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26 奇石
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首筋から背中まで汗で光っている。そこにまとめられた金髪が揺れる姿が絵になるな。
西洋画で女性の背中を描くものがよくあるが、実際に目の前にすると絵に残したくなる気持ちも分かる。フォルムも質感も、生きている間に見られるもっとも美しいもの、という気がしてくる。さっきまで俺の身体でイキまくっていた美女だと思うと格別そう思うな。
「あの・・・私どうでしたか?」
「うん、気持ち良かったよ。いい乱れっぷりだった」
照れることもなく、リザは楽しそうに微笑んだ。
「こういう快感があると知らなかったなんて、今まで損をして生きていた気分です・・・」
かなりセックスが好きなタイプだな。自分から積極的に男の肉体を求められるなら、敵国の有力者の寝所に入り込んで情報を手に入れるという意味では適材だろう。
「身体にへんなところは無い?痛みとか」
「無いですが・・・疲れて動きたくないです。このまま眠ってしまいたいです」
何度もイキまくっていたのだから、そういう疲労はあるだろう。性欲が満たされると睡眠欲が出てくるというのはこの世界でも同じなんだな。眠って起きたら今度は食事がしたくなるだろう。人間というものはあくまで動物の一種なのだと毎回気づかされる。
リザが髪留めに使っていた石が気になった。
「リザの髪留め、よく似合うね。綺麗だなと思いながら見てた」
「これは母がくれたんです。私の髪によく似合うといって祖母から受け継いだものを私が身に着けています。見てみますか?」
リザが自分の髪留めを外して俺に見せてくれた。
ふわりと広がる女性らしい髪の広がり方もまた魅力的だな。
髪留めをよく見てみると、わずかに透けて見える石の周りに金属で補強兼飾りが入っている。乳白色にも見えるが、角度によっては鮮烈な青にも緑にも見える。宝石・・・とは違うみたいだ。
「これが奇石っていうものか?実際に手に取るのは初めてだ」
「我が家に伝わっている一番綺麗な奇石です。母も肌身離さず大切に使っていました。外してお見せするのはアラヒト様が初めてですよ?」
こういう話を真に受けて有頂天になるような年でも無いので、そうかとだけ答えて髪留めを返した。
「眠いのであれば少しここで寝ておきなさい。俺はやる事があるから行かないといけない」
「・・・次は添い寝していただけませんか?」
「うん。時間があればそれくらいしてあげたんだけれどね」
もう少しじっくりと教導する必要があったんだが、どうにもやる事が多くてなかなか時間が作れない。
「起きたら風呂を用意させるから。おやすみ」
風呂に入って汗を流す。
動けばやっぱり汗は出るし、女性の汗も身体に付く。
うーん。
リザの髪飾りについて考えていた。
奇石を通貨にするのはいい考えだと思っていたんだけれども、もしかして石によって価値が違うのか?宝石だってランクがあるしな。だとすれば奇石と奇石を交換する両替商のような商売のための法律も必要になってくるか。まぁそれもずいぶんと先の話だが、今度カラシフと話す機会があったら相談しないといけないな。
いずれにせよ時間経過で価値が減らない通貨は必要になる。ジャガイモでは時間経過とともに価値が消えてしまう。
それにしてもリザの身体のように、背中側にポイントがあるというのは初めての経験だな。抱き付き騎乗位でポイントを探っているとだいたいの女性のポイントはお腹側にあるので、今回気づけたのはたまたまだ。俺程度ではまだまだセックスについては分からないことだらけなんだろうな。まぁまた新しい発見があるかもしれないし、これからというものが少し楽しくなってきた。
セックスについてまだ知らないことがあって、知ることができる立ち位置に居る、というのは自分で考えている以上に幸福なことだ。おざなりに抱いて射精するだけのセックスなどしたくはない。
ふぅ・・・こうやって風呂に入っている時がいちばん物事を整理できるな。射精はしていないけれども、やる事をやったという動物的満足感で気持ちに余裕ができている。
浴場から上がるとサーシャが身体を拭きに来た。
他の女性でも良さそうなものだが、なぜかこの役割は彼女が譲らない。他にやらなくてはいけないことなど山ほどあるだろうに。
「サーシャはなんで俺の身体を拭く役割を他の侍女には任せないんだ?別に君じゃなくてもいいだろう」
「女として理由があります。アラヒト様にもお教えできません」
表情ひとつ変えないで淡々と身体を拭き、俺を着替えさせる。
「それはこの国に関係のある話なのか?」
「関係ないです。私個人としてやって差し上げたいのです」
女性としての理由か。
「いつか理由を教えてくれるか?」
「ダメです」
ここまで頑なに拒否するのは珍しいな。
まぁ彼女にとって大切なことなのだとしたら、無理に聞くような話でもないか。
「工房の人間が待っています。例の手巻きの弓についての開発が煮詰まっているとのことです」
いかに木工技術が高くても、木製の歯車には無理があったか?
防具だけできても貫通する武器が無いことには戦いにならない。
西洋画で女性の背中を描くものがよくあるが、実際に目の前にすると絵に残したくなる気持ちも分かる。フォルムも質感も、生きている間に見られるもっとも美しいもの、という気がしてくる。さっきまで俺の身体でイキまくっていた美女だと思うと格別そう思うな。
「あの・・・私どうでしたか?」
「うん、気持ち良かったよ。いい乱れっぷりだった」
照れることもなく、リザは楽しそうに微笑んだ。
「こういう快感があると知らなかったなんて、今まで損をして生きていた気分です・・・」
かなりセックスが好きなタイプだな。自分から積極的に男の肉体を求められるなら、敵国の有力者の寝所に入り込んで情報を手に入れるという意味では適材だろう。
「身体にへんなところは無い?痛みとか」
「無いですが・・・疲れて動きたくないです。このまま眠ってしまいたいです」
何度もイキまくっていたのだから、そういう疲労はあるだろう。性欲が満たされると睡眠欲が出てくるというのはこの世界でも同じなんだな。眠って起きたら今度は食事がしたくなるだろう。人間というものはあくまで動物の一種なのだと毎回気づかされる。
リザが髪留めに使っていた石が気になった。
「リザの髪留め、よく似合うね。綺麗だなと思いながら見てた」
「これは母がくれたんです。私の髪によく似合うといって祖母から受け継いだものを私が身に着けています。見てみますか?」
リザが自分の髪留めを外して俺に見せてくれた。
ふわりと広がる女性らしい髪の広がり方もまた魅力的だな。
髪留めをよく見てみると、わずかに透けて見える石の周りに金属で補強兼飾りが入っている。乳白色にも見えるが、角度によっては鮮烈な青にも緑にも見える。宝石・・・とは違うみたいだ。
「これが奇石っていうものか?実際に手に取るのは初めてだ」
「我が家に伝わっている一番綺麗な奇石です。母も肌身離さず大切に使っていました。外してお見せするのはアラヒト様が初めてですよ?」
こういう話を真に受けて有頂天になるような年でも無いので、そうかとだけ答えて髪留めを返した。
「眠いのであれば少しここで寝ておきなさい。俺はやる事があるから行かないといけない」
「・・・次は添い寝していただけませんか?」
「うん。時間があればそれくらいしてあげたんだけれどね」
もう少しじっくりと教導する必要があったんだが、どうにもやる事が多くてなかなか時間が作れない。
「起きたら風呂を用意させるから。おやすみ」
風呂に入って汗を流す。
動けばやっぱり汗は出るし、女性の汗も身体に付く。
うーん。
リザの髪飾りについて考えていた。
奇石を通貨にするのはいい考えだと思っていたんだけれども、もしかして石によって価値が違うのか?宝石だってランクがあるしな。だとすれば奇石と奇石を交換する両替商のような商売のための法律も必要になってくるか。まぁそれもずいぶんと先の話だが、今度カラシフと話す機会があったら相談しないといけないな。
いずれにせよ時間経過で価値が減らない通貨は必要になる。ジャガイモでは時間経過とともに価値が消えてしまう。
それにしてもリザの身体のように、背中側にポイントがあるというのは初めての経験だな。抱き付き騎乗位でポイントを探っているとだいたいの女性のポイントはお腹側にあるので、今回気づけたのはたまたまだ。俺程度ではまだまだセックスについては分からないことだらけなんだろうな。まぁまた新しい発見があるかもしれないし、これからというものが少し楽しくなってきた。
セックスについてまだ知らないことがあって、知ることができる立ち位置に居る、というのは自分で考えている以上に幸福なことだ。おざなりに抱いて射精するだけのセックスなどしたくはない。
ふぅ・・・こうやって風呂に入っている時がいちばん物事を整理できるな。射精はしていないけれども、やる事をやったという動物的満足感で気持ちに余裕ができている。
浴場から上がるとサーシャが身体を拭きに来た。
他の女性でも良さそうなものだが、なぜかこの役割は彼女が譲らない。他にやらなくてはいけないことなど山ほどあるだろうに。
「サーシャはなんで俺の身体を拭く役割を他の侍女には任せないんだ?別に君じゃなくてもいいだろう」
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表情ひとつ変えないで淡々と身体を拭き、俺を着替えさせる。
「それはこの国に関係のある話なのか?」
「関係ないです。私個人としてやって差し上げたいのです」
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「いつか理由を教えてくれるか?」
「ダメです」
ここまで頑なに拒否するのは珍しいな。
まぁ彼女にとって大切なことなのだとしたら、無理に聞くような話でもないか。
「工房の人間が待っています。例の手巻きの弓についての開発が煮詰まっているとのことです」
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