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- 謎多き執事の秘密ごと -

『過去のトラウマと忌まわしき記憶』

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「……もちろん、今は魔法学の授業も受けてレオンからもいろいろと学んだから… それはないと理解してる。でも、あの頃の僕は… 恐怖心でいっぱいだったんだ。いつバレるか、わからない日々に… どうしようもない不安が心を覆い尽くしていた」

───それが、キッカケだったのかもしれない

ポツリと呟きを零した僕の言葉にレオンは動揺するわけでもなく、瞠目するわけでもなく… 

『その引き金となったのが──…あの事件なのですね』

ただ、僕の話を。胸の内の吐露をただ静かに見守り、そして真摯な瞳でその先を促した。

「うん…」

あの日の出来事を思い出して、目を下に伏せる

「あの日、姉上と一緒に馬車で街に出かけることになって、護衛二人と御者を引き連れて出掛けたんだ」

だけど、

「……どこからその情報が漏れたのか、犯人グループの一味が先回りしていて待ち伏せされて…。僕たちは何も知らなくて。……ただ、急ブレーキが掛かって突然 止まった馬車に違和感を感じたんだ。そしたら、外から聞こえる怒涛の声と下品に笑う男の声と… それから御者の外に出ないでくださいという叫ぶ声が聞こえて、

───僕も姉上も馬車の外で何が起きているかわからなかった。ただ、何かが起きていて、自分たちに身の危険が迫っていることしかわからなかった」


そう、もしもあの日… 馬車から出なければ、姉上を怖い目に遭わせなかったかもしれない。
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