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LEVEL-2
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すっかりずぶ濡れになってしまった俺達は、それから数分で今晩お世話になる宿屋がある村に着いた。時刻はそろそろ夕飯の時間帯で、辺りがだんだんとオレンジ色に染まって行く。宿屋は丸太で出来たこじんまりしたコテージで、俺達二人と一匹は足早にフロントへと向かった。
「ようこそいらっしゃいませ。三名様ですね」
にこやかな主人にそう迎え入れられ、思わずシヴァと顔を見合わせる。
「いや、二名と一匹だが……」
訝しげにシヴァがそう言うと、主人は笑顔を崩さず、
「いえ。そちら様はヒトですよ」
どうやら黒猫に身を変えてらっしゃるようですが、と事もなげに言い放った。
「え、この子が?」
「はい。ですので宿賃は三名様分頂きますね」
「ちょ、待て。そんなこと言って宿賃をぼったくろうって魂胆じゃないだろうな」
「なんと人聞きの悪い」
俺は少し驚いて胸の中の子猫の顔を覗き込んだ。さっきまでは苦しそうに見えたが、幾分か落ち着いて来たように見える。
「とにかく早くベッドに寝かせてあげたらどうですか。一晩眠れば体力は回復すると思いますが、旅の疲れもあるんでしょう」
主人にそう促され、俺達はキングサイズのベッドが一つだけある部屋に通された。この世界の黒猫は街猫と言うより従魔である場合が多く、この子も黒猫の姿だと言うことは、俺達と同じ旅の途中だと推測出来る。
「それでは、ごゆっくり」
そう言って主人が出て行ってすぐ、
「はあー、疲れたぁ……」
俺はベッドに倒れ込んだ。手頃な宿泊料のわりにスプリングがよく効いていて、倒れ込んだ拍子にポスンとベッドに沈み込む。
お日様のにおいがするシーツに顔を埋め、思わず深呼吸。昨日は突然のスコールに襲われはしたけど、途中まではとてもいい天気だったことを思い出した。
「おい、ポチ」
「ふにゅ(なに)?」
「取りあえずこいつを寝かせてやれ」
はっ、そうだった!!
俺のせい(まだそう思い込んでいるらしい)で瀕死の状態だった黒猫は、幾分か顔色(?)はよくなったもののまだぐったりしている。慌ててベッドの真ん中にゆっくり寝かしてやると、いくらか呼吸が楽になったようだった。
「お」
やがて苦しげな呼吸は治まり、静かな寝息が聞こえて来た。
「さすが。キングサイズともなるとヒーリング効果も違うのかな」
シヴァはそう言うと黒猫をベッドの端に追いやり、俺の隣に擦り寄って来る。
「だーめ、シヴァはあっち」
「なんで!?」
その手を掃って黒猫を真ん中に寝かし直すと、シヴァは渋々ながら黒猫の向こう側に横たわった。
「……ポチ」
「だーめ。俺も疲れてるから」
その夜、いつものように何度も盛ってくるシヴァを俺は黒猫を盾にしてやり過ごしたのだった。
「ようこそいらっしゃいませ。三名様ですね」
にこやかな主人にそう迎え入れられ、思わずシヴァと顔を見合わせる。
「いや、二名と一匹だが……」
訝しげにシヴァがそう言うと、主人は笑顔を崩さず、
「いえ。そちら様はヒトですよ」
どうやら黒猫に身を変えてらっしゃるようですが、と事もなげに言い放った。
「え、この子が?」
「はい。ですので宿賃は三名様分頂きますね」
「ちょ、待て。そんなこと言って宿賃をぼったくろうって魂胆じゃないだろうな」
「なんと人聞きの悪い」
俺は少し驚いて胸の中の子猫の顔を覗き込んだ。さっきまでは苦しそうに見えたが、幾分か落ち着いて来たように見える。
「とにかく早くベッドに寝かせてあげたらどうですか。一晩眠れば体力は回復すると思いますが、旅の疲れもあるんでしょう」
主人にそう促され、俺達はキングサイズのベッドが一つだけある部屋に通された。この世界の黒猫は街猫と言うより従魔である場合が多く、この子も黒猫の姿だと言うことは、俺達と同じ旅の途中だと推測出来る。
「それでは、ごゆっくり」
そう言って主人が出て行ってすぐ、
「はあー、疲れたぁ……」
俺はベッドに倒れ込んだ。手頃な宿泊料のわりにスプリングがよく効いていて、倒れ込んだ拍子にポスンとベッドに沈み込む。
お日様のにおいがするシーツに顔を埋め、思わず深呼吸。昨日は突然のスコールに襲われはしたけど、途中まではとてもいい天気だったことを思い出した。
「おい、ポチ」
「ふにゅ(なに)?」
「取りあえずこいつを寝かせてやれ」
はっ、そうだった!!
俺のせい(まだそう思い込んでいるらしい)で瀕死の状態だった黒猫は、幾分か顔色(?)はよくなったもののまだぐったりしている。慌ててベッドの真ん中にゆっくり寝かしてやると、いくらか呼吸が楽になったようだった。
「お」
やがて苦しげな呼吸は治まり、静かな寝息が聞こえて来た。
「さすが。キングサイズともなるとヒーリング効果も違うのかな」
シヴァはそう言うと黒猫をベッドの端に追いやり、俺の隣に擦り寄って来る。
「だーめ、シヴァはあっち」
「なんで!?」
その手を掃って黒猫を真ん中に寝かし直すと、シヴァは渋々ながら黒猫の向こう側に横たわった。
「……ポチ」
「だーめ。俺も疲れてるから」
その夜、いつものように何度も盛ってくるシヴァを俺は黒猫を盾にしてやり過ごしたのだった。
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