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- 謎多き執事の秘密ごと -

『伝説と恐怖心と - 心の闇 - 』

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「二回目に姉上と練習したときに、姉上は僕が上手く出来なかったように見えたみたいなんだけど、あのときは夏で雪が降るわけがないのに、地面に薄っすら霜が付いていたんだ。姉上は気付いてなかったみたいだけど…」

当時を振り返って僕は肩を竦める

「───それに、あのとき姉上は無意識にだったのだろうけど、体を丸めて『何故かしら?なんだか急に… 寒くなってきたわね』ってそう言ったんだ。本人は無意識で気づいていなかったのだろうけど…」


「感覚も魔力の練り方も何回かやっているうちにそのコツを掴んで来たような気がしてた。季節外れの寒さと地面についた霜が… もしかしたら僕は氷属性なのかもしれないと思ったんだ」

『………』

「…怖かったんだ。そのときは。まだ授業も受けていなくて魔法の知識もろくに知らない子供だった。それでも、他の属性に比べて氷の属性が希少性が高いことや、一部の人間にその力の暴走を畏れられていることも知っていた」

「…だって、ドラゴンの創建神話はレオンから教わった詳しいところまでとはいかないけれど、

   それでも… 

ドラゴンの神話は、伝説は… この国の人間なら誰もが知っている。大雑把にだけど。小さい子供を寝かしつけるときに語られる…お伽話おとぎだから」

───だから、父上にも周りにも知られるのが怖かったんだ。一度、怒りと悲しみで絶望しこの国を、この世界を滅ぼそうとした悪いドラゴンだから。その名残りの力である氷属性の魔力を持つ僕は… 幽閉か下手したら処刑されるのかもしれない、そう思って… 怖くて言えなかったんだ。と、ずっと胸の内に秘めていた懺悔を口にした。
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