副会長様は平凡を望む

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…彼は私に喧嘩を売ってるのでしょうか?

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「…はじめまして、南(ミナミ)です。」


新しい学園に新しいクラス… 特に仲良くしたいとも思わないので挨拶は短めに終わらせました。

「………あのなぁ南、俺がわざわざHRを割いてお前の自己紹介の場を設けてやったんだ。もう少しまともな自己紹介しろよ」


私に呆れた目を向けてくるのは金髪をワックスで盛った見るからにホスト… 否、担任の古賀先生。



古賀先生は見た目通りの美形でクラスの人気者です。そして、人気者と言えば… 必ずといっていいほど出来る親衛隊。このクラスにも古賀先生の親衛隊の子が何人かいるみたいですね。

古賀先生に呆れた言葉をかけられた私がなぜか数名の生徒に睨まれました。ほんとにいい迷惑です。


親衛隊というのは単独だと、小動物みたいで可愛らしいのですが群れると暴走して何をするかわからないから困ったものです。えぇ本当に。

しかし、私の顔が平凡だからでしょう。罵倒までは飛んできません。

「…しっかし、南ってほんっと極々、平凡な顔してるよなぁ」


・・・・・このホストは私に喧嘩売ってるのでしょうか。

「………」


ハッ!!!私としたことが!危ない危ない。無意識に握りしめていた拳を慌てて押さえました。いけませんね…。こうも気が短くなっていたとは‥ この私も前の学園に毒されていた、ということでしょうか…。

しかし、何か物足りない。


そういえば、前の学園ではHRさえ、不良たちの喧嘩なんかでよく潰れていましたね。…なんと言いますか、此処は平和すぎて落ち着きません。

とは言っても、これが学園では普通らしいですので、前の学園が異常だったのでしょう。


何が一番ショックかと聞かれると、私自身、知らず知らずして毒されていたことが何よりもショックです。

「……学園が平和って素晴らしいことですね」


しみじみと思ったことを口にしていたみたいです。

古賀先生がきょとん‥ とした目を向けてきます。一体、なんでしょうか。


「………なんですか古賀先生」

「いや、お前… いや、いい。何でもねぇよ」


意味がわかりません。

「お前の席はあそこだ」 

ふぃっと目を反らし、ほら座れと顎でしゃくるこのホストは本当に何なんでしょう。

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