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- 陰の王国と廻りだす歯車 -

『隠された事実と深まる謎』

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「それらの一件で、ジキルドの名は悪いイメージで浸透してな、本人も知っていて否定も何もしないものだから、城に仕える者たちを筆頭に民たちの間でも広まってな、それが『冷酷王』の言われになったわけだ」

「………」

冷酷王、の誕生は… その悲惨な過去にあった。

  その事実が衝撃的で。

あのとき、兄上が僕を膝の上に抱き上げたときに向けられた笑みは紛れも無い慈しみの愛を感じました。

  けれど、

その反面、瞳の奥には冷たさを含んだ酷薄な光がほんの一瞬垣間見えたような気がして、ゲームの中の兄上を思い出した僕は怖くなって震えてしまった。


「その一件でアイツは感情を欠落した。まだ幼過ぎた故に、心に負った傷が大きなものだったのもその要因の一つに違いないと考えた国王夫妻は… 

自分の身を削ってこの国の守護精霊に懺悔と祈りを捧げた。この国は一度、守護精霊に見放された地。普通に祈るだけではこの祈りと懺悔は届かないと考えた二人は、己の寿命を半分削ってその削った命を糧に魔法陣に呼び出すことに成功した」

「この国の守護精霊…?」

その僕の疑問にジークは表情を一瞬、曇らせた。

「元々、この国には精霊がいたんだ。そして、この王国を守る守護精霊の加護の元… 人々が精霊と共存していたのはもう遥か昔の話。欲に溺れ裏切った当時の王族はこの王国を守っていたこの国の守護精霊の怒りを買い、この国は精霊から見放されたんだ」

似たような話を聞いたことがあります。確か、僕が聞いたのはバクが…

考えに耽っていると、ジークがまた語り出したので僕は一度頭を振って、続きの話に聞き入った。

「本来の寿命を削り、命の半分を捧げた二人の真意を汲み取り、この国の守護精霊はジキルドの感情と本来の人格を修正し直すために、少しだけ偽りの記憶を入れてジキルドの記憶を書き換えたんだ」

・・・え?

記憶を、書き換えた…?それって…。いつしかバクの言っていた言葉が甦る。確か、記憶を操作するのが得意だと前に言っていた気がして。

唇が微かに震えるのを感じた。

「まあ、記憶を書き換えるのは… 力の強い精霊なら眷属問わず簡単に出来るが。だが、そうだな… 力の相性で言えば闇の精霊が一番得意とするかもしれない」

ーーまるで、僕の考えていることがわかっているかのように僕の知りたかった答えを口にするジークに僕は驚いて目を瞬いた。
    
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