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- 陰の王国と廻りだす歯車 -
ーージキルドside
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一一ジキルドside
「誰だ!?そこにいるのは!!」
ハッとして振り返る。けれど、そこには誰もいない。
ジークも私の声に、腰に掲げていた剣の柄に手をかけ臨時戦闘体制に入る…
本棚の辺りに何かの気配が確かにした。…だが、本棚の幅は大人一人死角に入るか入らないかの幅だ。
現に、私の視線に頷いたジークが確認するも、当然ながらそこには誰もいない。
『陛下… 』
友の畏まる物言いに微かに眉を寄せる。
「今は誰もいない」
私がそう口にすると、言いたいことが伝わったのか、ジークは溜め息混じりに口を開いた。
『ハァ、…で?ジキルド。本当に此処に何かいたのか?』
戦闘体制に入った俺が言うのもあれだが、大人一人隠れるのでもギリギリだぞ?と剣の柄から手を離し、くだけた話し方になる… 腕を組む従者であり、信頼の置ける古き友に頷く。
「ああ、確かに何かの気配がした」
『言いたくはないが、こんなところ… 大人でもキツイぞ?それこそ、子供でも… やっとの幅だと思うが』
こんな狭い場所、人間が隠れられるとは思えないが… と口にするジークに深妙に頷いた。
「人間ならざる者か…」
『魔法を扱える者という意味か?… それとも、魔族?』
どちらにしても、厄介だというジークに私は首を横に振る。
「…あるいは、精霊か」
精霊、その単語にジークが眉をしかめる
『精霊だと?…そんなまさか。他国ならまだしも、この国に精霊はいないはず』
ジークがそう言うのも無理はない。この国に精霊は存在するはずがないのだからーー。
「そう、この国に精霊はいない。…正確に言えば、滅びた、が正しいか」
この国の精霊が滅びた理由、それは… この国の歴史が大いに関係していることはほとんどの者が知らない。知る者も、ごく僅か。それも一握りの者だけだった。
昔、この国で闇堕ちした魔女や魔法使い達が契約した精霊を使って反乱を起こした。それがキッカケで王家はある過ちというべきか、大々的な狩りを始めた。自然と共存するべきはずの陰の一族の血を引く我が王家はその昔、大罪を犯したーー。
もちろん、精霊に人間が敵うわけがない。契約といえど、悪いのは一部の魔法使いや魔女だった。だが、王家は危険分子と見なして全てーー 処刑した。契約者を失くしては当然、精霊は本来いるべき場所へ帰る。だが、その当時の王家は… 精霊を捕まえ、悪用しようとした。
結果として、精霊たちの怒りを買い、この国に呪いをもたらした。だが、それもまた闇堕ちした魔女たちの思惑通りの結果だった。そう、彼らによって必然的に嵌められたのだ。王家は。
そして、この国が受けた呪い。
それは…
この地の精霊の加護を失ったこと。
――‥ もう一つは、
王家の血を絶えさせることだった。そしてその呪いは徐々に王家を蝕み… 一度、この国の王族は滅びたのだ。その呪いによって。
しかし、
この世界の均衡に欠かせない… 陰と陽の血を絶やすわけにもいかなかった精霊はこの国の王族に受け継がれる陰の血を絶やすことを良しとせず、この国の民に人知れず新しい王を立てた。
それは遠い昔、まだ国を国としてなかった時代…
陰の血を引く初代の王は他種族から妃を迎えた。その種族は… ドラゴンだった。
そして、生まれた子供はもちろんドラゴンの血を引いていたが、その妃と生まれの子供の真実は… 王のみしか知らなかった。
ーー人間の寿命には限りがある。
王が死に、その王弟が王になったことで妃とその子供は自分たちの国へと帰った。
そして、
精霊たちは新しい王に、元より陰の血を引くドラゴン族の妃と初代の王との間に生まれた子供。ドラゴン族の王となり国を治めていた彼を精霊たちはその経緯を話し、説得した。
彼らの息子であり、ドラゴン族を率いる偉大なる王となっていた彼はその話しに渋った。当然、今治めているドラゴンの国のほうが大事だったからだ。
だが、
精霊たちの必死な頼み込みと説得により、ある条件のもと、渋々 承諾したのだ。
その条件とは…
ドラゴンの国と人間の陰の一族が治めていた国の王を両方兼任する、ということでそれに応じた。それが先代だった私の父だった。そして、父が死に、当然その血を引き継ぐ私もまたドラゴンの血を引き、ドラゴンの国の王でもあった。
だが、それは…
王のみが知る事実。王がドラゴン族の王であるという話は魔女たちは知るはずがなく、また、忠実な従者でもあり、古き友であるジークにさえ、話していない真実だ。
「誰だ!?そこにいるのは!!」
ハッとして振り返る。けれど、そこには誰もいない。
ジークも私の声に、腰に掲げていた剣の柄に手をかけ臨時戦闘体制に入る…
本棚の辺りに何かの気配が確かにした。…だが、本棚の幅は大人一人死角に入るか入らないかの幅だ。
現に、私の視線に頷いたジークが確認するも、当然ながらそこには誰もいない。
『陛下… 』
友の畏まる物言いに微かに眉を寄せる。
「今は誰もいない」
私がそう口にすると、言いたいことが伝わったのか、ジークは溜め息混じりに口を開いた。
『ハァ、…で?ジキルド。本当に此処に何かいたのか?』
戦闘体制に入った俺が言うのもあれだが、大人一人隠れるのでもギリギリだぞ?と剣の柄から手を離し、くだけた話し方になる… 腕を組む従者であり、信頼の置ける古き友に頷く。
「ああ、確かに何かの気配がした」
『言いたくはないが、こんなところ… 大人でもキツイぞ?それこそ、子供でも… やっとの幅だと思うが』
こんな狭い場所、人間が隠れられるとは思えないが… と口にするジークに深妙に頷いた。
「人間ならざる者か…」
『魔法を扱える者という意味か?… それとも、魔族?』
どちらにしても、厄介だというジークに私は首を横に振る。
「…あるいは、精霊か」
精霊、その単語にジークが眉をしかめる
『精霊だと?…そんなまさか。他国ならまだしも、この国に精霊はいないはず』
ジークがそう言うのも無理はない。この国に精霊は存在するはずがないのだからーー。
「そう、この国に精霊はいない。…正確に言えば、滅びた、が正しいか」
この国の精霊が滅びた理由、それは… この国の歴史が大いに関係していることはほとんどの者が知らない。知る者も、ごく僅か。それも一握りの者だけだった。
昔、この国で闇堕ちした魔女や魔法使い達が契約した精霊を使って反乱を起こした。それがキッカケで王家はある過ちというべきか、大々的な狩りを始めた。自然と共存するべきはずの陰の一族の血を引く我が王家はその昔、大罪を犯したーー。
もちろん、精霊に人間が敵うわけがない。契約といえど、悪いのは一部の魔法使いや魔女だった。だが、王家は危険分子と見なして全てーー 処刑した。契約者を失くしては当然、精霊は本来いるべき場所へ帰る。だが、その当時の王家は… 精霊を捕まえ、悪用しようとした。
結果として、精霊たちの怒りを買い、この国に呪いをもたらした。だが、それもまた闇堕ちした魔女たちの思惑通りの結果だった。そう、彼らによって必然的に嵌められたのだ。王家は。
そして、この国が受けた呪い。
それは…
この地の精霊の加護を失ったこと。
――‥ もう一つは、
王家の血を絶えさせることだった。そしてその呪いは徐々に王家を蝕み… 一度、この国の王族は滅びたのだ。その呪いによって。
しかし、
この世界の均衡に欠かせない… 陰と陽の血を絶やすわけにもいかなかった精霊はこの国の王族に受け継がれる陰の血を絶やすことを良しとせず、この国の民に人知れず新しい王を立てた。
それは遠い昔、まだ国を国としてなかった時代…
陰の血を引く初代の王は他種族から妃を迎えた。その種族は… ドラゴンだった。
そして、生まれた子供はもちろんドラゴンの血を引いていたが、その妃と生まれの子供の真実は… 王のみしか知らなかった。
ーー人間の寿命には限りがある。
王が死に、その王弟が王になったことで妃とその子供は自分たちの国へと帰った。
そして、
精霊たちは新しい王に、元より陰の血を引くドラゴン族の妃と初代の王との間に生まれた子供。ドラゴン族の王となり国を治めていた彼を精霊たちはその経緯を話し、説得した。
彼らの息子であり、ドラゴン族を率いる偉大なる王となっていた彼はその話しに渋った。当然、今治めているドラゴンの国のほうが大事だったからだ。
だが、
精霊たちの必死な頼み込みと説得により、ある条件のもと、渋々 承諾したのだ。
その条件とは…
ドラゴンの国と人間の陰の一族が治めていた国の王を両方兼任する、ということでそれに応じた。それが先代だった私の父だった。そして、父が死に、当然その血を引き継ぐ私もまたドラゴンの血を引き、ドラゴンの国の王でもあった。
だが、それは…
王のみが知る事実。王がドラゴン族の王であるという話は魔女たちは知るはずがなく、また、忠実な従者でもあり、古き友であるジークにさえ、話していない真実だ。
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