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- 陰の王国と廻りだす歯車 -
『叔父上 vs ジーク』
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「お、叔父上…」
声が震えるのも仕方ないと思います。だって、この人は… 王妃たる母上の弟。それ即ち、あの母上と同じ思考の持ち主であるということ。
そして、
乙女ゲームの中で、オーディットである僕を巻き込み、クーデターという謀反を起こし国家反逆罪で一族諸共、公開処刑の発端となったうちの一人だからです。…もう一人は母上になりますが。
「・・・。」
詰んだ!今、確実に詰みました!!え?え… え゙!?さっきから何なんですかこのフラグの乱立は!!兄上とは必要以上に関わる… 叔父上との破滅フラグの第一歩!
希望どころか、寧ろ近い未来、破滅しか見えないんですがッ!?
バク… に頼るわけにもいきません。バクが精霊だということをこの叔父上や母上にバレたらそれこそどうなるか、考えるだけでも恐ろしかった。
「フンッ また本か… オーディット!お前は本、本、本!お前はいつも本ばかりだ!この引きこもりめが!!少しは私の甥らしく、王の失脚に野望を持たぬか!お前のような恥知らず者が私の甥だというのが私の中で一番の汚点だ!」
……言っていることが無茶苦茶過ぎるんですがこの人は!っていうか、もうそれアウトですよね!?今の発言だけで謀反として捉えられてもおかしくないんですが。誰がどこで聞きているかもわからないこの王宮で平然とそんな発言ができる叔父上の気が知れません。
「まったく!ほんの一瞬、精霊の気配がしたように感じたが… いたのはこの出来損ないの恥知らずだけか!」
人の顔を見るなり散々な言いようでしたが、ふと、叔父上の言った言葉の内容に引っ掛かりを感じて、おうむ返しのごとく聞いてしまいました。
「……精霊の気配?」
おかしい。そんなはずないのに。確か、バクはこの国に精霊はいないと言っていました。他の国は存在しても、この国ではお伽話に近い存在だと。それなのに、なぜ叔父上の口からそんな言葉が出たのか。
僕の表情がよっぽど間抜け面だったのか、それともたかが僕一人、害にもならないと感じたのか… 叔父上は嘲りを含んだ笑みでクツリと喉で笑った。
「そうか、お前も… 他の連中と同じ、アレをお伽話と思うか。実に愚かだ!我々人間よりも遥かに凌ぐ力… そんな力を捨て置くなど勿体無い!だが、だからと言って我々人間より優れた存在など決して認めるものか!アレを我が支配下に置いたとき、この国は私のーー…」
ーーものだ!そう言おうとしたそのとき、
『侯爵、少々言葉が過ぎるのでは?』
突然、頭上から降ったさっき聞いたばかりの声と…
ポンポンと落ち着かせるように僕の頭を叩く、
「ジークッ!」
見知った顔にホッとして、忌々しげにジークと僕を睨む叔父上から庇うように、さりげなく僕を後ろに隠すジークに不謹慎ながら少しドキッとしてしまいました。
「チッ、忌々しい青二才め!でしゃばりおって!!!お前みたいなガキなど、私が本気で畳み掛ければ…」
「気をつけられよ侯爵。此処は王宮。誰がどこで聞いてるかもわからない王宮での滅多な発言は差し控えてはいかがか?」
禍いを呼ぶ前に、そう告げるジークはその瞳に酷薄な光を宿して冷たい笑みを浮かべる。いつもと違うジークの雰囲気に圧倒され、不安を覚えた僕は思わずギュッとジークの服の袖を掴んでしまいました。
その意が伝わったのか、
ジークは振り返り様に苦笑し、その後にそっと僕の頭を撫でた。
声が震えるのも仕方ないと思います。だって、この人は… 王妃たる母上の弟。それ即ち、あの母上と同じ思考の持ち主であるということ。
そして、
乙女ゲームの中で、オーディットである僕を巻き込み、クーデターという謀反を起こし国家反逆罪で一族諸共、公開処刑の発端となったうちの一人だからです。…もう一人は母上になりますが。
「・・・。」
詰んだ!今、確実に詰みました!!え?え… え゙!?さっきから何なんですかこのフラグの乱立は!!兄上とは必要以上に関わる… 叔父上との破滅フラグの第一歩!
希望どころか、寧ろ近い未来、破滅しか見えないんですがッ!?
バク… に頼るわけにもいきません。バクが精霊だということをこの叔父上や母上にバレたらそれこそどうなるか、考えるだけでも恐ろしかった。
「フンッ また本か… オーディット!お前は本、本、本!お前はいつも本ばかりだ!この引きこもりめが!!少しは私の甥らしく、王の失脚に野望を持たぬか!お前のような恥知らず者が私の甥だというのが私の中で一番の汚点だ!」
……言っていることが無茶苦茶過ぎるんですがこの人は!っていうか、もうそれアウトですよね!?今の発言だけで謀反として捉えられてもおかしくないんですが。誰がどこで聞きているかもわからないこの王宮で平然とそんな発言ができる叔父上の気が知れません。
「まったく!ほんの一瞬、精霊の気配がしたように感じたが… いたのはこの出来損ないの恥知らずだけか!」
人の顔を見るなり散々な言いようでしたが、ふと、叔父上の言った言葉の内容に引っ掛かりを感じて、おうむ返しのごとく聞いてしまいました。
「……精霊の気配?」
おかしい。そんなはずないのに。確か、バクはこの国に精霊はいないと言っていました。他の国は存在しても、この国ではお伽話に近い存在だと。それなのに、なぜ叔父上の口からそんな言葉が出たのか。
僕の表情がよっぽど間抜け面だったのか、それともたかが僕一人、害にもならないと感じたのか… 叔父上は嘲りを含んだ笑みでクツリと喉で笑った。
「そうか、お前も… 他の連中と同じ、アレをお伽話と思うか。実に愚かだ!我々人間よりも遥かに凌ぐ力… そんな力を捨て置くなど勿体無い!だが、だからと言って我々人間より優れた存在など決して認めるものか!アレを我が支配下に置いたとき、この国は私のーー…」
ーーものだ!そう言おうとしたそのとき、
『侯爵、少々言葉が過ぎるのでは?』
突然、頭上から降ったさっき聞いたばかりの声と…
ポンポンと落ち着かせるように僕の頭を叩く、
「ジークッ!」
見知った顔にホッとして、忌々しげにジークと僕を睨む叔父上から庇うように、さりげなく僕を後ろに隠すジークに不謹慎ながら少しドキッとしてしまいました。
「チッ、忌々しい青二才め!でしゃばりおって!!!お前みたいなガキなど、私が本気で畳み掛ければ…」
「気をつけられよ侯爵。此処は王宮。誰がどこで聞いてるかもわからない王宮での滅多な発言は差し控えてはいかがか?」
禍いを呼ぶ前に、そう告げるジークはその瞳に酷薄な光を宿して冷たい笑みを浮かべる。いつもと違うジークの雰囲気に圧倒され、不安を覚えた僕は思わずギュッとジークの服の袖を掴んでしまいました。
その意が伝わったのか、
ジークは振り返り様に苦笑し、その後にそっと僕の頭を撫でた。
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