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- 謎多き執事の秘密ごと -

『過去のトラウマと - 焦り - 』

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「気付いたときには遅かった。下卑た笑みを浮かべた屈強な男が馬車の中に残っていた姉上を引きずり出したんだ。姉上は抵抗していたけど、屈強な男に… 子供の僕らが力で敵うわけなかった。……僕でも怖かったのに、女性である姉上はもっと怖かったはずだよ。自分がこの後どんな目に遭うか、イヤでも想像するよね…」

───だから、

「だから僕は半信半疑だった僕の魔法を放とうとしたんだけど、出来なかった。きっと恐怖心でがんじがらめだった僕は無意識に自身にストッパーを掛けていたのかもしれない。どんなに魔力を練ってもうんともすんともならなかったんだ」


そう、何にもないときは上手く練れたのに、いざという時にはどうにもならなかった。

「……焦りが出て狼狽していた僕はそのとき気付かなかったんだ。リーダー格の男が魔力を練ろうとしている僕に剣の刃を向けていたことに」


気がついたときにはもう遅くてリーダー格の男が僕に剣を振り下ろそうとしていた───。
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