リトル君の魔法学園生活

鬼灯

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いつも通りの朝を迎える。
昨日の事が嘘のようだ。
ッと言ってもベットから起き上がることはできない。
できるわけない、眠たい。

「おい、起きろ」

「ヒルエ…」

ヒルエはいつ部屋に入ってきたんだ。
忍者なのか。

「今日からお前を置いていくことができないんだよ。起きろ、大罪が迎えに来るぞ。その前に行きたいんだ」

「わかっだ~」

背伸びをしながら言ったが体は寝転んだままだ。
まだ眠たい。

「起きなきゃ犯しても良いってことだよな」


ドサッと覆い被さるヒルエ。
のそのそとゆっくりしている俺を見て、ヒルエは腹が立ったようだ。

「ごめんなさい、起きます」


俺は急いで起きあがる。
ヒルエさんをこれ以上怒らせる訳にはいかない。
俺は急いで朝の準備を行った。

15分で準備をやりきった俺はすごい。
そして二人分の朝食を作って、
食べてるのもすごい。
トースト焼いただけだけど。





ピンポーン




「ギルだと良いがな」

ヒルエは出る気がない様子だ。
まぁ、知っているけど。

俺は足早に玄関へ行く。
扉を開けると、ギルとイ…なんだったかな…。


「おはよう、リトル。ちゃんと準備してるんだな」

「おはよう、ギル。ヒルエが起こしてくれて。えっと…」

「おはよう、リトル君。今日は俺が護衛につくからよろしくね」

「ありがとうございます、イン…」

「インウィディアだよ。呼びにくかったらインディアで良いよ。あと敬語もいらないし呼び捨てで良いから」

インディアなら呼びやすい。そう呼ばせてもらおう。

「ちっ、今日は嫉妬か…」

後ろからヒルエが出てきた。鞄も持って。

「その呼び方は辞めて欲しいんだけど」

「ヒルエ、あんまり喧嘩するなよ…」

「ふん、ギルは優しいな」

「もう、怖い!まとめて遅刻したくないから行くぞ!」

俺はギルの背中を押す。ヒルエは俺の鞄を俺に投げて寄越す。流石、ヒルエ分かってる。

「妬けるねぇ…」

「妬くって言うのは聞き捨てならない…」

「君は闇属性だろ。良いの?リトル君の側にいて」

「おい、ギルは友達だ、」

インディアの言葉に俺は言い返す。それをギルは微笑んで止めた。こんな感じの事が毎朝起こるのか…

「俺が側にいれば変な奴も近づいてこないだろ」

「なるほど、策士だ。じゃあ、リトル君行こうか」

ギルとヒルエは俺の両側に立つ。その様子を見て、インディアは楽しそうに笑った。








#####











「リトル!!」

教室について一番に駆け寄ってきてくれたのはセルトだった。

「セルト、おはよう」

「リトル、会いたかったよ!怪我が治って良かった」

そういえば、ずっとミーナ先生のところに居たから5日程会ってない。

「心配かけてごめん…」

「違うよ、リトル…僕こそ守れなくてごめん」

セルトは落ち込んでいる様子だった。そんな落ち込む必要ないのに。

「こいつが悪いんだ、気にするなセルト」

「ヒルエだって…いや、次は必ず守るから」

グッと胸の前でガッツポーズをするセルトは頼もしい。

「俺も微力だが協力させてもらう」

ギルは俺の頭にポンッと手を置いた。いや、皆さんかっこ良すぎですよ、イケメン度が上がってるよ。

「僕も頑張るからね」

インディアはなぜか教室までついてきている。セルトはインディアの姿に気づいてなかったのか、怪訝そうな顔をした。

「どうして、ここに居るの?」

「リトル君の護衛をすることになったんだよ」

「リトル、どういうこと?」

「いや…ヒルエさん」

目が怖いんだ、セルトの。こういう時は説明するのが上手いヒルエが良い。

「王の決定だ、ギルも納得してる。我慢しろ」

「リトル!?僕達の側から離れないでね?」

「わ、分かった」

圧が凄い。どっちにしろ単独行動禁止だから側からは離れられないんだけど…


ガラッ


扉を開けてコウヤ先生が入ってきた。


「お前ら席に着けー。ギルはそこの席、お前はそこの席な」

「え!?」

ギルとインディアはクラスが違うはずだ。どうして、このクラスに席が用意されてるんだ…。

「今日からクラスの人数調整と各クラスの力を均等にするためにちょっとメンバーが変わるぞ。このクラスはギルが入った。この前新しく入った転校生はこのクラスだが家庭の事情で一人ずつ交代して登校するらしい。今日はそいつが来てる。詳しくは知らん。だから俺には聞くなよ」

スッゴい強引。それで納得するのか、できるのか!?

「先生が言うなら、分かりましたぁ、その代わり今度デートして」

「しねぇよ」

黄色い声が飛んでらっしゃる。流石、顔が良いのは得だな。ムカついてきたぞ。イケメンめ。

「んじゃ、大事な話するぞ。1週間後、合宿あるから」

「今言うんだ…」

つい突っ込んでしまった。え、遅くない?そう言うのってずいぶん前から決まってるもんじゃ…。

「言うの忘れてた。1限目は時間やるから、合宿のグループ決めろ。ああ、ギルとリトルは同じグループな。戦闘訓練あるから、パワーバランス的に。後は5人組で好きに決めろ。決まったら紙に書いて提出してくれ」

コウヤ先生はそう言って椅子に座る。マジで放置だ。

俺はギルの席に行く。もちろん、ヒルエを連れて。

「俺達、同じグループでラッキーだな!」

「俺とで申し訳ない」

「何を言ってるんだよ、頼りにしてるって、ね、ヒルエ?」

「ああ、リトルよりよっぽど頼りになる。それより、俺は強制的にお前と同じグループか」

「当たり前じゃないか、平凡による癒しは必要だ。あと二人…」

セルトと組みたいが、親衛隊に囲まれている。まぁ、そうだよなぁ。インディアって人も囲まれてるな。イケメンは大変だ。

「ごめんね、俺、リトルと組むってずっと前に約束したんだ」

「そうなんですか…またあの平凡と」

キッと睨まれる。嘘だよ、そんな話した覚えない。セルトの親衛隊は温厚だが、怖いものは怖い。セルトは俺のところまで来る。

「リトルが他の人と組むかと思ったよ」

「そんな訳ないじゃん」

若干、諦めていたけれど、組みたいとは思ってたよ、もちろん。

「僕もリトル君と組むからね」

「どっから出てきた!?」

え、さっきまで囲まれてたよね、て言うか嫌だよ。よく知らないイケメンと組むなんて。

「他の生徒が組みたがってるよ」

「セルト君だったかな。しょうがないよね、任務だから」

「ちっ、うぜえ」

「じゃあ、決定だね」

強引に話をまとめたな。凄いな。そのコミ力はどこから来るんだ。インディアは紙に書いて先生に提出に行っている。

「リトル、あの人と二人っきりになるなよ。切実に…!」

ギルは俺に真剣な目を向ける。

「大丈夫、気を付ける」

「本当に頼むぞ、その、リトルは巻き込まれやすいから」

うん、重々承知してる。
自分の不幸は分かってる。
痛い目にさんざん今まで合ってるから。

「嫉妬には本当に気を付けろ。お前に共鳴する可能性がある」

ヒルエが俺の頭を叩きながら言った。地味に痛いんだが、八つ当たりですか。でも、ヒルエが言った言葉が気になったため、痛みには言及しないことにした。

「共鳴…?」

「トラブルメーカーってことだよ。めんどくさい体質しやがって」

「えー、分かんないんだけど、セルト、ギル」

「リトルはとにかく僕達と一緒に居ることだけ意識してればいいんだよ」

「うーん…」

理解ができず、俺はうなだれる。

「リトルは合宿を楽しめば良い。俺達も気を付けるから」

ギルは優しく言ってくれた。気になることはあるがこれ以上は聞いても教えてはくれないだろう。諦めよう。

「俺の事で心配かけて申し訳ないけど、俺はみんなで楽しみたいな!」

俺がそう言うと、ギルとセルトは笑ってくれた。

「もちろん、リトルと一緒のグループで楽しみだよ」

心配ばかりしてもしょうがないし、俺はこのメンバーで楽しもう。どうせ考えたって俺には分からない。俺達は合宿の話をしながら、他のグループが決まるのを待った。


インディアは提出して帰ってきた後にトイレに向かった。









「妬けるねぇ…狂ってしまいそう…」






その呟きは俺達には聞こえない。



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