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- 謎多き執事の秘密ごと -

『過去のトラウマと - 白銀の世界 - 』

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カラフルな色だった景色があっという間に、一面の白銀の景色へと変わった。頬に当たるのは季節外れの白い雪で…

「でも、それ以上に僕の心を覆い尽くしたのは、『無』だった。何も守れない無力な自分にも、醜いこの世界にも自分のせいで怪我をした姉上を見て、全てがどうでもよく感じて──」

あのときのことを閉じた瞼の裏に貼りつく光景が今でも蘇る…

「ぐったりする姉上を抱える僕は恐怖から絶叫と悲鳴、怒涛の声が飛び交う男達の声をただ聞いていて、すごく煩わしく感じた。
……その美しい白銀の世界に雑音を煩わしく感じた。いっそのこと、このまま全てを無に帰したほうがいいと思った。

綺麗だと思った。何も交わることがないその白く純真な白銀の世界が。穢れ無き世界が美しく感じた。何もないからこそ居心地よく感じた。何もかもが冷たくて… このまま閉ざしてしまえばいいと思ったんだ」

そう、あのとき僕は───…。
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