リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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58_7つの大罪について

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「7つの大罪について説明するぞ。てめぇのせいで話が脱線したからな」

俺のせいじゃないが、ここで我慢するにが大人だ。俺は大人だ。

「めんどくさいから一回で覚えろよ。傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、色欲、強欲、暴食を7つの大罪という。7つの大罪それぞれには悪魔が関係している。傲慢にはルシファー、嫉妬にはレヴィアタン、憤怒にはサタン、怠惰にはベルフェゴール、色欲にはアスモデウス、強欲にはマモン、暴食にはベルゼブブ」

…覚えられない。
多いよ。7人もいるなんて聞いてない。でも、それを言ったら確実に怒られる。

「あいつらはこの7つの大罪になぞらえて集められた罪人だ。暗部として名前を捨て、偽りに名でこの世に存在している。噂じゃ悪魔持ちらしいぜ」

暗部…国の裏の仕事や機密に関わる仕事を人知れずこなす者。悪魔持ちとは悪魔に魅入られ、契約したものの事だ。闇落ちとは違う。闇落ちは悪魔と取引をして悪魔の力を使う。悪魔持ちは言うなれば悪魔に一方的に契約させられた人間。悪魔に取り憑かれた状態のことだ。というか罪人ってめちゃくちゃ危険な奴らなんじゃ。一層関わりたくなくなった。というか関わっちゃいけない。絶対に危険。イケメンだしな!


「予言とかいう馬鹿げたものが出たからな。ここには貴族も多いし、護衛と調査ってところだろう」

「トワイライト…」

トワイライト…その名前を聞くたびに心臓を鷲掴みにされている気分になる。

「…まぁ、お前が変なことしなきゃ向こうは何もしないだろうよ」

「もうすでにされてるんですけど…」

なんでそんな奴が俺に構うんだ。仕事しろよ仕事。暇なのかよ。

「いざとなったらまたここに来い。流石に転移先にまで押しかけては来ないだろう」

「ありがとうございます。あの…もう少しいても良いですか?

「好きにしろ」

「好きにします…」

俺はかい…レンのそばにいるのが安心だと判断した。ヒルエにも相談しよう。絶対関わらない。

——————

バカが早速、7つの大罪に懐かれた。トラブルメーカーはやっぱりトラブルメーカーだ。こっちの身にもなってほしい。

「はぁ…」

コンビニからの帰り。ついため息が出てしまう。もう少しで部屋につくというのに憂鬱だ。部屋には呑気な顔で寝ているリトルがいるんだろう。

「チッ」

部屋の前が見えてきた。俺は部屋の前に群がっている蛾に舌打ちが出た。

「人の部屋の前で何してやがる」

俺が声をかけるとそいつらは俺の方へ向く。

「やぁ、ヒルエ君。こんばんわ」

「ヒルエちゃん、リトちゃんが居ないようなのよ。どこ行ったか知らないかしら?」

あいつ、うまいこと逃げたな。そういう運だけは持ってんだよな。

「失せろ。リトルに関わるんじゃねぇよ」

「男の嫉妬は見苦しいぜ」

「嫉妬?そんな生易しいもんじゃねぇよ。強いて言うなら嫌悪だ。俺はお前たちがリトルを傷つけることを許さない」

「はっ。随分と過保護じゃねぇか」

「まぁ、リトルさん可愛いですし」

いちいちうざいな。7人も相手にすると疲れる。

「過保護?お前たち7つの大罪に絡まれたら誰でも心配するさ。普通だろ?」

「お前!」

憤怒が俺に襲いかかろうとする。

スッ

それを横から手を出し、傲慢が止めた。

「君はどこまで知っているんですか?」

「ほぼ全部かな」

「どこでその情報を知った!」

「傲慢、お前たちに俺が教えると思っているのか?愚問だ」

「いちいち言ってくれるね」

怪訝そうな顔をして嫉妬は言った。

「お前何者?」

怠惰が怠そうな様子で訊ねる。

「俺はリトルの…。チッ、お前らとにかく帰れ。邪魔だ」

「今日はそうさせてもらおうかしら。でも、私たちは諦めないわよ。ララに誓ってね」

そいつらは軽く微笑むと去って行った。

「ララに誓って、ね…馬鹿らしい」

不快な気分だ。
    
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