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- アルファード王国と黒い獅子 -
『イシュメルの訪問』
しおりを挟むハッとして我に返るとそこにはもうアラルドはいなくて、
「な、な、な゙…ッ!?」
動揺のあまり、珍しく自分が狼狽えているのがわかりました。
「いえ!コホンッ!!そ、そうです。あれはそう… 大きな大きな獅子に噛み付かれそうになった、とそういうことですね!ふぅ…」
ようやく、落ち着きを取り戻し始めたそのとき、
『………少し、いいか?』
ノックが聞こえ、扉のほうを向くとそこにはひょいと顔を出した二番目の兄設定のインキュバスのインクブス… 確か、イシュメルでしたっけ?
「君とは長い付き合いになるだろうから軽く挨拶をしておこうと思ってね。それから、ビュートのことだが。あれは昔からあのお方を… ああ、今は父上か。あの方に酷く心酔するあまり、少々性格に難アリだが、根っからの悪いヤツじゃない。あまり気を悪くしないでやってくれ」
「は、はぁ」
何だかもういろいろ面倒くさくなって、少し投げやりに胡乱げに適当に返事を返したところ、ぶふっ!と笑われる…
「……なんですか、」
適当に返事を返した私も悪いですが、何も笑わなくてもと肩を竦め溜め息をつくと彼はただ一言、悪いと言ってまた笑う
「君は… 面白いな」
………今までの会話でどこに面白い要素が?心底、不思議でひたすら首を傾げる
「それで、それだけならもうお引き取りお願いしたいんですが。…まだ、なにか用があるんですか」
挨拶は済んだはずなのに、一向に部屋から立ち去ろうとしないイシュメルに… 知らず識らず溜め息が漏れる。
「ああ、実は挨拶はそこそこに、君が明日から入る学園のことで少し話をしておこうと思ってね、」
そして、思考が停止した
「私は君の担任ではないが、君の二学年上のクラスの教師なものでね、君も軽く説明を聞きたいだろうかと思って来たのだが…」
違ったかな?と声をかけてくるイシュメルに自分の表情が引き攣るのがわかった。
・・・は?
「は、え?学園!?ちょっと、待ってください。なんの話ですか!?」
簡単な挨拶が済むなり唐突に告げられる ” 学園 ” という言葉に思考がついていけない。
……が、
「ん?あの人から聞いてないのか?」
きょとんとした表情で、ふむ、と頷くイシュメルは困ったように肩を竦めた
「……まったく、あの人は困ったお方だ。君の部屋に様子を見てくるついでに、てっきりもう話しているかと思ったが、しかたない…」
そう言うと溜め息を吐いた。
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