幼なじみプレイ

夏目とろ

文字の大きさ
上 下
96 / 138
【第5話】腐男子プレイ

06

しおりを挟む
「確かに可愛いよなあ。壱人の彼女」

 そう言いつつ金髪に近い色の前髪を弄ってるのが水上みずかみで、水上はファッション雑誌の読者モデルをやっている。少しチャラチャラして見える今風のイケメンで、壱人と同じぐらい女子にモテる男だ。

「そうそう。普通っぽいところがまた……」

 そう言う村上むらかみはどちらかと言えば女顔の美形で、イケメンというよりは美人という言葉が似合う。村上はバンドをやっているらしく、一部の女子にカリスマ的な人気があるミステリアスな男だ。
 少し長めの黒髪を無造作に流し、黒縁眼鏡を掛けている。その眼鏡は伊達眼鏡で、変装の意味もあるみたいだけどその意味を成してはいない。

 水上と村上は壱人のクラスメートで、俺と付き合うようになってから壱人とつるむようになったやつらだ。イケメンのところにはどうやらイケメンが集まるようで、新見、水上、村上と言えば、南校の(モテる男の)トップ3と言われている。

 それにしてもこの状況はなんなんだと心の中で苦笑い、思わず踵を返しそうになった。美男美女に囲まれるフツメンとか。なんともやり切れなくなるんですけど。

 そんなことをうだうだ考えていたら、

「あー、えっと。米倉だっけ」
「は、はいっ!」

 いきなり話をこちらに振られて、思わず小学生のような良いお返事をしてしまった。


「…………」

 瞬間、まるで時間が止まってしまったような気がした。

 うわー、やっちゃったよ。二人とも同じクラスになったことないし、いきなりイケメンに話し掛けられたから緊張したっつーかなんつーか。

 余裕の結木さんはなんかクスクス笑ってるし、壱人は何故か俺の腕を引いて自分の背中に隠そうとする。

「……ぶっ。なんだよ。面白いやつ」

 どうやら笑い上戸らしい水上はケタケタ笑って、

「壱人の幼なじみだっけ。話すのは初めてだな。よろしく」

 右手をこちらに差し出して来た。


 そんななんとも落ち着かない状況はバスが来るまで続き、

「じゃあな」
「また明日ね」

 三人を乗せたバスを見送り、思わず大きな溜め息を一つ。何故だかずっと不機嫌だった壱人も大きな溜め息を一つつくと、突然俺の額にデコピンして来た。

「なにすんだよ!」
「俺以外の男に笑い掛けるなっつの」
「はあ?!、わけ分かんね……」

 それからどさくさに紛れてそこにキスして来ようとするから、思わずそのまま頭突きで返したのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鬼ごっこ

ハタセ
BL
年下からのイジメにより精神が摩耗していく年上平凡受けと そんな平凡を歪んだ愛情で追いかける年下攻めのお話です。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

学園の天使は今日も嘘を吐く

まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」 家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。

片桐くんはただの幼馴染

ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。 藤白侑希 バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。 右成夕陽 バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。 片桐秀司 バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。 佐伯浩平 こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

僕とネコと君

槇瀬光琉
BL
薗畑知宙は幼少期から親の仕事の関係で、転校ばかり繰り返していた。同じ場所に長く居座ることがないため、心から親友と呼べる人がいなかった。高校2年の春、新しい場所に引っ越してきた知宙は今まで通り、少し浮いた存在で、クラスメイトともあまり話すことがなかった。そんなある日、知宙は雨の中で泣く子猫を見つけ、子猫の前で傘もささずにうずくまっていたら、同じクラスの不良に声をかけられた。 子猫が紡いだ1本の縁。今ゆっくりと2人の運命が動き出す。

処理中です...