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『姉上が心配とは言ったものの…』

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「もしも、僕が王族に異を唱える反乱分子のメンバーなら、まどろっこしいことはせず、姉上が一人のときを狙うか、姉上の護衛が最小限のときを見計らって攫いますよ。だって、そのほうが手っ取り早いでしょう?無駄にあれこれ謀り、画策し走り回るよりも禁術の知識を持つ姉上を攫い、利用する…。

禁術書を手に入れるよりも至極簡単なことだと思いますよ?なぜなら、禁術書はセキュリティ万全に管理されている上に、誰もが入れるわけでもなく、さらに言えば、本は移動しません。

───しかし、姉上は生きた人間ですし、移動します。

ずっと1日を監視すれば姉上の周りの警備が一番手薄な時間帯と1日の行動範囲を知ることは容易と言えるのではないかと…。危険を冒してまで王城に侵入するのと、この公爵邸と王城を行ったり来たりする姉上… どちらが事を起こすのに、時間をかけずに手っ取り早いか、考えるまでもなく一目瞭然かと思いますが」

あくまで自分が感じたことですが、と最後に付け加えるも父上はそこまでは想定していなかったのか、ひどく青ざめていた。

「ですから、僕は僕で姉上のフリをしながら、姉上の行方を捜します。あれはあれで… 僕にとってはかけがえのない姉上ですから」

『アラン、お前は…』

「それに、僕も姉上のことが心配なんです。なぜ、もっと早く姉上の悩みに気付いてあげられなかったのかと、今となっては… 悔やむばかりです」


とまあ、正直ホントのところはそこまで心配じゃないけれど。あのとき姉上が言っていたヘンリーという人物がやたらと気になる。正確に言えば、引っ掛かる…。ただの杞憂ならそれでいいんだけど。。
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