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- 謎多き執事の秘密ごと -
『似ても似つかない二人と - 既視感 - 』
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きゅーっと眉根を寄せ表情を曇らせるレオンはそう言うと持ち上げていた僕を机の上に乗せた。
『また、偏食なさっていますね?』
「………」
僕が黙っていると、レンズの奥から覗く瞳が僅かに細められる。また、怒られる!と思って体を竦めていたら、溜め息交じりの声が返ってくる。
『アラン様、私は貴方を怒りたくて怒っているわけではありません。貴方のことを心配して言っているのです。偏食ばかりなさっているから体力がつかないのですよ』
腕を組んでレンズ越しに窄めた目で僕を見下ろすレオンを僕はレオンに降ろされた机の上に座ったまま、じっと見上げる。
「…ごめんなさい」
『………今日は珍しく素直ですね』
少し驚いたように、けれども顎先に手を添えて少し考え込んだかと思ったらレオンは一人納得したように頷いた
『……貴方が先ほど話した件ですが、あの件は貴方は悪くないのですよ。あの男達が悪いのです。だから、貴方が気にすることではありません』
そう言って、優しく僕の額にかかった髪を撫でて横へと流すと僕を慰めるように、そっとその額にキスを落とすレオンに…
「え」
今度は僕が驚いた。いや、うん。キスも驚いたんだけど、あのときの王太子殿下も僕を慰めるときに、額にキスを落としていったから… 。
そのときの王太子殿下とレオンの二人の姿が、一瞬、被ったような気がして…
「え、今……」
似ても似つかない二人の容姿。それなのに、あのときと被るのは一体なんの偶然か───。
僕はポカンとしたまま、その間抜け面を晒していることにと気づかず、ただ唖然とレオンを見つめた。
『また、偏食なさっていますね?』
「………」
僕が黙っていると、レンズの奥から覗く瞳が僅かに細められる。また、怒られる!と思って体を竦めていたら、溜め息交じりの声が返ってくる。
『アラン様、私は貴方を怒りたくて怒っているわけではありません。貴方のことを心配して言っているのです。偏食ばかりなさっているから体力がつかないのですよ』
腕を組んでレンズ越しに窄めた目で僕を見下ろすレオンを僕はレオンに降ろされた机の上に座ったまま、じっと見上げる。
「…ごめんなさい」
『………今日は珍しく素直ですね』
少し驚いたように、けれども顎先に手を添えて少し考え込んだかと思ったらレオンは一人納得したように頷いた
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そう言って、優しく僕の額にかかった髪を撫でて横へと流すと僕を慰めるように、そっとその額にキスを落とすレオンに…
「え」
今度は僕が驚いた。いや、うん。キスも驚いたんだけど、あのときの王太子殿下も僕を慰めるときに、額にキスを落としていったから… 。
そのときの王太子殿下とレオンの二人の姿が、一瞬、被ったような気がして…
「え、今……」
似ても似つかない二人の容姿。それなのに、あのときと被るのは一体なんの偶然か───。
僕はポカンとしたまま、その間抜け面を晒していることにと気づかず、ただ唖然とレオンを見つめた。
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