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07_ギルside
しおりを挟む屋上で大勢の知らない奴に殴られて、
もう死ぬのだろうと覚悟を決めていた俺を助けてくれたのはこいつだと思った。
なんの根拠もない。ただ、あの時感じた魔力の暖かさがこいつだと思った。
教室が同じだから顔は知っていた。
だから、嫌がられると思ったが声をかけた。するとあいつは顔をしかめた。思ったとうりの反応だと思った…だが、あいつは俺が闇属性だから顔をしかめたわけじゃなかった。俺は自分の顔が良いとは思わないが、こいつは俺をイケメンだと言った。イケメンが嫌いなのだろうか?
俺は話があるといった。すると、こいつは俺を部屋に入れた。闇属性の俺を。だから、俺は思わず聞いてしまった。その答えは俺の想像をはるかに超えていた。
良い人。
なんの属性だろうがしょうがない。
悪魔がかっこいい。
嬉しかった。今まで、そんなこと言われたこともない。
気持ち悪いと、
近づかないでと、
悪魔だと、
闇属性っていうだけで、俺は世界に嫌われた。
俺は気づいたら笑っていた。笑わないで気持ち悪いと言われたあの日から笑うことを避けていたのに。俺はしまったと思った。けれど、あいつは受け入れてくれた。優しい人だ。こんな気持ちは初めてだ。
だから、闇属性からのお礼は気持ち悪いと思われるかもしれない…そう思ったが、お礼が言いたかった。
お礼を言うと当たり前だと言われた。そうか、アレは当たり前で、俺は当たり前のことをしてもらったのか…
俺は嬉しかった。それと同時に悲しくなった。俺はこの優しさを知らない方が良かったかもしれない…。きっと今まで辛かったことがより辛くなってしまう…。
そんな不安が伝わったのか、あいつは俺を抱きしめてあたたかいと言ってくれた。
あたたかい…あたたかい…。
知らなかった温もり。
俺が欲しかった温もり。
心が満たされていくようだ…。
こいつに抱きしめられていると安心する。俺は生きてていんだと思えた。
ありがとう…
今日、いろんな初めてを知って俺は救われた。
俺を救ってくれたお前の名は確か…
リトセクトル。
リトルだ。
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