ざまぁ！をされるつもりが… こんな展開、聞いてないっ

- 謎多き執事の秘密ごと -

『愉快な話と - つかの間の息抜き - 』

『ええ、とても愉快な方だと。他の貴族の前でそのお話はさすがにマズいですが… プライベートで聞くぶんにはなかなか愉快な話だと王太子殿下がおっしゃってましたよ』

殿下も腹の探り合いの貴族社会の中、ソフィアお嬢様のお話には息抜きになっていたようです、と苦笑いを浮かべるレオンに僕は『ああ！』と思わず頭を抱えて座り込んだ。…よりによって、殿下にお話しするなんて…っ！

『大丈夫ですよ。先ほども言ったとおり、王太子殿下もソフィアお嬢様のお話は数少ない息抜きになっていたようですし、その… お世辞にも貴族らしくないソフィアお嬢様のそういった一面がより殿下を安心させていた、と… 私は思っています』

僕の頭を抱える様子にその心境を察したレオンが僕の腕を引っ張り立たせると椅子に座らせて、そう教えてくれるけれど、安心ってどういう意味？

「安心…？」

『ええ、ほら貴族社会では信頼に足る人間はそういないでしょう？特にご自身の地位が王族ともなれば。実際、こう言ってはなんですが… 貴族の考えることなんてどれも似たようなものですよ』

フゥー…と、どこか憂い帯びた表情で、そんなレオンから溜め息交じりの声が返ってくる。