勇者ポチは戦わない

LEVEL-2

05

　レベルアップしてもう三日になるが、シヴァは戦闘の度にレベルアップする勢いなのに、俺はと言えば何度戦闘を重ねてもレベルアップする気配がない。簡単なＲＰＧだと侮あなどっていたけど、このゲームって案外難易度は高いのかも知れない。
　まあ、戦闘の度にシヴァが敵を倒してくれるから、俺は自分の身を守ることに尽力するだけでいいんだけどさ。

「ポチ、後ろ！」
「――っっ」

　あれからも何回かモンスターに襲われたが、気持ち良くはなるもののなんとか射精だけは耐えて来た。レベル１レベルのモンスターだけ戦うことにして、蛇や蝙蝠こうもりは戦闘を回避して逃げ出して。
　だけどいつまでもそんなことでは戦闘レベルもアップしないし、やっぱ特訓は必要かも知れない。そう思い直した時、

「ポチ、そろそろやるぞ」
「えっ、ここで？！」

　シヴァが急に立ち止まり、そんなことを言ってきた。

　辺りは鬱蒼うっそうとした木々に囲まれた森の中で、もう少し歩いたら宿屋や拓ひらけた場所が見えてくるような場所だ。確かにこんな奥地に誰かが通り掛かることはなさそうだけど、万が一にでも誰かに遭遇したら恥ずすぎる。

「ちょ、無理だって！　誰かに見られでもしたら……」
「こんな辺鄙へんぴなとこ誰も来ないって」
「ま、まあ、確かに」

　因みに戦闘中にシヴァが受けている打撃は、モンスターがぶつかってくる衝撃（蝙蝠）や体に巻き付き締め付けてくる圧迫（蛇）だけだ。モンスター達も相手を選ぶのか、シヴァには性的に襲い掛かることはない。

「不公平だ……」
「あん？　なんか言ったか？」
「あ、ううん。なんでもない」

　俺の独り言がシヴァに聞こえてしまったようで、

「ぶっ……ったく。お前の独り言は独り言じゃないからな」

　そんなよく分からないことで笑いながら、いきなり後ろから襲ってきた。

「ちょ、シヴァ！　いきなり……っっ」
「あん？　モンスターどもはいつもいきなり襲って来るだろ」

　確かにそうだけど！

　心底楽しそうに見えるのは気のせいだろうか。ぎゅっと股間を掴まれ、思わず腰が引ける。

「ほら、防御」
「ちょ、待っ……」
「抵抗するか逃げなきゃ犯られるぞ」

　レベル２の最弱勇者が飢えきった狼に敵うわけがないじゃんか。明らかにさっきとは目の色が違うんだけど。なんかギラギラしてて……って、

「今回は特訓だから逃げるのは無しな。まあ、絶対逃がさないけど」

　シヴァ、怖いよ！

「ちょ、待っ」

　そうこうしてるうちに、シヴァは俺の服を脱がしにかかった。