29 / 117
- 陰の王国と廻りだす歯車 -
ーージキルドside
しおりを挟む
一一ジキルドside
「誰だ!?そこにいるのは!!」
ハッとして振り返る。けれど、そこには誰もいない。
ジークも私の声に、腰に掲げていた剣の柄に手をかけ臨時戦闘体制に入る…
本棚の辺りに何かの気配が確かにした。…だが、本棚の幅は大人一人死角に入るか入らないかの幅だ。
現に、私の視線に頷いたジークが確認するも、当然ながらそこには誰もいない。
『陛下… 』
友の畏まる物言いに微かに眉を寄せる。
「今は誰もいない」
私がそう口にすると、言いたいことが伝わったのか、ジークは溜め息混じりに口を開いた。
『ハァ、…で?ジキルド。本当に此処に何かいたのか?』
戦闘体制に入った俺が言うのもあれだが、大人一人隠れるのでもギリギリだぞ?と剣の柄から手を離し、くだけた話し方になる… 腕を組む従者であり、信頼の置ける古き友に頷く。
「ああ、確かに何かの気配がした」
『言いたくはないが、こんなところ… 大人でもキツイぞ?それこそ、子供でも… やっとの幅だと思うが』
こんな狭い場所、人間が隠れられるとは思えないが… と口にするジークに深妙に頷いた。
「人間ならざる者か…」
『魔法を扱える者という意味か?… それとも、魔族?』
どちらにしても、厄介だというジークに私は首を横に振る。
「…あるいは、精霊か」
精霊、その単語にジークが眉をしかめる
『精霊だと?…そんなまさか。他国ならまだしも、この国に精霊はいないはず』
ジークがそう言うのも無理はない。この国に精霊は存在するはずがないのだからーー。
「そう、この国に精霊はいない。…正確に言えば、滅びた、が正しいか」
この国の精霊が滅びた理由、それは… この国の歴史が大いに関係していることはほとんどの者が知らない。知る者も、ごく僅か。それも一握りの者だけだった。
昔、この国で闇堕ちした魔女や魔法使い達が契約した精霊を使って反乱を起こした。それがキッカケで王家はある過ちというべきか、大々的な狩りを始めた。自然と共存するべきはずの陰の一族の血を引く我が王家はその昔、大罪を犯したーー。
もちろん、精霊に人間が敵うわけがない。契約といえど、悪いのは一部の魔法使いや魔女だった。だが、王家は危険分子と見なして全てーー 処刑した。契約者を失くしては当然、精霊は本来いるべき場所へ帰る。だが、その当時の王家は… 精霊を捕まえ、悪用しようとした。
結果として、精霊たちの怒りを買い、この国に呪いをもたらした。だが、それもまた闇堕ちした魔女たちの思惑通りの結果だった。そう、彼らによって必然的に嵌められたのだ。王家は。
そして、この国が受けた呪い。
それは…
この地の精霊の加護を失ったこと。
――‥ もう一つは、
王家の血を絶えさせることだった。そしてその呪いは徐々に王家を蝕み… 一度、この国の王族は滅びたのだ。その呪いによって。
しかし、
この世界の均衡に欠かせない… 陰と陽の血を絶やすわけにもいかなかった精霊はこの国の王族に受け継がれる陰の血を絶やすことを良しとせず、この国の民に人知れず新しい王を立てた。
それは遠い昔、まだ国を国としてなかった時代…
陰の血を引く初代の王は他種族から妃を迎えた。その種族は… ドラゴンだった。
そして、生まれた子供はもちろんドラゴンの血を引いていたが、その妃と生まれの子供の真実は… 王のみしか知らなかった。
ーー人間の寿命には限りがある。
王が死に、その王弟が王になったことで妃とその子供は自分たちの国へと帰った。
そして、
精霊たちは新しい王に、元より陰の血を引くドラゴン族の妃と初代の王との間に生まれた子供。ドラゴン族の王となり国を治めていた彼を精霊たちはその経緯を話し、説得した。
彼らの息子であり、ドラゴン族を率いる偉大なる王となっていた彼はその話しに渋った。当然、今治めているドラゴンの国のほうが大事だったからだ。
だが、
精霊たちの必死な頼み込みと説得により、ある条件のもと、渋々 承諾したのだ。
その条件とは…
ドラゴンの国と人間の陰の一族が治めていた国の王を両方兼任する、ということでそれに応じた。それが先代だった私の父だった。そして、父が死に、当然その血を引き継ぐ私もまたドラゴンの血を引き、ドラゴンの国の王でもあった。
だが、それは…
王のみが知る事実。王がドラゴン族の王であるという話は魔女たちは知るはずがなく、また、忠実な従者でもあり、古き友であるジークにさえ、話していない真実だ。
「誰だ!?そこにいるのは!!」
ハッとして振り返る。けれど、そこには誰もいない。
ジークも私の声に、腰に掲げていた剣の柄に手をかけ臨時戦闘体制に入る…
本棚の辺りに何かの気配が確かにした。…だが、本棚の幅は大人一人死角に入るか入らないかの幅だ。
現に、私の視線に頷いたジークが確認するも、当然ながらそこには誰もいない。
『陛下… 』
友の畏まる物言いに微かに眉を寄せる。
「今は誰もいない」
私がそう口にすると、言いたいことが伝わったのか、ジークは溜め息混じりに口を開いた。
『ハァ、…で?ジキルド。本当に此処に何かいたのか?』
戦闘体制に入った俺が言うのもあれだが、大人一人隠れるのでもギリギリだぞ?と剣の柄から手を離し、くだけた話し方になる… 腕を組む従者であり、信頼の置ける古き友に頷く。
「ああ、確かに何かの気配がした」
『言いたくはないが、こんなところ… 大人でもキツイぞ?それこそ、子供でも… やっとの幅だと思うが』
こんな狭い場所、人間が隠れられるとは思えないが… と口にするジークに深妙に頷いた。
「人間ならざる者か…」
『魔法を扱える者という意味か?… それとも、魔族?』
どちらにしても、厄介だというジークに私は首を横に振る。
「…あるいは、精霊か」
精霊、その単語にジークが眉をしかめる
『精霊だと?…そんなまさか。他国ならまだしも、この国に精霊はいないはず』
ジークがそう言うのも無理はない。この国に精霊は存在するはずがないのだからーー。
「そう、この国に精霊はいない。…正確に言えば、滅びた、が正しいか」
この国の精霊が滅びた理由、それは… この国の歴史が大いに関係していることはほとんどの者が知らない。知る者も、ごく僅か。それも一握りの者だけだった。
昔、この国で闇堕ちした魔女や魔法使い達が契約した精霊を使って反乱を起こした。それがキッカケで王家はある過ちというべきか、大々的な狩りを始めた。自然と共存するべきはずの陰の一族の血を引く我が王家はその昔、大罪を犯したーー。
もちろん、精霊に人間が敵うわけがない。契約といえど、悪いのは一部の魔法使いや魔女だった。だが、王家は危険分子と見なして全てーー 処刑した。契約者を失くしては当然、精霊は本来いるべき場所へ帰る。だが、その当時の王家は… 精霊を捕まえ、悪用しようとした。
結果として、精霊たちの怒りを買い、この国に呪いをもたらした。だが、それもまた闇堕ちした魔女たちの思惑通りの結果だった。そう、彼らによって必然的に嵌められたのだ。王家は。
そして、この国が受けた呪い。
それは…
この地の精霊の加護を失ったこと。
――‥ もう一つは、
王家の血を絶えさせることだった。そしてその呪いは徐々に王家を蝕み… 一度、この国の王族は滅びたのだ。その呪いによって。
しかし、
この世界の均衡に欠かせない… 陰と陽の血を絶やすわけにもいかなかった精霊はこの国の王族に受け継がれる陰の血を絶やすことを良しとせず、この国の民に人知れず新しい王を立てた。
それは遠い昔、まだ国を国としてなかった時代…
陰の血を引く初代の王は他種族から妃を迎えた。その種族は… ドラゴンだった。
そして、生まれた子供はもちろんドラゴンの血を引いていたが、その妃と生まれの子供の真実は… 王のみしか知らなかった。
ーー人間の寿命には限りがある。
王が死に、その王弟が王になったことで妃とその子供は自分たちの国へと帰った。
そして、
精霊たちは新しい王に、元より陰の血を引くドラゴン族の妃と初代の王との間に生まれた子供。ドラゴン族の王となり国を治めていた彼を精霊たちはその経緯を話し、説得した。
彼らの息子であり、ドラゴン族を率いる偉大なる王となっていた彼はその話しに渋った。当然、今治めているドラゴンの国のほうが大事だったからだ。
だが、
精霊たちの必死な頼み込みと説得により、ある条件のもと、渋々 承諾したのだ。
その条件とは…
ドラゴンの国と人間の陰の一族が治めていた国の王を両方兼任する、ということでそれに応じた。それが先代だった私の父だった。そして、父が死に、当然その血を引き継ぐ私もまたドラゴンの血を引き、ドラゴンの国の王でもあった。
だが、それは…
王のみが知る事実。王がドラゴン族の王であるという話は魔女たちは知るはずがなく、また、忠実な従者でもあり、古き友であるジークにさえ、話していない真実だ。
41
あなたにおすすめの小説
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!
お決まりの悪役令息は物語から消えることにします?
麻山おもと
BL
愛読していたblファンタジーものの漫画に転生した主人公は、最推しの悪役令息に転生する。今までとは打って変わって、誰にも興味を示さない主人公に周りが関心を向け始め、執着していく話を書くつもりです。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる