ザ・兄貴っ！

転校生は友達気取り！

昼休みの鐘が鳴る。――と同時にｶﾞﾀｶﾞﾀと席を立ち食堂へ向かう者もいれば教室で食べる者もいた。かくいう山田は‥ 夢の中。



しかし、そんな山田の睡眠を‥


ゆさゆさっ！



「おい！起きろよ！！」


全てにおいてトラブルメーカーの王道転校生が放っておくはずもなく、


「ちょっと！いい加減起きなよ!?紫苑が起こしてるんだから！」


黒い笑みを浮かべる秋。そんな彼に些か引き攣りながらも学も山田を起こしにかかる…



（…………？）


夢の世界から現実に引き戻された山田は寝ぼけ眼で見上げると、井ノ原は何やら怒った顔で‥



「奈桜っ！俺が起こしてやってんだからさっさと起きろよ！！昼飯の時間が短くなるだろ！」


ぐいっと山田の腕を引っ張る井ノ原は山田の意思を無視し、山田を連れて四人で食堂へ向かう。しかし、山田の腕には井ノ原がなぜか腕を組んでいて後ろを歩く学と秋の嫉妬の視線が酷かったのは言うまでもない。

山田の腕に引っ付いたまま、井ノ原は一人で喋っているが‥ 山田は聞いているのかないのか無言。時おり頷く感じをずっと繰り返している。