9 / 10
憑かれ男子
09
しおりを挟む
拓海先輩に後ろから貫かれ、俺は枕に顔を埋めてシーツを鷲掴んだ。
「こら、玲。枕に顔を伏せるな。お前の感じてる顔、俺に見せろよ」
「――あっ、ああっ!」
拓海先輩はそう言ってるけど、その顔は玲先輩の顔じゃなく俺の顔だ。だから、
「お前、可愛いな」
そう言われると、まるで自分に言われているように錯覚してしまう。玲先輩に触れる拓海先輩の手には激しさの中にも優しさが溢れていて、そこまで思われている玲先輩が羨ましかった。
思えばこんな風に愛が溢れるセックスをしていてもその愛は俺に向けられたものじゃなくて、俺に憑依した霊に向けられたものだ。こんなにも愛のあるセックスはそうそうないだろうけど、いつか自分も……、そう思わずにはいられない。
「玲っ、出すぞっ」
「あうんっっ!」
拓海先輩はそう言って、抽挿のスピードを上げた。激しい吐精感に目が眩む。
そして――、
「――くうっ!」
「イっちゃうっっ! 拓海っ、拓海ぃっっ!」
二人は同時に射精した。玲先輩は自分の腹の上へ、拓海先輩は先輩の性器に装着したコンドームの中へ。思えばコンドームを使ったそれも初めてで、でもこれが当たり前なんだと思うと感慨深いものがある。
「……加藤君。ありがとう」
「え、おい。玲?」
「加藤君のお陰で誤解も解けたし、拓海に気持ちを伝えられたよ」
(玲先輩……)
「これでもう思い残すことはない」
「ちょ、玲? おま、何言って……!!」
「拓海。大好きだよ」
「――っっ、玲!!」
「……あ」
自分の身体から何かが出て行く感覚がして、次の瞬間には俺は自分の声を取り戻していた。
「……ごめんなさい、拓海先輩。玲先輩、逝っちゃったみたいです」
「なっ、おま……加藤か?」
「はい」
拓海先輩のは、まだ俺の中に挿入されたまま。
「……んっ」
拓海先輩のが抜ける時、思わず甘い声を漏らしてしまった。慌てて口を塞ぎ、取り敢えずシャツを着て居住まいを正す。
「……玲さ。成仏したのか?」
「はい。多分」
「そか」
「はい」
俺の向こうに玲先輩を見ているのか、正面からきつく抱きしめられた。玲先輩が出て行く寸前まで、何度も唾液を交換し合った唇が熱い。
「こら、玲。枕に顔を伏せるな。お前の感じてる顔、俺に見せろよ」
「――あっ、ああっ!」
拓海先輩はそう言ってるけど、その顔は玲先輩の顔じゃなく俺の顔だ。だから、
「お前、可愛いな」
そう言われると、まるで自分に言われているように錯覚してしまう。玲先輩に触れる拓海先輩の手には激しさの中にも優しさが溢れていて、そこまで思われている玲先輩が羨ましかった。
思えばこんな風に愛が溢れるセックスをしていてもその愛は俺に向けられたものじゃなくて、俺に憑依した霊に向けられたものだ。こんなにも愛のあるセックスはそうそうないだろうけど、いつか自分も……、そう思わずにはいられない。
「玲っ、出すぞっ」
「あうんっっ!」
拓海先輩はそう言って、抽挿のスピードを上げた。激しい吐精感に目が眩む。
そして――、
「――くうっ!」
「イっちゃうっっ! 拓海っ、拓海ぃっっ!」
二人は同時に射精した。玲先輩は自分の腹の上へ、拓海先輩は先輩の性器に装着したコンドームの中へ。思えばコンドームを使ったそれも初めてで、でもこれが当たり前なんだと思うと感慨深いものがある。
「……加藤君。ありがとう」
「え、おい。玲?」
「加藤君のお陰で誤解も解けたし、拓海に気持ちを伝えられたよ」
(玲先輩……)
「これでもう思い残すことはない」
「ちょ、玲? おま、何言って……!!」
「拓海。大好きだよ」
「――っっ、玲!!」
「……あ」
自分の身体から何かが出て行く感覚がして、次の瞬間には俺は自分の声を取り戻していた。
「……ごめんなさい、拓海先輩。玲先輩、逝っちゃったみたいです」
「なっ、おま……加藤か?」
「はい」
拓海先輩のは、まだ俺の中に挿入されたまま。
「……んっ」
拓海先輩のが抜ける時、思わず甘い声を漏らしてしまった。慌てて口を塞ぎ、取り敢えずシャツを着て居住まいを正す。
「……玲さ。成仏したのか?」
「はい。多分」
「そか」
「はい」
俺の向こうに玲先輩を見ているのか、正面からきつく抱きしめられた。玲先輩が出て行く寸前まで、何度も唾液を交換し合った唇が熱い。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
【死に文字】42文字の怖い話 【ゆる怖】
灰色猫
ホラー
https://www.alphapolis.co.jp/novel/952325966/414749892
【意味怖】意味が解ると怖い話
↑本編はこちらになります↑
今回は短い怖い話をさらに短くまとめ42文字の怖い話を作ってみました。
本編で続けている意味が解ると怖い話のネタとして
いつも言葉遊びを考えておりますが、せっかく思いついたものを
何もせずに捨ててしまうのももったいないので、備忘録として
形を整えて残していきたいと思います。
カクヨム様
ノベルアップ+様
アルファポリス様
に掲載させていただいております。
小説家になろう様は文字が少なすぎて投稿できませんでした(涙)
転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
変態高校生♂〜俺、親友やめます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
学校中の男子たちから、俺、狙われちゃいます!?
※この小説は『変態村♂〜俺、やられます!〜』の続編です。
いろいろあって、何とか村から脱出できた翔馬。
しかしまだ問題が残っていた。
その問題を解決しようとした結果、学校中の男子たちに身体を狙われてしまう事に。
果たして翔馬は、無事、平穏を取り戻せるのか?
また、恋の行方は如何に。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
第12回BL小説大賞に参加中!
よろしくお願いします🙇♀️
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)
本野汐梨 Honno Siori
ホラー
あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。
全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。
短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。
たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。
俺の兄貴、俺の弟...
日向 ずい
BL
俺の兄貴、俺の弟...
登場人物
兄貴 成瀬 都和 (なるせ とわ)
27歳 身長 184cm 体重 67kg
弟 成瀬 尊 (なるせ たける)
17歳 身長167cm 体重 47kg
久我 子春 (くが こはる)
24歳 女性
都和の同僚で仕事仲間。
音海 恋 (おとみ れん)
18歳 男性
尊の同級生で腐れ縁。
阿澄 璃織 (あずみ りお)
17歳 女性
尊と恋と同じクラスの美女。
上城 志希 (かみじょう しき)
25歳 男性
都和の部下で頼れる友人。
物語内容
一言で言うとBLものです。
恋愛要素と笑い要素が入ったものになる予定ですが、言葉などは私の語彙力が足りないため少し見苦しいところが多々あると思いますが、良ければ読んでいただけるとありがたいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる