生徒会補佐様は平凡を望む

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南条家との出会い編

研ぎ澄まされる五感

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──────…
───…

「では、いいですね。南くん、無理だと思ったら手を上げてください。そこで講義は終了とします。もちろん、私が無理そうだと判断した時点でも同じですよ」

「はい」

義父さんが見守る中、セツさんが指南をしてくれることになった。少し離れた場所から義父さんが見守る…

『───では、南くん。始めますよ?』

「はい、よろしくお願いします」

緊張した面持ちでそう口にすると、セツさんに苦笑される。


「プフッ!…南くん、緊張し過ぎですよ。
大丈夫。先ずは君の力がどの程度か測らせてもらうので。指南と言っても君の実力を見てから考えますので、

そうですね…。先ずは全力で掛かってきてみてください」

「え、っと…」

実力がどの程度も何も俺は初めてだと思うんだけど…。思わず困惑した表情を浮かべる。


「私が今取っている構えが主に基本となる形になりますが、人それぞれやりやすい構えが違います。
そうですね、先ずは目を閉じて」

よくわからなくて戸惑っていると、セツさんは目を閉じるように続けて言葉を重ねた。

セツさんに言われたとおりに目を瞑る──。

「目を瞑ることで視界が閉ざされ、五感はより一層研ぎ澄まされます。視界から得ていた情報は視界から得ることが出来なくなることで、聴覚は些細な物音から情報を得ようと感覚が研ぎ澄まされます」

目を閉じると、何も見えない真っ暗で。その視界から得られない情報量を埋めるために他の五感が鋭くなるのを感じた。

「今の貴方はそこから入ったほうが五感の感覚がわかりやすいと思ってそう教えているだけであって、あとは自分が感じ取りやすいようにすればいいですよ。…あとは、その自分が感じた五感を頼りに感覚を研ぎ澄ませばいいんです。…さ、もう一度それで私に全力で掛かって来てみてください」

セツさんに言われるがまま、視界を閉じたまま、五感の神経を研ぎ澄ます。

そして、片方の手を前にもう片方は少し斜めに構えを取る。セツさんの構えを思い出して本能のままに足を踏み出した───。



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