようだ。数字や計算、文字についての理解も速い。遅くとも秋までにはここで働く女性たちと同等の教養を身につけることだろう。
・・・なにを話したらいいのか分からないな。なによりトリスは、俺のハーレム要員としては誰よりも若い。
「俺に聞きたいことはあるかな?」
「・・・私はどうすればこの屋敷で働き続けられるのでしょうか?」
ああ・・・自分の身を保証するなにかが欲しいのか。
「そのうち俺は君を抱く。そして絶頂というものを味わってもらえるかどうか試してもらう」
「その話はアンナ様から伺っています」
「ただ・・・問題があってね。女性が絶頂にまで達するというのは十人居れば四人か五人までしか起こらないことだ。相性と運が必要であって、どうにもならない時はどうにもならない」
ワインを一口飲んで、トリスが目を伏せた。
「もし私がその・・・絶頂というものを体験できなかったら、私は追い出されるのでしょうか?」
「その時はアンナの下で働いて、この屋敷を支えてほしい。生活は保障する」
顔を上げたトリスの目には安堵の光が見えていた。碧眼にあれだけ拘っていたにも拘わらず、灰色の瞳というのもまた魅力的に見えるものなのだな。
「女性が絶頂まで行くためには、信頼関係と好意が必要になる。俺に心の底から委ねてもらいたい。俺一人では君を絶頂にまで導くことはできない。君が俺に抱かれてもいいか、という気持ちになってもらえなければ難しい。俺はいたずらに君の身体を弄ぶ気は無い。男女の共同作業の結果として、絶頂というものがあると思って欲しい」
「どういうものなのか想像することも難しいですが・・・そういうものなのですか。私の気持ちの問題ということでしょうか?」
「うん。そこが一番大きいと思う」
肉体的な才能から上手くいくパターンもあるが、トリスは気持ちから入った方がいい気がする。男の肉欲のようなものをしっかりと理解していない雰囲気がトリスにはある。
「アンナ様の話によれば、恐ろしく感じるものだと聞いています。きちんと自制ができないと気が狂ってしまうほどのものなので、一度導かれたら自分というものを律する必要があるのだと」
稀に精神面が安定しない女性になることがある。アンナも少しそういう気があった。絶頂を味わったあとに崩れると、肉体的な限界を無視して突き進む依存症のような状態になる。
「ですがその反面、他のものに代えがたい経験でもあると。一度でも味わったら二度と戻れぬ甘美な経験であるとアンナ様は仰っていました」
脳内麻薬で頭の中がグチャグチャになるのだ。そりゃそうだろうな。
「不思議なことなんだけれど、終わった直後の女性の顔や姿が一番美しく見える。俺だけではなく、他の男性から見ても次の日の女性の姿は別のものに見えるそうだ」
表情が柔らかくなるとか女性として求められて自信がつくということもあるんだろうが、男性を惹き付けるフェロモンのようなものが出るのかもしれない。絶頂まで登りつめた女性とそうでない女性とは、それほどに魅力が違う。世の男性も女性も、絶頂を経験できるかどうかで二分されてしまうかもしれないな。
「私にそのような伽が務まるでしょうか・・・」
「少しずつ俺に抱かれることに慣れてくれればいい」
俺は人生で初めて処女を抱く。
本当に抱くだけだ。いきなりちんこは入らないだろうな。
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