ち○○で楽しむ異世界生活

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12 家具

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 サーシャにベッドで横たわるようにきつく命令して、俺はベッドを出てテーブルの水差しから陶器のグラスに水を注いだ。一杯飲んだあとに汗だくのサーシャにもグラス半分ほど飲むように命じた。   
 ・・・ん?
 このテーブル、妙に立派だな。
 いや。テーブルだけじゃないな。家具はどれもしっかりとした作りで出来ている。
 王宮に備え付けている家具だからしっかりしたものだと思っていたが、そういうレベルのものでは無い。木の板は均等であり、しっかりとまっすぐに切られた木材になっている。俺が居た世界では板というものはまっすぐであるのが常識だと思われていた。しかし実際には板を作る精度は国によってかなり技術的な差というものがある。
 かつて木材の流通に関わっていた時に職人から聞いて、今でもしっかりと憶えている話がある。
 木を加工する時に一番難しいのは、まっすぐに切ることなのだと。
 むしろ湾曲のあるようなものは少しずつ修正ができるために簡単なのだそうだ。

 テーブルを叩いてみる。
 重みのある音だ。これは木材がよく乾燥しているということを意味する。
 わざと木材を乾燥させる知恵と技術があるのか。
 この時間と手間がかかる作業によって、木というものの強さがまるで違ってくる。板の厚さによっては金属で叩きつけても割れない。年月を経ても曲がらない、折れない、壊れない。生木に近い木材を建材や家具に使うとすぐに歪んで使いものにならなくなる。
 木材を輸出しているとは聞いたが、加工のレベルによっては製品を作った方が木材よりも高く売れるかもしれないな。
 木工技術が高いというのは防衛面から考えてもいい話だ。運用しやすくて壊れづらい拠点防衛用の兵器といったものも作れるかもしれない。
 数字も文字も無いのに木工技術だけが高いというのは文明の発展としてかなりいびつなのだが、この国が生き延びるための勝機があるとすればそのいびつさだろう。
 
 サーシャが起き上がってきた。ベッドの上で身体を起こした後に、問題無く立てるかどうかを確認してから起きるように言いつけていたので、もう動いても大丈夫なのだろう。
 「夕食の準備をさせますね」
 「うん。よろしく」
 木があるというだけでわりと多くのことができるかもしれないな。原始的な武器にも燃料にもなる。
 「あの・・・」
 うん?
 サーシャの方から話しかけてくるというのは珍しいな。イキまくっていたからどこか筋肉でも痛めたか?
 「どうしたの?」
 「いえ・・・その・・・優しく抱いていただけるって凄く幸せなことなんですね・・・私は幸せ者です」
 ああ、サーシャの目が潤んだままだな。
 強力な脳内麻薬を気絶するまでドバドバと出されたのだ。恋愛感情と肉体的快感が混在して少し混乱しているのかもしれない。
 いや・・・案外言葉通りなのかな。女性がふつうに売られている世界だ。イカされてもいい程度に好意を持った男と生活ができるというのは、この国の女性にとっては幸福なことなのかもしれない。国賓と使用人という立場の違いはあってもだ。
 「床の技法というものは奥深いものですね・・・身体が浮わついてまだ夢の中にいるみたいです」
 女性がイクことはデトックスという面もある。サーシャの顔つきがテカテカしている。
 セックスに上手も下手も無い世界だ。ましてや奥でイクとなるともはや人外の魔法でも体験したような気持ちになるのかもしれないな。

 「そこまで気持ちがいいものは、諜報に使えると思えるか?」
 サーシャの顔から浮つきが消えた。発想の外にあったのだろう。
 「殿方がどう感じるのかに依ります。女性としては定期的に欲しくなるものですが・・・」
 自分の言葉に顔を赤らめている。聞きようによっては定期的に俺にセックスしてくれとねだっているようなものだものな。
 「前に男性器の大きさを聞いたな。俺と同じ程度の大きさで、女性の方がうまく誘導してやれば同じように快感を得られるはずだ。あとは男性側の心理としては、射精よりも強烈な女性への征服感がある。女性の方が忘れられない経験になるように、男性にとっても忘れられない経験になる。定期的に欲しくなるのは男性側もおなじだ」
 「贈る相手よりも先に、アラヒト様が諜報員に床の技術を伝えるということですか?」
 難色を示しているな。うーん。
 「一般的に贈答品として贈る女性は未経験の若い女性でなくてはいけません。たまに妙齢の女性を好む殿方もいますが、あまり多くはありませんね」
 ダメか。女性で骨抜きにするなど古典中の古典だ。国として対策も練られているだろう。
 「難しいか・・・」
 思いつくことすべてがうまくいかない感じだ。
 「王などは難しいですが、周辺の有力貴族の中に性的な関心が強い人間がいれば送り込めますね。彼らの口から我々の諜報員の味の良さを宣伝してもらえれば、かなり効果的です。王が興味を持てばそういう女性と楽しんでみたいとは思うでしょうから」
 なるほど。攻めどころは他国の有力貴族というわけか。
 「その有力貴族たちの性的嗜好は分かるか?」
 「肉の付き方や身長でこういうものを好む、というのはすべて分かります。嗜好についても一部でしたら分かりますね」
 さすが贈答品としての女性の評価には慣れている。
 「少しでも可能性があるならやってみるか」
 「裁可は必要ですが、何人かそういう諜報員を育てることはできるでしょうね」
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