ざまぁ!をされるつもりが… こんな展開、聞いてないっ

文字の大きさ
上 下
76 / 88
- 謎多き執事の秘密ごと -

『似ても似つかない二人と - 既視感 - 』

しおりを挟む
きゅーっと眉根を寄せ表情を曇らせるレオンはそう言うと持ち上げていた僕を机の上に乗せた。

『また、偏食なさっていますね?』

「………」

僕が黙っていると、レンズの奥から覗く瞳が僅かに細められる。また、怒られる!と思って体を竦めていたら、溜め息交じりの声が返ってくる。

『アラン様、私は貴方を怒りたくて怒っているわけではありません。貴方のことを心配して言っているのです。偏食ばかりなさっているから体力がつかないのですよ』


腕を組んでレンズ越しに窄めた目で僕を見下ろすレオンを僕はレオンに降ろされた机の上に座ったまま、じっと見上げる。

「…ごめんなさい」

『………今日は珍しく素直ですね』

少し驚いたように、けれども顎先に手を添えて少し考え込んだかと思ったらレオンは一人納得したように頷いた

『……貴方が先ほど話した件ですが、あの件は貴方は悪くないのですよ。あの男達が悪いのです。だから、貴方が気にすることではありません』

そう言って、優しく僕の額にかかった髪を撫でて横へと流すと僕を慰めるように、そっとその額にキスを落とすレオンに… 

  「え」

今度は僕が驚いた。いや、うん。キスも驚いたんだけど、あのときの王太子殿下も僕を慰めるときに、額にキスを落としていったから… 。
そのときの王太子殿下とレオンの二人の姿が、一瞬、被ったような気がして…

「え、今……」

似ても似つかない二人の容姿。それなのに、あのときと被るのは一体なんの偶然か───。
僕はポカンとしたまま、その間抜け面を晒していることにと気づかず、ただ唖然とレオンを見つめた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

表情筋が死んでいる

白鳩 唯斗
BL
無表情な主人公

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

学園の支配者

白鳩 唯斗
BL
主人公の性格に難ありです。

学園生活は意外と大変

白鳩 唯斗
BL
毎年恒例の親族達の日帰り旅行で、事故が起きた。家族を全員失った魁星は、葬式に参加する。 そこで、唯一生き残った親族、はとこの雪人の存在を知ることになる。 権利争いが起きないようにと、魁星が雪人を養子に迎えることになり、父親になってしまう。 15歳の魁星は高校に通いながら、6歳のはことの面倒を見ることになる。 面倒見の良い優しい主人公です。 シリアスは少なめかもしれません。

真冬の痛悔

白鳩 唯斗
BL
 闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。  ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。  主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。  むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。

皇帝の立役者

白鳩 唯斗
BL
 実の弟に毒を盛られた。 「全てあなた達が悪いんですよ」  ローウェル皇室第一子、ミハエル・ローウェルが死に際に聞いた言葉だった。  その意味を考える間もなく、意識を手放したミハエルだったが・・・。  目を開けると、数年前に回帰していた。

私は悪役令息らしいですが、問題は周囲にあると思います。

白鳩 唯斗
BL
NL、BLどっちも行ける方向けです。登場キャラは精神終わってるキャラが多くなる予定。 狂ったお話が書きたいです。 主人公の本性は少し後から出てきます。

処理中です...